欧州最新情報

パリ最新情報「パリ市、公園でのポニー乗馬に終止符を打つ。2025年から」 Posted on 2023/08/16 Design Stories  

 
パリ市内にある公園では、子ども向けのポニー乗馬が禁止されることになった。
今後は段階的に廃止され、2025年末には完全に終了する予定だ。
主な理由としては、動物愛護が挙げられている。
決定を下したパリ市議会によれば、「これからは商業的な乗馬をするのではなく、ブラッシングをしたり、動物のニーズを理解するなど、子どもたちが“ケア”に関与していくのが望ましい」ということだ。

ポニー乗馬は現在、モンソー公園(8区)、ビュット・ショーモン公園(19区)、ブローニュの森(16区)、ヴァンセンヌの森(12区)など、パリ市内にあるいくつかの大型公園で実施されている。
※年齢は15か月以上、かつ体重30㎏未満の子どもに限定されている。
これまで何十年もの間、親たちは水曜、週末、学校の休日には、最低料金3.50ユーロ〜(約556円)で子どもたちをポニーの背に乗せて、公園内を一緒に散歩することができていた。
 

パリ最新情報「パリ市、公園でのポニー乗馬に終止符を打つ。2025年から」

※モンソー公園(8区)



 
しかしポニー乗馬の在り方については、パリ市議会で2年ほど前から議論が行われていたという。
パリの主要な動物保護団体であるPAZ(Paris Animaux Zoopolis)との協議では、ポニーの乗馬そのものではなく、ポニーたちの休憩時間に自由がなく、炎天下でも縄に繋がれたままでいること、そして長距離の移動を強いることが問題だった、と指摘された。
 

パリ最新情報「パリ市、公園でのポニー乗馬に終止符を打つ。2025年から」



 
長距離の移動というのは、ポニーたちが郊外から運ばれてくることに原因がある。
彼らは公園内で暮らしているわけではなく、イル・ド・フランス(パリ首都圏)にある牧場や小屋から移動してくるため、毎度トラックに乗らなければならない。
中には1日往復6時間、トラックに乗って移動するポニーもいるそうだ。
PAZの主張によれば、南部のトゥールーズでは牧草地や生活エリアが公園の隣にあるが、パリで問題なのは、ブリーダーがポニーを何キロも運ばなければならない点にあるという。
パリ首都圏では渋滞も多く、ポニーに大きなストレスを与える恐れがある。

そのような経緯により、公園でのポニー乗馬に終止符が打たれるのだが、パリ市議会は「パリ市民からポニーを完全に奪うつもりはない」とも述べている。
パリ市の副市長は来月9月には、より動物に優しい、新しいポニーの扱い方を検討する予定だとした。
そのため2025年以降はポニー乗馬を禁止する代わりに、状況を改善し、先述したような“ケア”に関与する方法が取られる可能性が高い。
 

パリ最新情報「パリ市、公園でのポニー乗馬に終止符を打つ。2025年から」



 
パリでは、シテ島の小鳥市の廃止、そしてムーラン・ルージュでの伝説的な蛇のショーが終了するなど、動物福祉を守るための規制がどんどん強化されている。
今回、2025年からはポニー乗馬がこれに加わることになった。(大)
 

自分流×帝京大学