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パリ最新情報「一曲歌ってみる?パリのタクシー、楽しいカラオケサービスを開始」 Posted on 2022/04/07 Design Stories  

カラオケは、歌って楽しんでストレスを発散することのできる日本発のレジャーだ。
フランスでもそのまま「karaoké」として定着しており、パリ・オペラ地区を中心にカラオケ店がいくつか存在する。

コロナの影響で閉店せざるを得ない店もあったのだが、規制緩和後はじわじわとカラオケ人気が復活。2月にはラーメンを提供するカラオケバーもオープンし、再びオペラ地区が賑わっている。
実は歌うことが(踊ることも)大好きなフランス人。
今まではこのようなバーでしかカラオケを楽しむことができなかったのだが、最近ではタクシーにカラオケ機能を搭載し、移動中に歌えるサービスを開始したところがある。

パリ最新情報「一曲歌ってみる?パリのタクシー、楽しいカラオケサービスを開始」

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乗客がドライバーに聞かれるのは、行き先のほかに、一曲歌いたいかどうか。
パリのタクシー会社「ドレミキャブ」は、車内にマイクとモニター画面を設置し、乗客にカラオケのサービスを提供している。
ドレミキャブは昨年に発足したばかりの新しい会社だ。
会社とはいっても、従業員は創業者であるエルヴェ・キメス氏一人。

パンデミック前は主に、アメリカ人旅行者向けに長距離のタクシードライバーとして活躍していたが、当然仕事は激減してしまった。
そこで走行をパリ市内だけに限定し、パリジャンに焦点を当てた「歌えるタクシー」のサービスを思いついたという。

パリ最新情報「一曲歌ってみる?パリのタクシー、楽しいカラオケサービスを開始」



パリのタクシーにはアプリや電話でお願いするものと、流しがある。
しかし、流しのタクシーをつかまえるのは日本ほど簡単ではない。さらにパリジャンは一駅や二駅分なら平気で歩くので、タクシー利用はよほど特別な時か、終電を逃してしまった時となる。

ドレミキャブは予約専門で、乗客は主にアプリを使って呼び出す。
ただ開始間もないサービスなので、乗客の中には「歌えるタクシー」と知らずに乗り込む人もいるという。
もちろん静かに移動したい乗客もいるので、歌うかどうかはその人の自由。
ところが歌うことを選択した人は「嬉しいサプライズだった」と喜び、後日キメス氏に個人的にコンタクトを取って再び利用することもあるそうだ。

中には仕事の移動中に「息抜き」として利用する会社員や、子供への誕生日プレゼントとして一時間の「パリ市内カラオケツアー」を家族で利用するケースもあるのだとか。
歌いたいけど、カラオケ店まで行かないといけないし、それなら気軽に呼べるタクシーの中で…と、忙しいパリジャンのあいだで喜ばれているとのことだ。

パリ最新情報「一曲歌ってみる?パリのタクシー、楽しいカラオケサービスを開始」



また公式のYouTubeチャンネルを持つドレミキャブは、顧客の承諾があれば生放送で歌唱シーンを配信し、隠れた才能の発掘を手助けしている。
ハーモニカなどの軽い楽器も持ち込み可で、誕生日や結婚記念日などの予約時はシャンパンのサービスも。
そして使用しているのは100%電気自動車と、最先端で楽しいことづくめのタクシーだ。
なお、歌うための追加料金はない。

タクシーの中では静かにしていたい、休憩したいというパリジャンも多い。
それどころか、最近ではパリ市の車離れ政策のためタクシーの利用者が激減した。
しかしドレミキャブの需要はカラオケ搭載のおかげで右肩上がり、現在はこのアイデアを借りた約30台の歌えるタクシーがパリ市内を走行しているという。
キメス氏は乗客が楽しそうにしているのを見て、コロナ前より仕事が楽しくなったと仏紙Le Prisienのインタビューで語っている。

利用するかどうかは別としても、フランス人は何気ない日常で楽しみを見つけるのが本当に上手だなと思う。
仏旅行会社の調べによると、2022年の旅行需要はコロナ禍以前を超える勢いなのだとか。
約2年間も我慢を強いられたフランスでは今、こうして多くの人がレジャーを求めている。(セ)

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