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パリ・カルチャー情報「ノートルダムに香る、春のパン祭り2026」 Posted on 2026/05/18 Design Stories  

 
5月中旬、ノートルダム大聖堂のあたり一帯が、香ばしいパンの香りに包まれた。ときおり降る雨粒にもかき消されない、小麦とバターのふっくらした匂い…。その正体は、毎年開催される春の恒例イベント「La Fête du Pain(パン祭り)」。2026年は、同イベントが30周年を迎える記念すべき年でもあった。
 

パリ・カルチャー情報「ノートルダムに香る、春のパン祭り2026」



 
大聖堂前の広場が会場になっている理由は、ここにフランス全土への距離表示の基準となる“ゼロ地点”があるため。つまりLa Fête du Painは、パリだけでなくフランスを代表するパンの一大イベントなのだ。大聖堂前での開催が許可されている、唯一のプロフェッショナルイベントでもある。
 

パリ・カルチャー情報「ノートルダムに香る、春のパン祭り2026」

 
2026年のLa Fête du Painは、5月8日から17日まで開かれていた。10日間という長めの開催だったが、実は日替わりで興味深いイベントが行われていて、中にはフランスでNo.1を決めるバゲット・コンテストやサンドイッチ・コンテスト、クロワッサンのコンテスト(グランパリ部門 )などもあった。
こうしたコンテストが公開型であるのも面白いし、フランス中のパン職人たちが腕をふるう、その現場に同席できるのも、La Fête du Painの大きな魅力である。
 

パリ・カルチャー情報「ノートルダムに香る、春のパン祭り2026」

※訪れた日はバゲット・コンテストの予選が開かれていた

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※外皮や割った時の生地の状態も審査するそう



 
もちろんコンテストだけではない。職人たちによるパン作りの実演コーナーもあって、期間中は毎日、イル・ド・フランス地方のパン職人たちがさまざまなパンを焼き上げていた。
そんな実演コーナーは、一番の見どころと言ってもいいだろう。La Fête du Painには毎年のように訪れているものの、いつ見てもまったく飽きることがない。
 

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※ショソン・オ・ポム(リンゴのコンポートを包んだパイ)を作っている現場

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※こちらはパン・オ・ショコラ。バターたっぷり!

 
実演で作られるのは、ショソン・オ・ポム、パン・オ・ショコラ、そしてシューケット(シュー生地にパールシュガーをまぶして焼いたもの)など、どれもフランスのブーランジュリーで必ず見かけるものばかり。
「こうして作っているのか」「面白いね」と囁く声があちこちから聞こえていたのだが、それも納得の光景で、ベテラン職人たちのテキパキとした手さばきが本当に見事であった。
 

パリ・カルチャー情報「ノートルダムに香る、春のパン祭り2026」

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※バゲットサンドイッチ

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※ブリオッシュ・シュクレ

 
焼きたてのパンがその場で購入できるのも、La Fête du Painの特徴だ。
今回、わたしはブリオッシュ・シュクレを一つ購入。フランスのブリオッシュはリッチでとても美味なのだが、この日は出来立てということもあり、これまでで一番おいしいブリオッシュ・シュクレに出会うことができた。
 



 
また、30周年の記念として、会場では「パンで作る巨大エッフェル塔」 の制作も行われていた。 この建築のようなパン細工を手がけるのは、フランス国家最優秀職人章を持つトップレベルの職人たち。バゲット・コンテストの審査員も務めるという上位層のブーランジェだ。
 

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※13日の制作課程

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写真は、エッフェル塔に添える装飾用の生地を作っている場面。ナイフ&カッターで丁寧に成形しているその手元には思わず見入ってしまい、何時間でも眺めていられそうだった。
祭典終盤には、そうして完成したパンのエッフェル塔が現地でお披露目されている。
 

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※15日にはベースが出来上っていた

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※完成した“パンのエッフェル塔” La Fête du Pain公式Instagramより

 
ノートルダム大聖堂の前に登場した、巨大な臨時“パン工房”。これは毎年、パン職人の守護聖人である「Saint Honoré(聖オノレ)」の祝日に合わせて開催されるものだ。今年2026年は、そんなLa Fête du Painが30周年ということで拡大型の開催であった。
これも、フランスにおけるパンが文化そのものとして扱われている証拠ではないだろうか。(オ)
 

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