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パリ最新情報「教員による大規模ストライキが発生。政府のコロナ対策へ不満が募る」 Posted on 2022/01/14 Design Stories  

1月13日木曜日、フランス全土で学校の先生たちによる大規模なストライキが発生した。
これは、政府の学校に対するコロナ対策が二転三転しており、教員と生徒をきちんと感染から守れていないこと、そして人員補充などの対応が行き届いていないことに起因する。

まず、政府は14日金曜日より教育機関におけるコロナウイルスの感染対策を緩和することを決めた。
生徒がコロナ陽性者と濃厚接触した場合でも、陰性の結果と保護者による証明があれば登校が可能になるというもので、クラスに感染者が出ても学級閉鎖は行わないとした。

ところが、フランス教育相はこれを直前に発表。コロナが現れてから教育機関はこのように何度も政府に振り回され、「対応が間に合わない」「教育現場が混沌状態にある」としてストライキを敢行した。
また学校側はそれだけでなく、対面とオンラインのハイブリッド授業が整わない状況や、人員不足への不満も募らせているという。

パリ最新情報「教員による大規模ストライキが発生。政府のコロナ対策へ不満が募る」

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ストライキ当日には、フランス全土で約75%の教員が出勤せず、約半数の学校が閉鎖された。これは過去20年間でも最大となる見込みで、高校・大学に至っても62%の教員がストライキに参加したと報道されている。
直前には仏教育大臣のジャン=ミシェル・ブランケル氏がTV番組で「ウイルスに反するストライキをしたところで問題解決にはならない」と発言したが、結果的にこれは労働組合の感情を逆なでし、組合側は「私たちはウイルスに対して怒っているのではない。この混沌に対する全責任は政府と閣僚にある」と反発した。

フランスの先生たちによるストライキは珍しいことではない。
今回の急な緩和策については保護者連盟も同意していないばかりか、ストライキに協力的だという。
パリでは約200の学校が閉鎖されたが、保護者たちからは「コロナ禍で全てに対して柔軟に対応することができるようになったので、普段の1日とあまり変わりない」、「何が最善かは分からないが、今のようにコロコロ変わる対策には私たちも賛成していない」と一定の理解を示す声が上がったようだ。



繰り返し変更される教育現場のプロトコルに対し、「馴染んだと思えばまた次の対策が発表される。もはや学校は学びの場ではなくケア施設のようだ」と怒りを示す教師たち。
パリではストライキだけでなく、13日の14時から教育関係者・保護者たちによる一斉デモも行われた。

週明けからフランスでは新規感染者数が36万人以上という日が続き、13日にはオリヴィエ・ヴェラン仏保健相もコロナ陽性となった。
学校、閣僚と、重要な機関で次々と隔離者が出ているフランス。教育現場をはじめとする混沌はもう少し続きそうだ。(お)

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