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パリ最新情報「時の試練に耐えたヴェルサイユ宮殿、400周年を迎える」 Posted on 2023/08/07 Design Stories  

 
世界遺産に登録されているヴェルサイユ宮殿が今年、400周年を迎えた。
4世紀という長きにわたり、フランス絶対王政の象徴的存在となっているヴェルサイユ宮殿。
しかしもともとは、ルイ13世がこの土地に狩猟小屋を建設したのが始まりだった(1623年)。
その息子であるルイ14世は後に「太陽王」と呼ばれ、1682年には宮廷をヴェルサイユに移した。
ルイ14世は自身の治世の素晴らしさをヨーロッパ中に知らしめようと、ヴェルサイユ宮殿を「世界で最も美しい建物の一つ」に変貌させたという。
 

パリ最新情報「時の試練に耐えたヴェルサイユ宮殿、400周年を迎える」



 
この記念すべき年には、現地ヴェルサイユ宮殿で多彩なイベントが用意されている。
まずは、「かつての宮殿で最も秘密めいた部屋」と言われるマリー・アントワネットの私部屋が、期間限定で再公開されたことだ。
公開するにあたって、現地では10年にわたる調査と修復作業が行われていた。

ヴェルサイユ宮殿、王妃の寝室の羽目板や掛け物には、マリー・アントワネットの私室に通じる秘密扉が隠されている。
この場所はマリー・アントワネットが王宮の面倒事から逃れるためによく非難した場所だったといい、広さは100㎡で2階建て、数少ない友人と側近にしか訪問が許されなかったそうだ。
 

パリ最新情報「時の試練に耐えたヴェルサイユ宮殿、400周年を迎える」

©Château de Versailles, T. Garnier



 
修復が行われたのはダイニングルーム、第二の寝室、ビリヤード室を含む7つの部屋だった。
これらの部屋は、マリー・アントワネットが過ごした当時の姿に復元された。
期間は6月27日〜7月9日、8月10日〜24日までと短いが(ガイド付き予約必須)、ヴェルサイユ宮殿に多くあるという隠し扉の存在は、大変に興味深いものがある。

去る5月には、敷地内の庭園に「Le Jardin du Parfumeur(調香師の庭)」も誕生した。
これはクリスチャン・ディオールの専属パフューマ―であるフランシス・クルジャン氏協力のもと、今まで公開されていなかったオランジュリーの区画内に設置された。
庭園には100種以上の草花のほか、ヴェルサイユ宮殿における香水の歴史をたどる小道も設けられている。
18世紀には化粧品が宮殿で大流行したというが、マリー・アントワネットが愛した花々の香りなどをここで体験することができる。

そして9月16日には、ヴェルサイユ宮殿400年の歴史を辿る「歴史ギャラリー」がリニューアルオープンする。
北翼棟の1階に位置するこのギャラリーでは、100点以上の作品が年代とテーマごとに紹介される。
こちらの歴史ギャラリーでは3D展示など、デジタル技術を駆使した作品紹介が行われる予定だ。
 



パリ最新情報「時の試練に耐えたヴェルサイユ宮殿、400周年を迎える」

 
ヴェルサイユ宮殿はフランス革命後、取り壊しの危機にあったという。
しかし取り壊しは何とか免れ、1837年には歴史美術館として再スタートを切った。
21世紀の現在ではフランス中の職人がここに集まり、当時の雰囲気を忠実に再現しようと懸命な修復作業が行われている。
なお401年目の来年には、ヴェルサイユ宮殿の壮大な庭園がオリンピック馬術競技の会場にもなる。(大)
 

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