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パリ最新情報「ピエール・エルメが提案する、春の『ジャポニズム』!」 Posted on 2022/05/03 Design Stories  

 
フレンチパティスリー界の重鎮、ピエール・エルメは現在、日本の食材にインスパイアされた『ジャポニズム』フェアを開催している。
4月25日から始まったジャポニズムの内容は、以前に人気のあったケーキのリバイバル作品。
昨年も同時期に開催され、大成功を収めた。
では日本のどんな味がフランス人を魅了しているのか。
重鎮ピエール・エルメが証明する。
 



パリ最新情報「ピエール・エルメが提案する、春の『ジャポニズム』!」

 
フランスにはショートケーキが存在しない。
ところがピエール・エルメは、メゾンを代表するフレーバー「イスパハン」をショートケーキに落とし込んだ。
ソフトな口あたりのビスキュイに、ローズ風味クリーム、ライチとフランボワーズのコンポートが層となり、エルメらしい上品な甘さに。
ピンク色のクリームを絞った華やかな見た目もポイントで、自分へのご褒美としてはもちろん、手土産としても喜ばれそう。

食感は日本のショートケーキよりやや硬め。
フランスにはふわふわのスポンジケーキというものがなく、どの生地も密度が高い。
そのためこのショートケーキ イスパハンは、上品ながらもフランスらしい濃厚さがある。
日本のショートケーキにフランスのエッセンスが加わった、楽しく豪華な一品だ。
 

パリ最新情報「ピエール・エルメが提案する、春の『ジャポニズム』!」

 
フランス人が大好きな日本のフレーバーに、抹茶と柚子がある。
この二つはもう鉄板で、パティスリーだけでなくフランス料理店でもよく登場している。
もちろん、ジャポニズムにも抹茶と柚子のタルト「タルト・シャドー」が一員として加わった。
とろっとした外皮が特徴的で、高知県の柚子を使用したガナッシュと、濃厚な抹茶クリームがアクセントになっている。
しっかりと西洋風のタルトなのに、どことなく和菓子の雰囲気も。
柚子の酸味と抹茶の苦みが効いているので、子供向けではない「大人のタルト」と言えそうだ。
 

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パリ最新情報「ピエール・エルメが提案する、春の『ジャポニズム』!」

 
日本は、ピエール・エルメにとって第一号店をオープンさせた大事な国。
そんな日本を象徴する桜が「ジャルダン・ジャポネ」として可愛らしいケーキになった。
桜モチーフの飾りに、土台の生地もピンク!
ベースはレモン風味のビスキュイで、中にはチェリーとトンカビーン、レモンのコンポートが詰まっている。
この春は、パリ近郊の公園で花見がかつてないほど流行した。
こうして桜を愛でる習慣は、春の風物詩としてフランスでも広がりつつある。
 



パリ最新情報「ピエール・エルメが提案する、春の『ジャポニズム』!」

 
ジャポニスムとは関係のない、エルメの新作もちょっとご紹介。
「Bayadère(バヤデール)」と呼ばれるさっぱり風味のケーキは、人気シリーズのリニューアル作品。
ライムのムース、ローズとマスカルポーネのクリーム、イチゴとルバーブのコンポートで甘酸っぱい仕上がりになっている。
フランスでは気温も上がり、さっぱりとした味のスイーツが並ぶようになった。
加えてイチゴは今が旬。そのためイチゴをふんだんに使ったパティスリーをあちこちで見ることができる。
 

パリ最新情報「ピエール・エルメが提案する、春の『ジャポニズム』!」

 
フランスは、さまざまな分野で日本文化に影響を受けている。
食の世界、とりわけスイーツ界はその傾向が著しく、パリではモチ(大福)や今川焼きの専門店も登場した。
ピエール・エルメのジャポニズムはショートケーキ、抹茶、柚子、桜と王道作品が並んだが、これからどんなニッチな作品が出てくるか楽しみだ。(内)
 

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