JINSEI STORIES

滞日日記「あさイチからはじまり、よるイチまで大騒動の父ちゃん」 Posted on 2022/08/05 辻 仁成 作家 パリ

某月某日、朝の5時起きで、眠い目をこすりながら、準備をし、NHKに向かった。
6時過ぎだったが、職員の方も結構いて、朝から賑やかであった。ディレクターさんとの打ち合わせのあとスタジオに、すでに放送開始5分前であった。
父ちゃん、生放送恐怖症なのだけど、椅子に座ると、だいたい普通な感じに戻る。もう、どうにでもなれー、という父ちゃんの呪文がこういう時に役立つ。
「えええい、もう、どうにでもなれ!」
すると、大吉さんが、「本を頂きました。ありがとうございます。昨日頂いたのでまだ読んでいませんが、必ず読ませて頂きます」と実に丁寧な・・・、ううう、優しい。
マガジンハウスさんが拙著「パリの空の下で、3000日」をぼくの名前で送ってくださったのに違いない。
わざわざ本番前にこうやってお礼を言える人、素敵。すっかり、大吉さんファンになった、父ちゃんなのであった。
すると、隣の鈴木アナウンサーさんも「いつもブログ読んでいます」と声をかけてくださって、うううう、ダブルで優しかった。
華丸さんは遠くから優しそうな顔でこっちを見ていた。遠かった・・・。笑。(これはコロナ感染対策なのであろう。仕方がない)
3度目の出演くらいだと思うけど、居心地がよくて、だんだん、緊張が和らいでいった。
生放送って、はじまると終わるので、はじまったら、もう、どうにでもなれの精神で、乗り切っている。人生と一緒なのであーる。

滞日日記「あさイチからはじまり、よるイチまで大騒動の父ちゃん」



ぼくが一番感動したのは、耳の不自由な学校のお話、代表の尾上さん(?)だったか、ご両親が耳がご不自由だが、ご本人はそれがきっかけで今はこういう学校をがんばっている。
この方のおしゃべりに涙が出そうになった。押しつけがましくなく、いい人なんだろうな、というのがモニター画面から見えた。ありがとう。
今日は、大雨で、地震もあり、番組がニュースだらけだったけど、日本の今がよくわかって、出てよかった。
災害で苦しんでいる皆さんが、一日も早く穏やかに眠れますように、・・・。
日本は自然災害とともに共生しないとならない国だからね、それを、今日、日本で改めて思い知らされた。
とまれ、大吉ファンとして、これからは生きていかなきゃ。まる。

滞日日記「あさイチからはじまり、よるイチまで大騒動の父ちゃん」



ホテルに戻り、レストランで息子とそのお嫁さんと三人で食事をした。
ぼくが緊張しないで会える数少ない二人でもある。でも、しょっちゅう会えないので、こうやって、たまに、会えると、笑顔が広がる。嬉しいなぁ。
「あさイチに出たんだぜー」
「えー、知りませんでした。お父さん、残念、見たかったぁ」
お嫁さんが言った。お父さん、と呼ばれる。嬉しい。可愛い子だ。
美味しいご飯を三人で食べた。息子とぼくは天丼だった。気が合う。あはは。
はじめて息子がパリにやってきたのは、5、6年前かな。前のアパルトマンの時だった。
息子と息子と三人でイタリアンを食べたら、息子が喉にパスタをつまらせて、大変なことになったのだった。緊張していたのかな。
でも、あの夜は忘れられない夜であった。

滞日日記「あさイチからはじまり、よるイチまで大騒動の父ちゃん」



息子とお嫁さんとわかれたら、朝が早かったから疲れて寝落ち・・・ぐうぐう。すると、着信音。
いとこのミナちゃんから、
「もうすぐ、着くのよ」
というメッセージであった。
「もう、会いたくて会いたくて、仕方がないの」
まるでお母さんのような言い方なので、おかしかった。
ぼくが仕事で忙しいので、ミナが空港まで彼を迎えに行った。
埼玉県に住んでいるので、バスで一時間半くらいかかるのだそうだ。
でも、そうやって息子のことを自分の子のように思ってくれる人がいてくれるのは、有難い。(大阪と横浜のビルボードライブが終わるまではお世話になります)
シングルファザーというのは、人に迷惑ばかりかけて生きている。
しかし、人情の深さをいつも教えて頂ける。人が困っている時に、蹴とばす人か、逆に手を差し伸べてくれる人か、いろいろいるね。人間に殺され、人間に救われる人生・・・
でも、ぼくは支えてくれる人に恵まれてきた。
苦しい時の方が大きかったけれど、だからこそ、感謝の意味がよくわかるということもある。
「Wi-Fiのお店がわからなくて」
息子のWi-Fiを空港で借りて貰う。そんなことまでお願いしたのだった。
でも、大丈夫よ、任せて、と面倒くさがらないでいつもやってくれる。
ミナに足を向けて寝られない辻家の二人であった。
と、息子から、
「事務所の住所教えて」
とメッセージが不意に飛び込んだ。おおおお、着いたのだ!
「あ、もう大丈夫」
ん? どうした? それだけ????

滞日日記「あさイチからはじまり、よるイチまで大騒動の父ちゃん」



すると、パリ事務所のスタッフさんから、
「ロストバゲージだそうです!」
とメッセージが入った。
「いきなりーの、ロストバゲージ!!!」
最近、多いとは聞いていたけれど、大丈夫なんだろうか?
息子、日本に到着からのロストバゲージかぁ、厄落としみたいなものかもしれない。
ぼくは、ライブに向けて、ギターの弦を張り替えた。
新しい弦で、ファンの皆さんと向き合いたい。

つづく。

今日も読んでくれてありがとう。
テレビ出演のあと、パリ・国虎の野本ちゃんの奥さんから、「辻さん、あさイチ、見ましたよー」と連絡あり。パリでも見ることが出来るのか、とびっくり。コシノジュンコさんからも「見たわよー」と連絡あり、あさイチったら、すごいじゃないのー。
ということで、はなまる。
さて、父ちゃんからのお知らせですよ。
マガジンハウス刊「パリの空の下で、息子とぼくの3000日」は全国書店で発売中です。4刷、10000万部が書店に行き届いたらしいので、ぜひ、手に取ってくださいね。でも、その中にも書かれていないもう一つべつの3000日も存在していました。それが、実は人間というものなのです。
そして、8月31日に小説教室を開催します。小説を書いてみたいみなさん、ぜひ、ご参加ください。作家生活30年超の父ちゃんが実践的な小説の方法をご教授いたしますぞ。今回の課題は「夢」をテーマにした10枚以内の掌編小説、もしくは長編小説の冒頭の10枚になります。課題のご応募はとくになくても、楽しくご参加できますので、気楽にお立ち寄りくださいませ。詳しくは、下記の地球カレッジのバナーをクリックください。

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