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パリ・アート情報「銀行跡のオスマン建築がアートの館に。パリのアートスペース、59 リヴォリ」 Posted on 2026/07/12 Design Stories
美術館だけではない、アートの楽しみ方が、パリにはある。アーティストとの距離も近くて、その制作風景を間近で見ることができる場所。パリの目抜き通り、リヴォリ通りにある「59 リヴォリ(59 Rivoli)」は、そんな場所の一つに数えられる。

※59 Rivoli
59 リヴォリの建物は、パリ市役所からもルーブル美術館からも歩いて行ける場所にある。 一見すると、オスマン建築を使った何かのインスタレーションが行われているのかな? といった感じだが、実はここには、かつてクレディ・リヨネ銀行が入っていた。銀行が撤退したあと、建物は約8年間も放置されていたという。
そこに3人のアーティストが足を踏み入れたのは、1999年のこと。数日後にはさらに10人のアーティストが集まり、それぞれのアトリエを構えて一般公開をスタートさせた。

※建物に入ると、インパクト大の螺旋階段がまず登場する
言ってしまえば不法占拠になるのだが、彼らはその後、住民やファンから大きな支持を集めたそうだ。2001年には、結局パリ市が建物を買い取ることになり、アーティストの活動拠点として存続させることを決める。彼らの創造力と粘り強さが、公に認められた瞬間だった。

※2階~6階がアーティストたちのアトリエになっている
それからおよそ25年。嬉しいのは、59 リヴォリがいまも無料で一般公開されているという事実だ。現在は約30人のアーティストが常設のアトリエを構えていて、制作現場を自由に見学することができる。そのうち幾つかの作品は、アーティスト本人から購入することも可能。

※作り手から直接購入できるとは嬉しい限り

これほどの場所になぜ今まで気付かなかったのだろう……というのが、足を踏み入れてまず思ったことだった。受付のムッシュの雰囲気も底抜けに明るく、暗めで物々しい螺旋階段からは想像もつかないほど、建物内はフレンドリーな空気であふれていた。
アーティストたちは、各フロアに散りばめられた机で黙々と作業をしている。かと思えば、来場者と談笑する人がいたり、音楽を聞きながら窓辺で涼んでいる人がいたり。自由で、堅苦しい雰囲気は一切なくて、本当に「アートとの距離が近い」と感じた一幕だった。


「次から次へと人が入ってきて、集中の妨げにならないか?」とも思ったが、 それさえ楽しんでいるアーティストたちの姿がとても印象的だった。ときどき筆を止めて質問に答えたり、作品を丁寧に説明したり、再び思い思いに描き始めたりしている。 こうしたフローがそもそもの日常になっているのだ。
そんな後ろ姿を間近で見守ることなど、なかなかできない経験だと思う。作品を鑑賞するのはもちろんだが、アートが生まれるその瞬間に立ち会える。それこそが、59 リヴォリの一番の魅力ではないだろうか。表現方法もさまざまで、油彩・アクリル・立体作品・イラストレーションなど、一人ひとりの世界観がまったく違っていて興味深い。


とはいえ無料なだけあって、平日でも来場者は多め。自分が訪れたときも多くの人とすれ違うことになった。しかし、そんな59 リヴォリをパリの大型美術館と並行して訪れてみるのも面白そうだ。格式高い美術館とフレンドリーなアートスペース、その両方を楽しめるところが何ともフランスらしい。
一度訪れたら終了ではなく、時期をあらためてまた足を運んでみたい……と思わせる、不思議な吸引力。こうして59 リヴォリは、創作の場そのものを魅せる貴重な存在として、今も活動を続けている。(オ)
【59 Rivoli】
住所:59 Rue de Rivoli, 75001 Paris
開館時間:火曜~日曜 13:00~20:00(月曜定休)
公式HP:59 Rue de Rivoli, 75001 Paris


