PANORAMA STORIES
緊急宣言「父ちゃんの今年度計画を発表」 Posted on 2026/07/15 辻 仁成 作家 パリ
おつかれさまです。
いきなりですが、緊急記者会見をさせて頂きます。
今まで、黙っておりましたが、今年の父ちゃんの活動には大きな連動事項がございます。
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まず、8月に行われる個展「鏡花水月」、
そして、7月27,28日の「歌う詩人」ライブを皮切りに、ニューアルバムのレコーディング開始、「夢幻泡影」、
そして、9月4日刊行の小説「泡」
この絵画、小説、音楽、の根底には、このように、共通するテーマが存在いたします。
「鏡花水月」「夢幻泡影」「泡」はほぼ、同じ意味合いを持っています。掴もうとしても消えてしまう儚い世界のたとえ、であります。
どのように、これら三つの世界が交差しているのか、少し具体的にご紹介させてもらいます。
たとえば、個展「鏡花水月」には、シリーズ「夢幻泡影」が数枚展示されます。そしてその一枚が、小説「泡」の表紙となり、もう一枚が背表紙になります。
個展会場に展示される63点の絵画は、一作品を覗いてすべてノルマンディで制作されました。また、「歌う詩人」の楽曲もすべて同じノルマンディで作られています。小説「泡」も同じアトリエの屋根裏部屋で執筆されました。
音楽は、ロックではなく、どちらかというとプログレッシブロック系の不思議な泡のような宇宙観のある音楽群で、詩の朗読なども加わり、まったく新しい世界を展開しますが、儚く消えてしまう命の尊さを悠久を超えてお届けする不思議な世界となります。曲も「夢幻泡影」「悠久」「孤独な泡」など、とリンクする内容です。


小説は、エックスで連載をしたものを、時間をかけてリライトしたもので、舞台は新宿と思われる都市で繰り広げられる泡のように消えてはなくなる若い登場人物たちの物語ですが、リズミカルな作品ながら、次々に消えていく泡のような都市での空虚感と人間の奥深くに根ざす愛と闇を描いている、実は脆く壊れかける魂と家族の物語でもあります。
表紙に使われた作品「夢幻泡影」はその都市を描いたものですが、でも、描いた場所はノルマンディでした。記憶の中の記憶を探るようにして描いた不思議な作品です。背表紙に採用されたのは、表紙と双子の作品で、舞い散る花の絵です。
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そして、三越で行われる個展では、これらを平面に封じ込めてみました。「鏡花水月」「夢幻泡影」「ソラノキモチ」「記憶のネガ」などのシリーズが並びます。63点のうち、半分は50号の大きな作品が並びます。屏風絵風の8枚の連作もあります。どれもが、響きあい、一つの宇宙を会場全体で表現します。
水面に映る夜の月ですが、どんなに美しくても、掴むことが出来ない儚さがありますね、ぼくは好きです。そういう作品がずらりと並んで、今を生きる私たちの魂をそこに儚く描きます。まさに、悠久の世界です。
今年は8月に辻仁成展「鏡花水月」、9月に小説「泡」が集英社から発売になり、秋以降に「歌う詩人」の久々のフル・ニューアルバム「夢幻泡影(仮)」が発売されます。これらは密接にリンクし、辻仁成が今思う宇宙が形成され一大叙事詩のような感じになる予定。これまで歩んできた創作の集大成となります。
以上が、辻仁成2026年度計画となります、お愉しみに。

※ まだ、ラフ案です。現在、デザインやってもらっている最中ですが、このような感じになりそう、・・・。自分の作品が表紙になるのは、嬉しい、ですよね。


Posted by 辻 仁成
辻 仁成
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作家、画家、旅人。パリ在住。パリで毎年個展開催中。1997年には「海峡の光」で芥川賞を受賞。1999年に「白仏」でフランスの代表的な文学賞「フェミナ賞・外国小説賞」を日本人として唯一受賞。愛犬の名前は、三四郎。



