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パリ最新情報「靴を脱いでリラックス。パリジャンが紹介する、日本のTATAMIカフェ」 Posted on 2024/04/30 Design Stories  

 
パリ9区、オペラ座からも近い場所に、日本の畳を用いたユニークなカフェがオープンした。
その名は「Kiji(生地)」。現在パリで流行中のコーヒーショップを彷彿とさせる、モダンな佇まいだ。
 

パリ最新情報「靴を脱いでリラックス。パリジャンが紹介する、日本のTATAMIカフェ」



 
Kijiの仕掛け人は、フロリアンとアレクサンドルのフランス人兄弟である。
日本を何度も訪れている彼らは、フランスに帰国するたびにある“逆カルチャーショック”を感じていたそうだ。
それは主に、屋内で靴を脱ぐという日本古来の文化。
畳の上ではスリッパも脱ぐとする習慣には、特に感銘を受けたという。そのためフランスに帰ってからは二人とも、靴を脱がない文化に「何かが違う」と感じてしまったそうだ。

靴のまま部屋の中へ入っても問題のないフランスだが、こうして覚えた違和感と日本を愛する心、そして「大の抹茶好き」が一つになって、パリの中心に畳カフェをオープンすることが決まった。
 

パリ最新情報「靴を脱いでリラックス。パリジャンが紹介する、日本のTATAMIカフェ」

※一階部分。



 
「Kiji(生地)」という名前の理由は、生地(白色)がすべてのベースになっているからだそう。仕掛け人のフロリアンはまた、その発音、音としての響きも好きだったと語ってくれた。
一階部分はパリの今を象徴するようなモダンな造りだが、二階に上がると雰囲気はがらりと変わり、畳と障子が出迎えてくれる。畳は100%日本製で、東京からはるばる取り寄せた。
 

パリ最新情報「靴を脱いでリラックス。パリジャンが紹介する、日本のTATAMIカフェ」

※二階は茶室をイメージ。こちらで履物を脱ぐ。



パリ最新情報「靴を脱いでリラックス。パリジャンが紹介する、日本のTATAMIカフェ」

 
畳にローテーブルのインテリアを置くことは、パリのコーヒーショップでも初の試みだ。
しかしその雰囲気には、訪れるフランス人客も大いにリラックスするという。
事実「Kiji(生地)」のコンセプトは、靴を脱いで“自宅にいるように”リラックスしてもらうこと。
オーナーの二人も「屋内で靴を脱ぐことは日本文化の基本なので、食べものと同じくらいか、それ以上に大事だと感じている」ということだ。
 



パリ最新情報「靴を脱いでリラックス。パリジャンが紹介する、日本のTATAMIカフェ」

 
ドリンクメニューのメインは、パリでも揺るぎない人気を誇る抹茶(MATCHA)。
鹿児島産の有機抹茶を中心に、そのままでもラテとしても楽しめる。ほかのメニューには玄米茶、ほうじ茶、玉露などの高級茶や、パリの焙煎所から仕入れたコーヒーなどがある。
サイドメニューにはこれもまた大人気のMOCHI(大福)、クッキー、チーズケーキなど、今のパリを代表するトレンドスイーツを揃えた。
 

パリ最新情報「靴を脱いでリラックス。パリジャンが紹介する、日本のTATAMIカフェ」



 
こちらは立地が日本食レストランの多いオペラ地区ということもあって、訪れる人のほとんどが日本通か、日本文化に興味のある人なのだという。
そのため靴を脱ぐことにもみな抵抗がなく、むしろ遠くて気軽に行けない日本を体感できるとして、パリジャンからもヨーロッパ観光客からも好評を博しているそうだ。

ひと昔前は、日本といえば漫画・アニメのイメージが強かった。
ただ現在はSNSのインパクトが強いためか、フランスにいる日本ファンも目が肥え、「本物のJAPON」を求めているといった印象を受ける。
実際に日本へ行ったフランス人が日本文化を持ち帰り、おにぎり店や唐揚げ店などをオープンさせることも珍しくはなくなった。
ということで昨今のパリでは日本製品が手に入るだけでなく、本物の空間体験ができるスポットが求められている。(内)
 

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