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パリ最新情報「幼い娘と夫がコロナ感染、残る私へのフランス人上司の気遣い」 Posted on 2022/02/02 Design Stories  

パリ最新情報「幼い娘と夫がコロナ感染、残る私へのフランス人上司の気遣い」

 
先日、「フランスでは園児にもコロナ流行中。とうとう我が家にも…」という記事を投稿してから、たくさんの反響を頂いたので、その後のご報告。
娘の発熱で陽性が発覚し、4日後に夫にもうつるという中、私はなんとか感染を免れることができた。
父子が陰性になるまでの期間、接触を避けた生活は、なかなか骨が折れるものだった。
 



 
4歳の娘は、まだまだ甘えたい年頃で、一緒に寝たり、抱っこは避けられない。
私ができた数少ない対策は、寝るときも常にマスクをし続けること、食事は別室、タオルを分けた手洗いの徹底、という3つ。マスクはウイルスを直接防御するというよりも、吐く息で喉が潤うことが良さそうに感じた。
食事はキッチンでひとりで手早く済ませ、タオル、ティッシュケース、歯ブラシは、ふたりが通らない場所に置いた。
ひとつだけポツン置かれた私の歯ブラシを遠くでみていた娘は「お母さんの歯ブラシひとりぼっちだよ?」と、いつもと違う様子に不安そう。


その後、娘が陰性になってからは、夫が部屋にこもる番。
全ての食事はドアの前に置き、室内で済ませてもらった。
医師の診療は、Doctolib(ドクトリブ)という医師予約サイトを使い、家から出ずに携帯電話を使って遠隔で行った。
コロナ禍で、フランスでは遠隔診療が飛躍的に進んだ。
もちろん、社会保険でカバーされる。
ところで、夫は娘が感染してたときもマスクをせずに生活していたのだ。
私に「なんでうつらないの?」と聞いてきたが、そもそも彼のノーガード戦法が敗因だったと思う。
だが、いつ感染するか緊張しながら生活するより、いっそ陽性になってしまった方が、楽なのではないか? という考えも頭を過ぎった。
娘はひと晩で熱が下がったが、夫は数日間、苦しそうだったので、やはり感染は避けたい。
 

パリ最新情報「幼い娘と夫がコロナ感染、残る私へのフランス人上司の気遣い」

※左は陰性の私、右は陽性の夫の自主検査の結果

地球カレッジ



 
現在のフランスのルールでは、家庭内で最後の感染者の陽性発覚から8日以降は濃厚接触者ではなくなる。
ワクチン接種者であれば、濃厚接触になった当日、その2日後、そのまた2日後と、計3回、自主検査して陰性であれば、最短5日で通常の生活に戻ることができる。
この期間、在宅勤務は推奨されているが、オフィスに出社もできる。
だが、このルールに違和感を感じている人たちも多く、「もし無症状で感染していて誰かにうつしてしまっては」という不安から、出社しない人が私の周りでは多い。
その場合は、在宅勤務だったり、社会保険庁に給与保障を申請して休むことができる。


私は、念のために夫の陽性が判明した日から8日目に出社した。
娘が陽性になってから11日目のことで、長らくオフィスを不在にしていた。
上司も「無理に出社はせずに、自分で大丈夫と思ったタイミングで来てくれれば良い」といってくれたのが救いだった。
ルールは数字で記されてはいるけれど、一個人の感情に配慮してくれたことに、とても感謝している。


久しぶりに出社すると、私が長らく在宅勤務だった理由を知る人はあまりおらず、濃厚接触者だったという話をすると、「実は自分も以前、感染していて在宅勤務をしていた」と打ち明ける人が多数。
フランスでは感染者があまりにも多すぎて、ほとんどの人はもう気にしていないものかと思っていたので、おおっぴらにいう空気でもないことが意外だった。
 

パリ最新情報「幼い娘と夫がコロナ感染、残る私へのフランス人上司の気遣い」

※薬局で配布される無料の自主検査キット



 
娘の陽性が発覚し、学校からの一斉メールが送られた後、近所の薬局に向かうと、無料の自主検査キットを求める人の長蛇の列ができていた。
その中に、娘と同じクラスの保護者を何組か見つけて、申し訳ない気持ちになった。
「風邪レベル」ともいわれるオミクロン株だが、職場の人たちも、もしかしたらそんな申し訳なさを抱えていたから、言い出せなかったのかもしれないと気づいた。
携帯電話のメッセージアプリで、娘のクラスの保護者グループがあるが、そこでもコロナの話は一切出ずに、いつもと変わらない日常の写真や動画がやり取りされている。
決まり事はロジカルに、でも感情も大事にするフランス人の繊細さに触れた。(ウ)
 

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