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パリ最新情報「パリで人気、新しいタイプの“異文化融合”ハイブリッド・スイーツ」 Posted on 2024/04/06 Design Stories  

 
2種類のパンやお菓子を掛け合わせてできた「ハイブリッドスイーツ」が今、パリの新しいトレンドになっている。
ハイブリッドスイーツはもともと、クロワッサンとドーナツを掛け合わせた「クロナッツ」が有名だった(アメリカ発)。
クロナッツはその後フランスにも上陸を果たし、2010年代半ばにはパリのパティスリーで大ヒットを記録する。
以降はトレンドも落ち着いていたのだが、昨年からはTikTokの効果で再びハイブリッドスイーツが流行するようになった。
 

パリ最新情報「パリで人気、新しいタイプの“異文化融合”ハイブリッド・スイーツ」

※エリック・カイザーの「クルッキー」。

 
まず、今のパリで大ブームになっているのが、クロワッサンとクッキーを掛け合わせた「クルッキー(crookie)」だ。
クルッキーとは、フランスのクロワッサンと、アメリカのしっとりチョコレートクッキーをミックスさせたヴィエノワズリー(菓子パン)のことである。
クッキーはクロワッサンの中と上部にあり、半生状態でクロワッサンと一緒に焼き上げられる。
 



パリ最新情報「パリで人気、新しいタイプの“異文化融合”ハイブリッド・スイーツ」

 
そんなクルッキーを最初に発案したのは、パリ9区にあるカフェ・ブーランジュリー「メゾン・ルヴァール(Maison Louvard)」だった。
2022年に発売した当初は一日に約30個の売り上げだったというが、TikTokに投稿された2024年1月の動画をきっかけに、今では一日2000個を超すようになったという。
 

パリ最新情報「パリで人気、新しいタイプの“異文化融合”ハイブリッド・スイーツ」

※元祖、メゾン・ルヴァールのクルッキー。この店は2022年のパリベスト・クロワッサン賞も受賞している。



 
こうしたハイブリッドスイーツは、SNSとの相性も良い。
そのためクルッキー購入客の大半は、TikTok利用層の20代であるということだ。彼らは好奇心旺盛で異文化のものもすんなりと受け入れるため、店舗側も意図せず流行に巻き込まれているのだそう。
特にアメリカ仕込みのしっとりクッキーは、この流れですっかりパリの定番スイーツとなった。今ではあちこちのコーヒーショップに“サイドメニュー”として置かれている。
 

パリ最新情報「パリで人気、新しいタイプの“異文化融合”ハイブリッド・スイーツ」

※フランとクッキーを掛け合わせた「フランキー(Flankie)」

 
また最近では、クルッキーだけでなく、フランとクッキーを掛け合わせた「フランキー(Flankie)」も登場した。
フラン(Flan、カスタードケーキ)とはフランスの国民的おやつであるが、これもやはりトレンドのクッキーとハイブリッドした形となっている。土台部分がクッキーで焼き上げられた、新しくて香ばしいスイーツだ。
こうした流行は今、街のブーランジュリーから有名パティシエのブティック、そして冷凍食品のピカールまでと大きな広がりを見せている。
 



パリ最新情報「パリで人気、新しいタイプの“異文化融合”ハイブリッド・スイーツ」

※フィリップ・コンティチーニの「クルフィン」。クロワッサンとマフィンを掛け合わせている。

 
パティスリーに関しては、伝統的なものを好む傾向があるフランス。
しかし、2つの文化を取り入れた「独創的で新しい」メニューおよびデザートは、パリのビストロシーンでも主流となって久しい。
和のテイストを組み込んだフュージョン料理などは、フランス人シェフの間でも特に高い人気を誇っている。
 

パリ最新情報「パリで人気、新しいタイプの“異文化融合”ハイブリッド・スイーツ」

※日本のワサビを使ったアイスと、タンザニア・カカオのチョコタルト。

 
口コミの広がりやすさも相まって、ハイブリッドスイーツの流行は今後もしばらく続いていきそうだ。
現在ではクルッキーの家庭用レシピも続々と公開されており、「古いクロワッサンを救おう!」とフードロス対策にもなっている。(オ)
 

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