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愛すべきフランス・デザイン「北米ニューオリンズでフランスの足跡をみつける旅」 Posted on 2024/03/17 ウエマツチヱ プロダクトデザイナー フランス・パリ

 
2ヶ月に1回やってくる、2週間のフランスの学校休み。
毎回、学童保育に預けられっぱなしの6歳の娘が不満を言い始めた。
「今度のバカンスは、ステファニーも、アナも、マミーとパピーの家に行くんだって…」。
英語だとマミーはお母さん、パピーはお父さんだが、フランス語だとお祖母さんとお祖父さん、という意味になるそうだ。
我が家は、マミーたちもパピーたちも日本なので、そうすぐには会いに行けない。
でも、今回の娘の学校休み中、私の両親が、日本からアメリカのニューオリンズに行くというではないか。
 

愛すべきフランス・デザイン「北米ニューオリンズでフランスの足跡をみつける旅」

※ロバとウマの間の子、ラバが引く名物の馬車

 
ニューオリンズはフランス語でヌーヴェルオルレアン(Nouvelle Orleans=新しいオルレアン)。
パリから南に130kmほど行ったところにある都市、オルレアンが名前の由来だ。
北米には他にもニューヨークや、ニュージャージーなど「New」がついた地名がいくつもあるが、かつて統治していた国の都市名がベースになっているそうだ。
フランスの旧植民地だと聞いて俄然興味が湧き、思い切って、娘とふたりで行ってみることにした。
直行便はないので、マイアミで乗り換えて向かうと、2月なのに日差しの強いこと!
曇天のパリから、アメリカ南部の晴天は凄いコントラストがあり、娘は「ココは天気が良くていいねぇ〜」と何度も繰り返す。
 



愛すべきフランス・デザイン「北米ニューオリンズでフランスの足跡をみつける旅」

※タバスコが生まれた地なだけあって、スパイス専門店が多い

愛すべきフランス・デザイン「北米ニューオリンズでフランスの足跡をみつける旅」

※名物のスパイシーなザリガニ料理

 
ニューオリンズへ行ったことのある同僚たちからは、フランス語表記が今でも残ってると聞いていた。
まず、目についたのが「マルディグラ(Mardi gras)」という言葉。
フランス語で「太った火曜日」という意味で、カトリックの復活祭であるイースターの47日前に行われる年中行事だ。
今年は2月13日の火曜日だったが、食事制限が始まる四旬節の前日で、最後の食べ収めで太るからそう呼ばれている。
特にニューオリンズは大規模なマルディグラのイベントが開かれることで、世界的にも有名な地だ。
 

愛すべきフランス・デザイン「北米ニューオリンズでフランスの足跡をみつける旅」

※マルディグラの飾りが残る建物

 
私達はその数日後に到着したのだが、街のいたるところで、紫、緑、金のマルディグラカラーを見かけ、その残り香を感じた。
それぞれ、正義の紫、信頼の緑、力の金、と意味があるそう。
マルディグラカラーのビーズのネックレスは、よく街路樹に引っかかっていて、なぜあんなところに? と不思議だったが、パレードの山車の上から投げられたもののようだ。
 

愛すべきフランス・デザイン「北米ニューオリンズでフランスの足跡をみつける旅」

※街路樹に引っかかるビーズのネックレス



 
そして、次によく目にしたフランス語は「ベニエ」。
フランスでは揚げ物全般を指すが、ここでは四角い揚げパンのことをこう呼ぶ。
粉砂糖が山ほどかかっているのが特徴で、味は素朴な揚げパン。
ベニエは地元民の誇りのようで、オリジナルグッズをあちこちで見かけた。
四角いものが3つ並んだだけのビジュアルなので、ニューオリンズでベニエを食べたことがある人でなければ、それがなにかはちょっと気付けなさそうだけれど。
 

愛すべきフランス・デザイン「北米ニューオリンズでフランスの足跡をみつける旅」

※ベニエは3個で1セット

愛すべきフランス・デザイン「北米ニューオリンズでフランスの足跡をみつける旅」

※名物のベニエとザリガニ料理を模した赤ちゃんの歯固め



 
ニューオリンズ中心繁華街は、フレンチクォーターと呼ばれ、フランス文化を色濃く残している。
実はフランス統治時代から残っている建物は一軒しかなく、他は全て再建されたものだそう。
植民地支配が終了した後でも、フランスらしさを保っているのは興味深い。
特にフランスの影響を受けたものとして、バルコニーのアイアンレースが挙げられる。
本家パリのオスマニアン式建築では、窓ごとに付いているが、それに比べて、建物全体を囲うように繋がったレースは存在感がありつつ、繊細で美しい。
 

愛すべきフランス・デザイン「北米ニューオリンズでフランスの足跡をみつける旅」

※繊細なアイアンレース

 
こんなニューオリンズの町並みを、東京ディズニーランドのアドベンチャーランドは再現しているそう。
フランスからニューオリンズ、そこから東京ディズニーランドへと、デザインが伝言ゲームのように波及していった様子が読み取れて面白い。
それによって「フランスらしさ」が更に強調されているような気もする。
 

愛すべきフランス・デザイン「北米ニューオリンズでフランスの足跡をみつける旅」

※ディズニーランドのマーク・トウェイン号のような蒸気船ナッチェス号



 
他にも「ナポレオンハウス」という、ナポレオン自身は住むことがなかったけれど、彼のために用意されたという建物がレストランになっていた。
結局、本人は足を踏み入れたこともなかった場所にも関わらず、ちゃんと残しておいて商売していることに、アメリカ人のビジネスセンスを感じた。
 

愛すべきフランス・デザイン「北米ニューオリンズでフランスの足跡をみつける旅」

※ナポレオンが来なかった「ナポレオンハウス」

自分流×帝京大学



Posted by ウエマツチヱ

ウエマツチヱ

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tchie uematsu
フランスで企業デザイナーとして働きながら、パリ生まれだけど純日本人の娘を子育て中。 本当は日本にいるんじゃないかと疑われるぐらい、日本のワイドショーネタをつかむのが速い。