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欧州最新情報「物価上昇が続くドイツ – 政府の救済策とは」 Posted on 2022/06/02 Design Stories  

このところドイツではあらゆるものの値段が上昇し続けている。
食料品、光熱費、ガソリン、建築資材、等々、値段が上がっていないものを探す方が難しいほど。
4月の公式発表ではインフレ率は7%強だったが、生活している身としては、買い物に行くと以前とほぼ同じものを買っているのに、会計で2割ほど高くなっている印象を受ける。



今日(5月31日)近くのスーパーに買い物に行った際、記憶をたどりながらよく買うものの値段を以前と比較してみた。(1ユーロは現在約140円)

ジャガイモ 2kg 2.99ユーロ→3.99ユーロ
タマゴ10個入り 2.79ユーロ→3.29ユーロ
食パン1斤 1.59ユーロ→ 1.99ユーロ
小麦粉 1kg 0.69ユーロ → 品薄状態が続いており、店頭にあったものでは1.19ユーロが最安
サラダ油 750mL 2.99ユーロ→ 4.99ユーロ
コーヒー粉 500g 3.99ユーロ → 5.49ユーロ

他にもパン屋では週末の朝食によく食べられるBrötchenと呼ばれる小さなパンの値段が平均して1個当たり10〜20セント(10〜30円ほど)上がっているし、ガスや電気の光熱費に至っては昨年と比較して約50%の値上がり。

欧州最新情報「物価上昇が続くドイツ – 政府の救済策とは」

ガソリンは家の近所のガソリンスタンドの今日の値段が1Lあたりレギュラーで2.13ユーロ(約300円!)であった。約1年前は1.50ユーロ程度(約200円)だったと記憶しているので、こちらも50%弱の値上がり。
ガソリンは日本と比較すると元々高めであったが、値上がりしていると言われる日本の現在の平均価格が1Lあたり約160円なので、なんと倍近くの値段である。

ヨーロッパの他の国々と比較しても物価は割と安めのドイツだが、最近の物価の上昇は各家庭を直撃している。
もちろん国民の不満は大きく、このところショルツ首相の政党の人気は右肩下がりで地方選挙でも負け続き。
そんな状況を打破しようと思ったのか、国民への救済措置が色々と発表された。

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その一つが9ユーロチケット。これは、ドイツ全土の公共交通機関が6〜8月の3ヶ月間、1ヶ月9ユーロ(約1300円)で乗り放題になるというもの。
長距離列車や長距離バス等は除外されるが、電車や地下鉄、トラムや路線バスは1ヶ月9ユーロで乗り放題。バスや電車の初乗り料金が3ユーロであることを考えると、これはかなりお得なチケットと言えるだろう。
例えば、私が住むマインツからフランクフルトは電車で約40分、片道の値段が約9ユーロなので、一度往復するだけで元が取れてしまう。
6月1日から使用可能なこのチケットは、発売前からかなり話題になっており、5/23に発売が開始されてから5月末までに700万枚を売り上げたのだとか。

その他の救済策としてはガソリン税の引き下げが6月から3ヶ月間予定されており、1Lあたりガソリンで30セント、ディーゼルで14セント安くなるとのこと。
また、臨時の子供手当が各家庭の子供一人につき100ユーロ支給される予定である。

これらの救済策がどの程度効果を上げるのかはわからないが、物価は今後どうなっていくのか、先行きは全く不透明であることは変わりない。(マ)

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