JINSEI STORIES

リサイクル日記「毎日言葉」 Posted on 2022/05/16 辻 仁成 作家 パリ

【前説】面白くためになる過去記事が数多くあることに着目した父ちゃんが、自らのベストセレクション的な日記を再投稿させていただきます。数年前の古い日記に、多少のリライトを加えておおくりするリサイクル日記となります。昔、読んだけど、読み直すと違った印象を与える文章もありますので、ずっと読者ですよ、という皆様にも楽しんでいただけると自負しております。過去の父ちゃんを、時々、このリサイクル日記で、掘り起こしていきたいと思います。こうやって、文章は生き残っていくのです、笑。うほうほ。
毎日つかう大切な言葉ついて。2020年1月初投稿。

某月某日、朝、起きて、寝るまでの間にぼくらはたくさんの言葉を使いますが、そのどれもが長い年月をかけて人の「生き死に」の中で磨かれはぐくまれてきたものばかりです。
何でもない言葉だけど、その言葉の中には無限の優しさが含まれているので、使うことがその人の心を整える一番大事な行為かな、と息子を育ててきた中で強く実感してきました。
「おはよう」と言って、「おはよう」が戻ってくる。
ただこれだけのことだけど、それはこの大宇宙の中にいて、自分の存在に跳ね返るものがそこにあるということでもあります。
「ありがとう」というと「ありがとう」がかえってくるだけで、気分というのはよくなります。
孤独は癒されます。
ただ、それだけのことで人間はやっていける。
子供を育てる中で、ぼくが一番注意してきたのはこの「毎日言葉」のつかいかたです。
挨拶の重要さ、友人や知り合いへの優しい対応が出来てはじめて自分も幸せになるのですから。

リサイクル日記「毎日言葉」



「今日はどうだった?」とぼくはシングルファザーになってからずっと子供に声をかけ続けました。
余計なことは何も言わないけど、「どうだった?」と言葉をかけることで十分に繋がりができるんです。
その小さな言葉が積み重なってその子は生きていけるんです。
だから、ぼくは余計なことは言わないけれど、毎日言葉を必ず発するようにしました、たとえ、自分が辛い時でも。
いいえ、辛い時こそ、実はこの言葉が役立つのです。
毎日言葉を使うとそれは同時に自分の心の浄化にもなります。
寝る時は「おやすみ」をいいます。
昨日はちょっと変えて、「今日もありがとう、おやすみ」と言ったら、息子が「それ、いいね」と言ってくれました。
ほら、通じてるんですよ。
言葉は人を殺す道具にもなります。汚い言葉をつかえばそれはつかった人間に必ず戻ってきます。できるだけ優しい毎日言葉をつかって、この殺伐とした世界を豊かにしたいものです。
おやすみなさい、おはようございます。
ありがとう、どういたしまして。

今日も読んでくれてありがとう。
お知らせです。
辻󠄀仁成 アコースティック セレナーデ フロム パリ
Jinsei Tsuji Acoustic Serenade From Paris
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【ビルボードライブ大阪】(1日2回公演)
8/8(月)1stステージ 開場17:00 開演18:00 / 2ndステージ 開場20:00 開演21:00
[お問い合わせ] ビルボードライブ大阪: 06-6342-7722
〒530-0001大阪市北区梅田2丁目2番22号 ハービスPLAZA ENT B2
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8/12(金)1stステージ 開場17:00 開演18:00 / 2ndステージ 開場20:00 開演21:00
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発売日
Club BBL会員、法人会員先行=6/6(月)12:00正午より
一般予約受付開始=6/13(月)12:00正午より

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リサイクル日記「毎日言葉」

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