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滞仏日記「元アイドル対元暴走族対決、パリのビストロの厨房で感動のクライマックス」 Posted on 2024/03/19 辻 仁成 作家 パリ

某月某日、ということでギャラリーTの総料理長、御須君はパリで人気日本人シェフ前田しんのレストラン、「Aux 2 saveurs」で連日、修行をしているのであった~。ぱちぱち、あるぱちーの。
パリに到着した日、オペラからリオン駅まで、タクシー代金、29ユーロも払った御須君、
「いきなり、ぼられたかもしれません。同じ道を何度も走ってました」
と空しく吠えていたが、ぼられたのは確実であーる。
左岸に住んでいるぼくの家から、しん君の店があるリオン駅まで混雑時でも、20ユーロで到着できる。同じ右岸にあり、割と近い距離で、29ユーロはぼられまくっている。
しかし、言い返せないのが普通だ。洗礼を浴びた、と思え。
その後、いきなり、昼夜、満席のしん君の店で、言葉も通じないのに、シェフの横について、フレンチを学ぼうとがんばった我らが御須君の、今日は、修行レポート~!!!
元暴走族風、身長2メートル近くある前田しんシェフに対して、御須君は元アイドルのなれの果てみたいな優男なのである。こりゃあ、太刀打ちできるわけがなーい。
前田しんは、コロナ開けの一時期、たった一人で50席からの満席の客の料理を作っていた、ワンオペ男なのだ。
あまりに忙しいのに、働き手がおらず、両腕がフライパン火傷で傷だらけの天使ならぬ、大魔神になっていた。あはは。
一方、御須君は、かわいい顔立ちで、白魚のような手をしている。
なんと、研修初日、昼も夜もしん君のレストランは満席なのであった。
御須君、厨房に立っているが、ほぼ、邪魔な状態で、しん君師匠の料理さばきを見守っているだけ・・・、ギャラリーTの総料理長なのだが、世界が違い過ぎて、動けない。
なにせ、言葉はすべて、フランス語なので、ちんぷんかんぷん!
ということで、心配なので、父ちゃん、キッチン傍の席を予約しておいたのであーる・ぱちーの~。
いきなり現れたぼくの顔をみて、御須君、目を丸くして、驚いておった。
「偵察に来たよ。大丈夫かな?」
あはは、ということで、記念撮影。おおお、しん君、貫禄ある。御須君も、負けてない、かわいい顔だ。絵になる二人であった~。

滞仏日記「元アイドル対元暴走族対決、パリのビストロの厨房で感動のクライマックス」

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しかし、フランス語も英語もしゃべることができない御須総料理長、キッチンの中で、漂流しておった~、勝手が違うよねー。
でも、しん君シェフが、優しく手を差し伸べていた。ううう、涙!
「ここはね、泡立てるように、やさしくソースをお肉に盛り付けるんですよ」
となどと、指導していたのだった。
そして、普段は総料理長なのに、まるでアシスタント君のような感じで、盛り付けをやっている、健気な御須シェフであった。偉いね~。
ぼくの耳に聞こえてくる優しい日本語のアドバイス、それにまっすぐ応じる、はい、の声・・・。うわ、いいなァ、ぜったいに、最高の修行経験になるね。

滞仏日記「元アイドル対元暴走族対決、パリのビストロの厨房で感動のクライマックス」

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滞仏日記「元アイドル対元暴走族対決、パリのビストロの厨房で感動のクライマックス」

