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パリ最新情報「エッフェル塔が光と音に包まれた夜。ギュスターヴ・エッフェル没後100周年」 Posted on 2023/12/29 Design Stories  

 
1923年12月27日。エッフェル塔の設計者、ギュスターヴ・エッフェルはこの日に91歳で亡くなった。
彼の没後100周年にあたる今年は、現地エッフェル塔でもさまざまなイベントが用意されていたのだが、命日の夜には塔内で繰り広げられた特別なショーの映像が、エッフェル塔公式Facebookおよび仏TV番組内で放送された。
 

パリ最新情報「エッフェル塔が光と音に包まれた夜。ギュスターヴ・エッフェル没後100周年」



 
フランス時間の21時に公開された映像は、250個のスポットライト、エレクトロ・ミュージック、一時間に及ぶスペクタクル・・・と、度肝を抜かれるような内容だった。
このショーを企画したのは、フランス人DJで音楽プロデューサーのミカエル・カニトロ氏。
彼はDJである傍ら、フランス各地の歴史的建造物と現代アートを融合させたイベント「モニュメンタル・ツアー」を主催している。
同イベントは「芸術的創造を通して遺産の価値を高め、モニュメントを見直すこと」を目的としており、これまでにはモン・サン=ミシェルやヴァンセンヌ城、パリのパレ・ロワイヤルといった場所でパフォーマンスを披露してきた。
 

※エッフェル塔公式Xより
エッフェル塔には「ギュスターヴ・エッフェル」のシグネチャーが。映像の収録自体は11月末に行われた。



 
高さ330メートル、7,300トンの鉄骨を使った光のスペクタクルは、エレクトロ・ミュージックとともに約一時間にわたって繰り広げられた。
なお出演者は、DJのミカエル・カニトロ氏のほかに数名のアーティストのみ。
カニトロ氏は今回の演出について、「音楽とともに、エッフェル塔を夜の灯台のようにライトアップしたかった」と述べている。
 

パリ最新情報「エッフェル塔が光と音に包まれた夜。ギュスターヴ・エッフェル没後100周年」

※電子音楽とクラシックを融合させたピアニスト、ヤン・デュルシェ氏はエッフェル塔近くの石畳の上から参加。



 
歴史的モニュメントと現代音楽のコラボレーションは斬新で、普段見るエッフェル塔のライトアップよりもはるかに壮大だった。
フランスではこうしたコラボが増えているのだが、遺産とデジタル・アートを組み合わせることによって、若い世代にも保護を呼びかけているのだという。
 

パリ最新情報「エッフェル塔が光と音に包まれた夜。ギュスターヴ・エッフェル没後100周年」



 
そんなエッフェル塔も、実は切実な問題を抱えている。
ショーが放映された裏では、従業員によるストライキが起こり、一般公開が中止されてしまっていたのだ。
(ショーは1ヵ月前に撮影されていたので、放映に影響はなかった)
ストライキは一日だけだったが、ギュスターヴ・エッフェルの命日に敢行したことについて、運営会社は「絶対的な資金不足」を理由としている。
高く設定された入場者数と、低く設定された修繕費用のバランスが取れないためだ。
またこのままパリ市から援助が得られなければ、2025年には資金が尽きてしまう状態なのだという。そうした場合は、来年のオリンピック期間中にもストライキを起こすかもしれない、とのことだ。

ギュスターヴ・エッフェルの没後100年、12月27日のエッフェル塔は、こうしてパリ市に大きなインパクトを残した。
なおエッフェル塔は2017年に入場者数3億人を突破しているが、年間入場者数の目標である“740万人”には一度も到達したことがないという。(ち)

※エッフェル塔の特別ショー「Monumental tour Eiffel」
www.facebook.com/TourEiffel/?locale=fr_FR
(エッフェル塔公式Facebook)
 

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