欧州最新情報

パリ最新情報「9年連続で減少するパリの人口。人口を伸ばす区と離脱の激しい区の格差も広がる」 Posted on 2023/01/03 Design Stories  

 
昨年暮れの12月29日、パリおよびパリ首都圏の人口に関する推計が、INSEE(フランス国立研究所)によって明らかになった。
これはINSEEが5年ごとにまとめている統計で、人口の推移をより細かく可視化するために行われる。
当初は2021年の発表予定だったが、健康危機により2022年末に公表が延期になっていた。(前回は2016年、前々回は2011年)

まず最新のデータによると、パリ市民の数は依然として減少を続けており、2014年から2020年の間に年平均で12,400人の住民が離脱していることが分かった。
つまりこの6年間でパリ市は7万5000人弱を失ったことになる。
ただこれは2020年までの統計であるため、コロナが引き続き猛威を振るっていた2021年の結果はまだ反映されていない。
2021年以降もパリ離れが加速しているという事実は肌感覚でも分かるほどなので、次回の統計ではさらなる減少が予想される。
 

パリ最新情報「9年連続で減少するパリの人口。人口を伸ばす区と離脱の激しい区の格差も広がる」



 
なお、イル・ド・フランス(パリ首都圏)全体でみると、居住者は12,271,794人とフランス国内で最も人口の多い地域となっている。
フランスの総人口が約6750万人であることを考えれば、およそ5分の1の国民がこの地域に身を寄せているという計算になる。しかしながらイル・ド・フランス圏自体では人口が減少しておらず、年平均では0.8%の増加率ということだ。
よって、パリ市のみが顕著な人口減少を見せているという結果に繋がった。

パリ市内、区別の統計では、エッフェル塔やオルセー美術館を擁す7区の減少が最も激しい(ー12.6%)。
理由の一つには高齢化が進んだというのもあるが、過去50年間では-44%もの減少を見せており、パリ市内でも人口の減りが非常に目立つ地区となっている。
7区のラシダ・ダティ区長はこれについて、自家用車の交通問題、特に2021年に始まった30km/hの速度規制と、固定資産税の増額が今後の人口離脱に拍車をかけてしまうだろう、と危惧している。
 

パリ最新情報「9年連続で減少するパリの人口。人口を伸ばす区と離脱の激しい区の格差も広がる」

地球カレッジ



 
一方で人口を伸ばしている地区がパリ市内に二つあった。
オペラ座のある9区(1.3%増)と、マレ地区として賑わう4区(8.5%増)の二地域だ。
特にこれらの地域では、資産家たちが行政機関やオフィスビルを先取りして購入し、シェアハウス、中間住宅として居住用に変身させていたことが大きかった。
またリノベーション事業も盛んに行われており、4区ではパリ市民、地方からの移住者、外国人顧客から常に大きな需要があるという。
特にパンデミック後ではアメリカ人による住宅購入件数がかなりあるといい、家族向けの中古アパルトマンが魅力的な価格で売買されてから改築される、というケースが後を絶たない。

パリ郊外では、パリ北部にあるセーヌ・サン・ドニ県が2014年以降、毎年最も住民を増やしているイル・ド・フランスの県ということだ。
人口の年間平均増加率は0.9%で、イル・ド・フランスの他の県と比べてもかなり高い。
そしてこれは住民が総じて若いため、出生率が高く、死亡率が低いことも有利に働いているという。
 



パリ最新情報「9年連続で減少するパリの人口。人口を伸ばす区と離脱の激しい区の格差も広がる」

 
とはいえパリ離脱現象は、特に高額な住居費や、度重なるロックダウンが原因で別の生き方を模索するパリジャンが増えたことが原因だとINSEEは明言する。
ただこうした動きは今までにもフランス各紙が報道してきた内容なので、想像にはほとんど難くない。

またINSEEは、パリの人口離脱について「方向転換の目処は立っていない」と見積もっている。
2050年から2059年にかけてはパリの人口が200万人を割り込む可能性もあるということだ(現在約214万人)。

折しもパリ首都圏では2007年以来、グラン・パリ計画という都市開発が行われている。
パリを拡大し、周辺地域を取り込んで、競争力の強い国際都市にするのが目的だというが、この壮大な計画がワークライフバランスを重視する人々の意識を引き止められるのか。
いずれにしろパリ首都圏ではドーナツ化現象が勢いよく進んでいることが分かった。(内)
 

自分流×帝京大学