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滞仏日記「料理の腕前が急上昇中の息子くん、料理を教えてほしい、と連絡が」 Posted on 2023/11/24 辻 仁成 作家 パリ

某月某日、ノルマンディ地方では、近づくクリスマスに向けて、各村や町の広場にクリスマスの飾りつけが始まったのであーる。
今日は、動画配信のために、日本の軽井沢にあたる「ドービル」に出かけた。(ドービル国際映画祭がとっても有名な避暑地です)
雨はやんだが、下がぬかるんでいたので、三四郎は車の中でお留守番となった。
ここには画材屋があるし、マルシェも立つので、時々、立ち寄っている。とにかく、パリジャンにおける軽井沢的な(村?市?)町なのである。
業者の人たちがもみの木を切って、広場に立てたり、或いは、周辺の電柱や街路樹によじ登って、華やかな電飾をとりつける作業にとりかかっていた。風物詩である。
これが点灯すると、一気にクリスマスムード満点となる。
ノルマンディはフランスの中でも上位を争う、飾りつけがいちいち可愛い世界なのだ。
今年はどんな風景が広がるのであろう。
ぼくは、ドービルの市内からヴォードウオークのある浜辺まで、30分ほど、動画生配信をやった。ノルマンディホテル周辺を歩いた。デパートのプランタンもある。しかも、おとぎの国にありそうな可愛いデパートなのであった。
車に戻ると、

滞仏日記「料理の腕前が急上昇中の息子くん、料理を教えてほしい、と連絡が」

滞仏日記「料理の腕前が急上昇中の息子くん、料理を教えてほしい、と連絡が」



息子からメッセージが飛び込んだのだ。
「土曜日とか、ご飯食べに行っていい?」
土曜日って、明後日じゃん。じゃあ、明日、帰らないとならなくなった、ということか。
「あ、もちろん」
「あのね、ミネストローネの作り方、教えてほしいんだ」
「いいね。もちろん」
「あと、何か美味しいものが食べたい。いつも自分で作っているから、献立が続かない。パパの味が懐かしい。何かマネできるようなもの教えてほしいな」
あはは、そう来たか。
「もちろん。ところで、最近、何を作って食べているの?」
すると、いろいろな料理の写真が届いたのだった。
料理の写真の下に、細かい解説が添えられておった。
「おおお! グレート」

滞仏日記「料理の腕前が急上昇中の息子くん、料理を教えてほしい、と連絡が」

※ 写真には「今日のごはん」とタイトルが必ず添えられてある。これは、マーボニョッキ、とあった。ニョッキは焼きニョッキのようである。その上に麻婆豆腐が!!! かなり革新的なので、思わず、唸った、父ちゃんであった。

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※ 炊き込みトマトごはん、なのだとか。ハラミのステーキの焼き加減が、たまらん。絶対に美味いやつだ!!! そして、肉の上の黒いのが気になったので、訊いたところ、「ラー油」という謎の回答でありました。ラー油なのか!!!!???

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※ ちょっと画像が青くなっているのは、光量が足りないからでしょうか。これは、サーモンと昆布とシイタケの炊き込みご飯なのだそうであります! 工夫が、感じられるが、炊き込みご飯系が多いのは、炊飯器を多用しているということであろう。ふむふむ。



ということでますます料理の腕をあげている息子君。
彼に何かヒントを与えられるような美味い料理を作らないとならなくなった、愛情料理研究家の父ちゃん・・・。
しかし、久しぶりの息子飯になるので、同時に、喜んでもいる父ちゃんなのであった。うわっはっは。
「じゃあ、サンシー、明日、パリに帰るぞ」
「えええ!?」
という顔をした三四郎。さっき、着いたばっかりなのに~、みたいな。あはは。父ちゃんのハンチングの下から不意に顔を出したので、なんか、60年代のフォークソングの歌手みたいに見えた。可愛い。目に入れても痛くない~。
確かに、クリスマスをどっちで祝うか、ということも考えないとならない時期になってきた。パリの仲間たちと盛り上がるか、ノルマンディの仲間たちと騒ぐか、息子と過ごすか、ううむ、これは悩む。
2拠点生活者の苦悩である。
クリスマスはパリで、新年はノルマンディ、とか? 
あ、いや、ノルマンディで新年はあまりに寂しいし、息子がおせち食べに来たいだろうし(お年玉も絶対取りに来るだろうし、笑)、おっと、クリスマスって、そもそもフランスでは家族が集まる聖なる夜じゃなかったっけ、じゃあ、パリ、ということだろうか。
12月はいろいろとイベントが盛りだくさんなので、パリにいることになるのかな~、と思った父ちゃんなのでありました。

滞仏日記「料理の腕前が急上昇中の息子くん、料理を教えてほしい、と連絡が」



つづく。

今日も読んでくれてありがとうございます。
もうすぐ、12月ですものね、ぼくも一応ゼミのクラスを持つ先生ですから、師走、ということで慌ただしくしております。大学生たちがすんごくいい子たちで、しかも、なかなかいい小説を書くので、教え甲斐があります。「辻熱血ゼミ」来年も同じメンバーで続けることになりそうです。

滞仏日記「料理の腕前が急上昇中の息子くん、料理を教えてほしい、と連絡が」

自分流×帝京大学

おまけ

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