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週末ランチにやってみたい、父ちゃんの料理教室「本場、パリの味、クロック・マダム~!」 Posted on 2024/03/02 辻 仁成 作家 パリ

週末ランチにやってみたい、父ちゃんの料理教室「本場、パリの味、クロック・マダム~!」

まだ、息子が、我が家にいた頃のある日の息子とぼくのキッチンでのやりとり、から、じわじっとほほ笑んで、おいしくなってください。
あはは。笑。
まずは、今日、必要な材料は、こちらです。
【材料】
クロックムッシュ・クロックマダム材料:バター15g、小麦粉15g、牛乳150ml、塩こしょう適宜、食パン(できれば薄切り)、ハム、とろけるチーズ、卵

では、、、

息子よ、
男の人って、こっちでは、ムッシュって呼ばれるじゃないか、パパも、通りを歩くと、「ムッシューツジー」って言われる。笑。
実はね、パパは「ムッシュ・ツジ」って呼び止められるの、気に入ってるんだ。
ムッシュ~って、可愛らしいものね。
「ムッシュー!」
君はまだ、ムッシュと呼ばれることは滅多にない。若いから当然だね、でも、だんだん、言われるようになる。
フランスの男の子たちにとって、ムッシュと言われることはある種の憧れであり、同じように、女の子たちもみんな一日も早くマダムになりたがってる。そうだろ?
日本はいつまでも子供でいたいという大人がパパの時代には多かった。
ピーターパン症候群とかモラトリアム人間、とか、言われていた。



日本ではモラトリアムの猶予期間を精一杯利用してぐずぐずと大人になることを目指す若者が多かったけど(今は知らない。日本を離れて20年)、そういう意味じゃ、フランスの若者たちは背伸びして今すぐ大人扱いされたい子ばかり、ある意味、早熟なんだな。

パパの知り合いの日本人のS君なんて、在仏20年を超えるのに、なかなかムッシュと呼んでもらえないと落ち込んでいたけど、パパは、自慢じゃないが、最初からムッシュだったぞ!
君が生まれる前から、ずっとムッシュ・ツジだった。笑。
ムッシュというのは、紳士的振る舞いがきちんとできる人に使われる呼称だから、(爆笑)、S君の生活態度がどこかいつまでも子供っぽいからじゃないのか、と言ってやったこともある。えへへ。
わかるだろ、パパを見てたら、威厳のかたまりのムッシュでしかない。
おい、なんで笑うんだ。そこ笑うとこちゃうで! 
あはは。

週末ランチにやってみたい、父ちゃんの料理教室「本場、パリの味、クロック・マダム~!」

※ クロックムッシュは、ベシャメルソースから作るんだよ。

週末ランチにやってみたい、父ちゃんの料理教室「本場、パリの味、クロック・マダム~!」

週末ランチにやってみたい、父ちゃんの料理教室「本場、パリの味、クロック・マダム~!」



ムッシュと呼ばれれば、逆に大人として扱われたという証拠でもある。君も頑張って、みんなにムッシュと呼ばれるように、がんばりたまえ・・・。

そういえば、街の哲学者のアドリアンに、「しかし、フランス人って世界一変わっているよね」とこの前、言ってやったら、「ムッシュ辻、それは違う。個性的と言ってくれよ。日本みたいにみんなが同じじゃないといじめられる社会って逆にどうなの? 我々は個性を尊重する。一人一人に人格があり個性が認められている。いいかい、自由という言葉はフランスで生まれたんだよ。君たちももっと個性を尊重すべきだ」と逆に、怒られちゃった。

そういえば10年ほど前に、サンジェルマンのカフェで女優のカトリーヌ・ドヌーブさんがお茶をしてたんだけど、日本だったら、きゃ~きゃ~大騒ぎになるところだろうにねぇ。
しかし周囲のマダムたち「ふん、私の方がもっと綺麗よ」みたいな感じで誰一人彼女を見ようともしない、…。笑。
で、全員がつんと鼻を高くさせて大女優みたいになって、お茶を飲んでた。
そういうのを見ると、めっちゃフランス~、笑。
「有名だからなに? 私も生きているし、私だってたくさん恋をしてきたし、私の人生だって誇らしいのだからミーハーなことは出来ません」みたいなちょっと無理した感じのつっぱり感、なんて素敵なこと。
でも、内心は「あ、カトリーヌドヌーブがいるわ」とそわそわしているはずなんだけど、笑。
自分を中心に世界が回ってるという、ある意味自分を大切にした生き方、パパももっと見習いたいと思う。え? もう十分だって? 
あはは。

ということで今日はフランスの紳士淑女たちが大昔からこよなく愛してきた、1910年にパリのオペラ座近くのカフェではじまったとされるホットチーズトースト、いわゆるクロックムッシュを作ってみることにしよう。
でも、普通のクロックムッシュじゃ面白くないからね、上に目玉焼きを載せた「クロックマダム」だ。
なんとも、このユーモア、最高じゃないか!

週末ランチにやってみたい、父ちゃんの料理教室「本場、パリの味、クロック・マダム~!」



まず、オーブン(グリル)を200度に予熱する。小さなフライパンにバターを溶かし、小麦粉をふるい入れ、ふつふつとするまでよく混ぜ合わせる。
牛乳を少しずつ4回くらいに分けて加え、中火でダマにならないようその都度よく混ぜ合わせていくんだ。
すると、とろっとしたベシャメルソースが出来上がる。
食パンにハムとベシャメルソースを載せ食パンで閉じ、さらにチーズを載せオーブンに入れ10分ほど焼き、チーズに焼き色がついたら完成だよ。
簡単だよね。
そこに目玉焼きをのせればクロックマダムになる。
コケコッコーー。けっこーでした。
パリのカフェの味をご家庭でどうぞ。
さぁ、喰うか! ボナペティ!

週末ランチにやってみたい、父ちゃんの料理教室「本場、パリの味、クロック・マダム~!」

さて、クロックマダムを食べた後に、お知らせです!

●小説「十年後の恋」集英社文庫版、重版!
●小説「東京デシベル」がイタリア、Rizzoli社から刊行されました。
●3月3日、両国国技館、ギタージャンボリー出演。
●3月6日、ツジビル・ライブ(SOLD OUT)
●4月19日、ロンドン、ライブ。詳細はこちらから☟

https://www.eventbrite.co.uk/e/2gz-tsuji-and-hide-live-japanese-music-in-london-tickets-790578039197?aff=oddtdtcreator

●6月28日、ボルドー・ライブ、予定。(詳細待って)
●6月30日、パリ・ライブ決定(詳細、待って)
●7月3日、リヨンでライブ。(詳細、お待ちー)
●9月後半、コルシカ、アジャクシオ、ライブ。(詳細、待って)

https://www.instagram.com/japan.stories?igsh=MTA2dWFjODdsZnNrZA%3D%3D&utm_source=qr
新しいデザインストーリーズのインスタも再始動! 
https://www.instagram.com/designstories_paris?igsh=cHlpdGFvdWkyYmdj&utm_source=qr
・それから、ぼくのなりすましが、ファイスブックで暗躍していて、問題が起きている、というので、皆さん、フェイスブック、ぼくはやっておりません。なりすましには、近づかないように、友だち申請とかしないでくださいね。要注意です。
お知らせ、以上です。

週末ランチにやってみたい、父ちゃんの料理教室「本場、パリの味、クロック・マダム~!」



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