ホテルの料理長をやっているのに、こうやって、学ぼうとする姿、いいじゃあーりませんか?
聞くは一時の恥聞かぬは一生の恥、という言葉がある。
御須君はいま、一時の恥を経験しながら、一生の徳を得ようとしているのだった。がんばれ~。
本国に帰ったら、この経験は必ず、役立つ、はず。
毎朝、
「ものすごく勉強になっています。ものすごく刺激になっています!!!」
という早朝のメールが、ぼくを喜ばせるのだった。
「しかも、昨日も今日も、しんさんが、ぼくをマルシェに連れて行ってくれたんです。見たこともないフランスの野菜をたくさん、教えてもらいました。勉強させてもらっています」
しん君、まじで、いいやつじゃーん。涙が出る~。
顔が驚くほど怖いけれど、ノープロブレム。こりゃあ、奥さんの佳代ちゃん離さないよねー、羨ましい。いい関係だ。

ということで、しん君のビストロ、「Aux 2 saveurs」、ネットでみたら、コメントが1300くらいもあって、みんな星五つなのだった。フランス人に愛されるジャパニーズソウルマン、しん巨匠じゃーん。
その日も、満席で、しかも、地元の人たちばかり、日本人はぼくだけなのだった。いや、素晴らしい。そして、そういうすごいビストロで、フレンチの神髄を学べる御須君、よかったね。地元の人たち、食べ終わるとみんなしん君に挨拶にやって来る。ぼくがちょうど厨房の横に陣取っていたから、彼らが本当にしん君を愛していることが伝わってくるのだった。そして、御須君はその様子をみている。
御須君、君のレストラン、ランチをあけないとダメだよ。たった一人でもワンオペで50人回せるくらいにならないと。ぜひ、そのことを心にもって、本国に帰ってくださいね。しん君、お疲れさまでした。父ちゃんは、安心をしたのであーる・ぬーぼー。
熱血は、

滞仏日記「元アイドル対元暴走族対決、パリのビストロの厨房で感動のクライマックス」

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つづく。

今日も読んでくれてありがとうございます。人生、うぬぼれて、あぐらかいて、挑戦を怠っていくと、だいたい、ダメになっていくんですよね。御須君、総料理長なのに、自ら志願して、パリに渡り、ビストロでしん君シェフの下でアシスタンをやって、そこがね、素晴らしい。元アイドルの御須シェフを皆さん、よろしくねー。あ、しん君も!!!
さて、父ちゃんからのおしらせですが、
あのギタージャンボリーが、ラジオとテレビで流れます。一部。父ちゃんは、2曲も流れますよー。
【ラジオ】 本日、3/19(火)20:00~24:00 J-WAVE 「J-WAVE SPECIAL OKUMURAGUMI presents TOKYO GUITAR JAMBOREE 2024」
【テレビ】 3/20(水祝) 17:00~18:57 BS朝日 「トーキョーギタージャンボリー2024 第一夜・桜花爛漫の宴」 ラジオ、テレビともに「鳥の王」 「どの方角から誰が来るのか分からないから全部開いてる」の2曲が流れます。
チェック、プリーズ!!!

それから、
フランスツアーが6月に行われます。パリは、ベルビルにある老舗の劇場「Le Zebre」にて行われます。チケットが発売になりました。在仏、在欧の皆さん、お時間があれば、ぜひに。
☟☟☟☟☟
●6月30日、パリ、Le Zebre チケットはこちらから、どうぞ!
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https://billetterie.seetickets.fr/tsuji-in-paris-concert-le-zebre-30-juin-2024-css5-envolproduction-pg101-ri10301135.html

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そして、7月3日、リヨン、La Marquise
チケットはこちらから、どうぞ!
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https://billetterie.seetickets.fr/tsuji-in-lyon-concert-la-marquise-peniche-03-juillet-2024-css5-envolproduction-pg101-ri10301835.html

●7月20日から7月28日まで青山・新生堂画廊にて、個展!
●7月後半から8月前半にかけて、日本ツアー、まもなく発表!
●9月後半、コルシカ、アジャクシオ、ライブ。(詳細、待って)
●4月19日、ロンドン、ライブ。詳細はこちらから☟

https://www.eventbrite.co.uk/e/2gz-tsuji-and-hide-live-japanese-music-in-london-tickets-790578039197?aff=oddtdtcreator

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