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滞仏日記「タイタンをクビになるわけではないとは思うが、東京の拠点が消失の巻」 Posted on 2023/04/04 辻 仁成 作家 パリ

某月某日、東京を離れて20年近い歳月が流れた。
ここ数年(離婚後)、東京根城にしていたのはタイタンさんのアパルトマンであったが、実は、そこが使えなくなった。
理由は今一つわからないが、マネージャーさんに、「あそこでの寝泊りがもうできなくなるのです、荷物の移動をお願いします」と言われたのが、前回の帰国時であった。
つまり、日本での滞在先がなくなってしまったのであーる。ぎょえ。
前回、不意に、そういう話を打ち明けられ、バタバタ、となった。(内緒にしておりました。皆さんを心配させないために・・・。ということでここのところ、日本に戻る回数が減っております)
長年、そこに置いてあったギターとか私物をすべて別の場所、一部は福岡の事務所などに移動させたのだ。(けっこう、大変だった。ギター預かって貰えませんか、とタイタンさんに打診したが、デリケートで高価だから楽器は難しいです、と断られた)
なので、ギターはクレモンティーヌの事務所に次のコンサートまで避難させることに。
私物は、福岡の個人事務所に送った。あとは、機材とか、友だちにあげた。
ということで、今現在、東京に拠点がないのである。なっしんぐ!!!
タイタンさんには、今まで大変、お世話になったので、マジ、感謝しかない。
ええと、独立とかそういう話ではないとは思う。(え? そう思ってるのは自分だけで、もしかしたら、クビ? ぎゃああ、クビなの? 63歳ロートルの俺、クビ???) 
あはは、確かにバラエティとか出たくない、とか言うやつはクビで当然である・・・。
このまま、ノルマンディで引退まで走り続けるというのも手だけれど、日本でもコンサート活動などやりたいしね。ぼくはミュージシャンなので、日本での音楽活動は重要だ。
どうしても東京に拠点が必要なのだぁ、ですよね?

滞仏日記「タイタンをクビになるわけではないとは思うが、東京の拠点が消失の巻」



そこで、荷物のおける部屋をここ数か月探したのだけど、そう簡単には見つからない。
借りてもいいが、年に2回程度しか滞在しないので、10か月ほどの家賃が無駄に。
やっぱり、東京に自分の私物や創作活動のための道具がないのは、不便で、毎回、パリから(今はノルマンディから)移動させるっていうのはね~。これは、困った。
そこで、今、部屋探しをしている。あはは。

滞仏日記「タイタンをクビになるわけではないとは思うが、東京の拠点が消失の巻」



この夏、オランピア劇場ライブが終わったら、ぼくは日本でライブ活動準備をしたいので、戻る予定なのだけど、拠点がないと、どんどん、日本から遠ざかってしまう。
ぼくの親友のおなじみ、シマちゃんに相談をしたら、そんなに広くはないけど、そんなに狭くもない、一つ貸してもいい部屋があるんだけどなぁ、と言われた。
ツジちゃんが日本で活動するくらいなら、ちょうどいいかも、というのである。
まだ、見てない・・・。
「でも、家賃、高いでしょ?」
すぐお金の話をするのは、よくないが、ここは通らないとならない道なので、率直に訊いてみることにした。
「ツジちゃん、お金じゃないでしょ? 創作活動が大事でしょ?」
「いや、シマちゃん、お金だよ。湯水のようなお金はないもん」
「でも、ツジちゃんには日本で活躍してもらいたいんだもん」
「ええ!? そういうこと?」
「フランスもいいけど、やっぱ、辻仁成、日本で頑張ってくれよ。日本を背負って、日本から発信すりゃあ、いいじゃないか。応援させてよ」
要は、使ってない部屋があるから、つかっていいよ、ということだった。
「いいんですか、島田さん」
不意に敬語になってしまう父ちゃんなのであった。げんき~ん。ひょーきーん。
「自由に使って、そこを根城にして、音楽活動とかがんがんやってほしい」
これは、まだ、確定した話ではないのだ。
今日の朝の定例ライン電話(月に一度、シマちゃんと世相について話し合いをしている)、中で出た話であった。でも、調子のいいことを言う人でもない。
「ありがとう。ちょっと考えてみる」
「あのね、開いてる部屋の図面があるから、あとで送るね。内装とか好きにしていいよ。なんなら、工事業者でいい人いるから紹介するよ。とにかく、好きに使っていいよ」
面白いことになった。好きに使っていい部屋の候補が出てきた。

滞仏日記「タイタンをクビになるわけではないとは思うが、東京の拠点が消失の巻」



45平米くらいの部屋だった。
ぼくはもちろん、家賃を払うつもりである。彼はいらないというかもしれないけど、自由に気兼ねなく使える方がいいからね。
そうすれば、帰りたい時に、いつでもすぐに日本に飛んでいくことが出来る。
日本全国ツアーもやりたいし、演劇や映画もまたやりたいので、これはありがたい話しであった。
「あの、そこで料理教室とかやってもいいの?」
「いいよ、だって、貸すんだもの。ツジちゃんが好きに使えばいいじゃん」
「マジか。キッチンあるの?」
「あるけど、小さいかな。何か必要なものがあれば、いれてもいいよ」
「オーブンとかある?」
「ない。ないけど、どんどん、いれてよ」
「ちなみにですけど、勝手に内装とかして、自分の世界観がんがん出してもいいの? 家具とか、フランスから送ってもいい?」
「いいよ。それ、見て見たい」
ということで、話が進んでいるのだけど、どうなるか未知数である。
今、ぼくの頭にあるのは、そこでプライベート・レストランとか、料理教室とか、ミニコンサートができる機材入れて、プライベートライブハウスとか、プライベート映画館とか、45平米だけど、やったら、面白いかもな、と思ったのであった。思っただけだけど。
さて、どうなるか。
ということで興奮気味な父ちゃん、発想がいつものごとく、先走り、尻つぼみもよくあることなので、皆さん、話は半分以下で聞いておくように。あはは。
眠れない夜になりそうだ。
ともかく、皆さん、合言葉は、熱血~。

滞仏日記「タイタンをクビになるわけではないとは思うが、東京の拠点が消失の巻」



つづく。

今日も読んでくれてありがとうございます。
さて、新拠点の話はめっちゃ助かっていますし、いいんですけど、タイタン、まだマネージメント続けてくれるのでしょうかね。続けてほしいなぁ。爆笑好きだし、居心地いいんですけど、ぼくがバラエティとかマジで、向かないので、そこですよね。dancyu植野編集長とのお笑いユニット、だんちゅーでござる、も不発だったし、あはは、あれか・・・。
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5月29日 辻仁成 パリ・オランピア劇場 ライブコンサ-ト!


ついでに、父ちゃんのニューアルバム「ジャパニーズソウルマン」、お好きな音楽プラットホームから選ぶことが出来ますので、聞いてみてくださいね。

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滞仏日記「タイタンをクビになるわけではないとは思うが、東京の拠点が消失の巻」

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