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パリ最新情報「インフレに負けない!今が旬、お手頃価格で手に入るフランスの食材」 Posted on 2022/11/15 Design Stories  

フランスのインフレが止まらない。
INSEE(フランス国立統計経済研究所)によると、フランス国内のインフレ率は2022年10月に加速し、1年間で6,2%の物価上昇となった。
このレベルのインフレは1985年以来、37年ぶり。
特に食料品の物価上昇率はこのところ著しく、10月には1年比で11.8%、生鮮品では16.9%にまで達している。
フランスにおける高上昇率の食品には、油製品、野菜の缶詰、小麦粉、鶏肉(鳥インフルエンザも大いに関係している)、コーヒー、ミネラルウォーターなどがあるが、INSEEによればこのインフレ率は今後さらに上昇する恐れがあり、クリスマスを控えた12月には全体で6.4%になる見込みだとのことだ。

このようにフランス国民を直撃している物価上昇だが、食品は誰もが毎日手にするものであるため、できれば栄養を偏らせず、賢く消費していきたい。
そこで今見直されているのが、季節がやってくると市場に多く出回る「旬の食材」だ。
実は、仏紙ル・パリジャンなどはこうした旬の食材を毎月報じるようになっており、比較的安く手に入る季節の食品を名産地とともに紹介している。
では11月はどんな食材が旬なのか?フランスにおける初冬の味覚をご紹介したい。



パリ最新情報「インフレに負けない!今が旬、お手頃価格で手に入るフランスの食材」

まずは北部フランス産の最高品「ブショーのムール貝(Moule de Bouchot)」。
オレンジ色の身が特徴の小粒のムール貝で、地域によってばらつきはあるものの1キロあたり5ユーロ(約720円)〜9.9ユーロ(約1425円)と手ごろな値段が魅力だ。
こちらは伝統的な手法で生産されており、海岸で木製の杭(ブショー)を用いて育てられることからブショーのムール貝と呼ばれている。

100gあたり108kcalと低カロリーながら、高タンパク(100gあたり20g)、高カルシウム、亜鉛のミネラルなど、体調管理に欠かせない栄養素もたっぷり含まれているため、育ち盛りのお子さんや免疫力を高めたい大人にも嬉しい食材となっている。

1キロがどれくらいの量かというと、鍋いっぱいのムール貝(白ワインで味付け)が二人分ほど出来上がるサイズだ。
フランスではサイドにフライドポテトを添えるが、こちらもインフレの影響を受けている冷凍食品ではなく、じゃがいもを買って自宅でこしらえるというのも一つの手。

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パリ最新情報「インフレに負けない!今が旬、お手頃価格で手に入るフランスの食材」

根セロリ(céleri-rave)も旬を迎えた。こちらはセロリ風味の根菜で、フランスでは千切りをマヨネーズで和えた「セルリ・レムラード」が前菜としてよく食される。
しかしこの根セロリは非常に皮が固く、調理に手間がかかるということで長いあいだ日の目を見なかった。
ところがインフレを受け、現在はこの素朴な野菜が市場で復活を遂げつつある。
というのも、根セロリは1キロあたり2〜3ユーロ(約288〜432円)と安価であることと、健康に良いという2つの理由から知名度が上がってきているため。

パリ最新情報「インフレに負けない!今が旬、お手頃価格で手に入るフランスの食材」

※セルリ・レムラード



コルシカ島のクレモンティーヌも、この時期から出回る旬の食材の一つである。
皮にツヤがあり葉付きというのが新鮮さを保証していて、量り売りで1キロあたり2.4〜3ユーロ(約345〜432円)と低価格なのが嬉しい。
クレモンティーヌには種がなく、見た目も皮の質感もオレンジを小さくした印象。
ただ味はオレンジの甘みをそのまま濃縮させたイメージだ。
フランスではコルシカ産のものが非常に好まれており、おやつや食後の一品だけでなく、ジャムや鴨料理にも幅広く使用されている。

パリ最新情報「インフレに負けない!今が旬、お手頃価格で手に入るフランスの食材」

フランスのインフレは2023年もまだまだ続くと予想されている。
スーパーで考えながら買い物をする、という機会は当然ながら増えたが、このように旬の食材をうまく取り入れつつ、難しい時期を乗り越えたい。(内)

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