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パリ最新情報「フランスで人気、街角にある最も自由な『ミニ図書館』」 Posted on 2023/12/17 Design Stories  

 
フランスの公園、バス停、広場などでよく見かける、小さな本箱。
「ボワット・ア・リーブル(boîte à livres)」と呼ばれるこの本箱は、誰でも自由に持ち寄れて、誰でも気軽に借りることのできる、街角の「ミニ図書館」だ。
 

パリ最新情報「フランスで人気、街角にある最も自由な『ミニ図書館』」



 
ボワット・ア・リーブルはアメリカで誕生し、2008年にフランスへやってきた。
本箱の設置場所は主に、公園やバス停、市役所前といった公共施設になる。
使い方はとてもシンプルだ。
家庭で読まなくなった本を無料で本箱に入れて、読みたい人がいれば、そこから自由に持ち出すことができる。
そして本は家に持ち帰っても良いし、公園でベンチに座りながら読むこともできる。
※場所によって譲渡ではなく、返却を推奨している本箱があります。
 

パリ最新情報「フランスで人気、街角にある最も自由な『ミニ図書館』」

※児童書や小説、雑誌などが並ぶボワット・ア・リーブルは、大人も子どもも楽しめる。



 
ボワット・ア・リーブルはこのように、再利用と分かち合いを奨励する、エコロジーかつエコノミーな本箱だ。
最初はこじんまりとスタートしたプロジェクトだったが、こうした手軽さがうけて、今ではフランス全土に広がる取り組みとなった。
そのため設置者は自治体から地域組合、企業、店舗、個人までと幅広い。
本箱を一番よく見かけるのは公園内だが、中には浜辺やクリスマスマーケット、パン屋さんの前に設置されていたこともある。
 

パリ最新情報「フランスで人気、街角にある最も自由な『ミニ図書館』」

 
図書館よりも古本店よりも気軽に利用できるボワット・ア・リーブルは、そのデザインも可愛らしいものが多い。
まず、多いのは鳥の巣箱のようなデザインだ。
これは公園やスクエア(広場)に設置されていることが多いため、周りの風景にもよく馴染んでいる。
 



 
需要が増えるにつれて、ユニークなデザインも次々と登場している。
ワゴン車、電話ボックスを改造したもの、ワインの樽、冷蔵庫を改造したものなど、特に地方都市の場合では、その自由度とデザイン性が高い。
 

パリ最新情報「フランスで人気、街角にある最も自由な『ミニ図書館』」

©Ouillard.eu
※ボワット・ア・リーブルの先駆者となった町、南仏・ソレイド。町のバス停にはやはり本箱が。



 
こうして自由が魅力のボワット・ア・リーブルは、誰もが知る街の「ミニ図書館」となった。
ただ管理する人が常駐しているわけではないので、綺麗に保てるかどうかは利用者次第となる。
それでも煩雑な本箱を見かけないということには、利用者の配慮を感じずにはいられない。
そんなボワット・ア・リーブルについて仏情報サイト「Les Outils Tice」は、「電子書籍をダウンロードするほど手っ取り早くはないが、オンライン世界とは別の楽しみがある」と述べている。(内)
 

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