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滞仏日記「気楽に買って帰れる、僕が選んだパリ土産」 Posted on 2019/05/16 辻 仁成 作家 パリ

 
某月某日、また東京出張が近づいてきた。で、博多に映画のロケハンでいくので、ついでに、母の日には何もしてやれなかったから母さんにお土産を持っていくことにした。母さんが喜ぶ、パリのいろいろを今回は持っていこうと思った。高級品ばかりじゃなく、スーパーとかで買えるものなんかをたんまりと。でも、日本では珍しいものがいい。そういえば、最近必ず買って帰るものがある。ジャック・ジュナンのパット・ド・フルイ(フルーツゼリー)だ。これが濃厚で、美味しいのである。歯に優しく噛みやすいので、この6月で84才になる母さんにちょうどいいおやつになる。彼女は自宅で刺繍教室をやっているので、生徒さんたちにも分けられるものを、と思って、これにした。
 

滞仏日記「気楽に買って帰れる、僕が選んだパリ土産」

ジャック・ジュナンはパット・ド・フルイだけじゃなく、チョコレートが美味しい。迷ったので両方買うことにした。それから僕はチェーン店だけど美味しいパン屋のセッコに行きちょっと日持ちするパンとクッキーを買った。それからスーパーに行き、いろいろと食材を買い漁った。いつも僕が料理などにつかって感動をしている、結構気楽に買える品々を集めた。だいたい、2ユーロから5ユーロくらいの超安い我が家の必需品ばかりだ。まずはカマルグ産のフルール・ド・セル(岩塩)、濃厚なノルマンディ産のバター、セロリ塩、ガヴォット(サクサクの焼きクレープ菓子)、アンジェリーナのマロンクリームのチューブ、ムッティの濃厚なケチャップ、スペキュロス、スプラウトの缶詰、ジャム、イギリスのだけど超酸っぱいビネーッグルチップス、などなど。日常品ばかりだけど、実はそういう何気ないものの方が生活感があって喜ばれる。パリの味だよ、と持っていくと、あら、まあ、と84才は喜んでくれる。
 

滞仏日記「気楽に買って帰れる、僕が選んだパリ土産」

今回の日本滞在は一週間程度なので、人にも会わないし、お土産は母さんだけにした。トランクの三分の一がお土産でびっしりになった。この程度のことしかできないけれど、きっと喜んでもらえるはずである。それにしてもジャック・ジュナンのパット・ド・フルイはパリ土産に最高である。何が最高かって、目にも美味しい美しさだからだ。
 

滞仏日記「気楽に買って帰れる、僕が選んだパリ土産」