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愛すべきフランス・デザイン「フランスの朝食に欠かせないコンフィチュール(ジャム)!?」 Posted on 2024/06/17 ウエマツチヱ プロダクトデザイナー フランス・パリ

パリのカフェで、朝食のセットを頼むと出てくるのがタルティーヌ。タルティーヌという名前だけを見ると、どんなオシャレなものが出てくるのかと思うが、バゲットを縦半分に切った上にコンフィチュール(ジャム)を塗ったもの。パンに限らず、全粒粉のクラッカーなどにコンフィチュールを塗ったものも、タルティーヌ。シンプルだけど、固くサクサクしたクラッカーとトロッと冷たい果物の風味のコントラストがたまらない。

愛すべきフランス・デザイン「フランスの朝食に欠かせないコンフィチュール(ジャム)!?」

※クラッカーにコンフィチュールを塗るだけでもタルティーヌ



フランスの朝食といえばクロワッサンというイメージもあるが、私の周囲のフランス人たち曰く、「クロワッサンは、週末の朝、パン屋さんまで買いに行って、ゆっくりと楽しむもの」だそう。そんなわけで、慌ただしい平日の朝は、コンフィチュールを塗ったタルティーヌから始まる。
フランス人にとってのパンが日本人の白米だとしたら、コンフィチュールはそれを彩る梅干しや、佃煮かもしれない。有名ブランドもあれば、自家製のものもあり、みんな自分のお気に入りがある。日本は梅仕事の季節だが、フランスは苺のコンフィチュールの仕込み時。苺が採れ始める初夏、フランス各地ではジャムにまつわるイベントも行われる。地元の素材を使った少量生産のコンフィチュールをみると、買わずにはいられなくなってしまう。
フランスの古城が立ち並ぶロワール地方は苺の産地のひとつ。ここでは年に1回、苺のお祭りが開かれ、苺のコンフィチュールのコンクールが開催される。今年の第1位のコンフィチュールは、この大会初参加のムッシュ オゾッグ。ベージュのハンチング帽をかぶり、水色のクラシックなトラックで、真っ赤な苺を並べる姿から、統一されたレトロな世界観を感じた。彼のコンフィチュールは、苺の味が濃く、果実味を感じる質感という点が高評価に繋がった。美味しいコンフィチュール作りの秘訣を聞くと「良いコンフィチュールには、良い素材」とのこと。彼のコンフィチュールは、苺を育てるところから始まる。5種類の苺をその時々で、ベストな組み合わせでコンフィチュールにするといい、作った時期で味に変化があるそうだが、それもまた面白い。

愛すべきフランス・デザイン「フランスの朝食に欠かせないコンフィチュール(ジャム)!?」

※ムッシュ オゾッグ



愛すべきフランス・デザイン「フランスの朝食に欠かせないコンフィチュール(ジャム)!?」

※クラシックなトラック



愛すべきフランス・デザイン「フランスの朝食に欠かせないコンフィチュール(ジャム)!?」

※ムッシュ オゾッグの畑で採れた瑞々しい苺は驚くほど甘い

会場で一番の注目を浴びていたのが、親子3世代でジャムを販売していたド・ルカ一家。10歳の女の子も、一緒にお手伝い。おばあちゃんは、コンフィチュールのグランドマスターだという。3人で仲良く楽しそうにジャムの説明をしてくれた。彼女たちのコクリコ(ヒナゲシ)入りの苺ジャムが、今年の第2位に選ばれた。赤い苺に赤いコクリコの花という、甘酸っぱさの中に華やかさが足された味だ。

愛すべきフランス・デザイン「フランスの朝食に欠かせないコンフィチュール(ジャム)!?」

※ド・ルカ一家3世代

コンフィチュールは夕食のフロマージュに添えるものでもあると、グランドマスターのおばあちゃんが教えてくれた。フランスでは家庭でも、ちょっと特別な夕食の場合、主菜の後、デザートの前にフロマージュを食べる。特に洋梨のコンフィチュールが、ロックフォールなどのブルーチーズ系に合うそうだ。チーズの塩気にフルーティーさが加わり、甘じょっぱいハーモニーが生まれる。どうやらフランス人の1日は、コンフィチュールに始まり、コンフィチュールに終わるようだ。



愛すべきフランス・デザイン「フランスの朝食に欠かせないコンフィチュール(ジャム)!?」

※コクリコ入り苺ジャムと洋梨のジャム

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Posted by ウエマツチヱ

ウエマツチヱ

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tchie uematsu
フランスで企業デザイナーとして働きながら、パリ生まれだけど純日本人の娘を子育て中。 本当は日本にいるんじゃないかと疑われるぐらい、日本のワイドショーネタをつかむのが速い。