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愛すべきフランス・デザイン「ダサ可愛セーターはフランスの新しいクリスマスアイテム!」 Posted on 2023/12/10 ウエマツチヱ プロダクトデザイナー フランス・パリ

 
クリスマスの本場はどこだろうか?
クリスマスマーケットといえばドイツだし、サンタクロースはフィンランドに住んでいる。
最近、街で見かけるパンドーロとパネトーネはイタリアのクリスマス菓子だ。
色々あるけれど、最近、気になる強烈なクリスマスアイテムをご紹介。

12月に入り、私の職場では年末休暇前のクリスマスランチの企画や、労働組合からのクリスマスプレゼント配布が始まり、一気にクリスマスの雰囲気が高まっている。
労働組合からのクリスマスプレゼントについては以前も書いたので割愛。
気になる人はコチラ:「フランス人が盛り上がる、会社からのクリスマスプレゼント!その中身は…?」
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https://www.designstoriesinc.com/europe/cadeaux_noel/
さて、クリスマスランチ。
日本なら会社帰りに忘年会となりそうだが、私の周りのフランス企業では、職場で持ち寄り形式になることが多いようだ。
クリスマスに限らず、職場で企画されるパーティーの多くは、レストランに行く場合でも日中に開かれ、就労時間後になることは稀。
時間がなくても、朝ごはんの会として、クロワッサンやパン・オ・ショコラ、シューケット(クリームが入っていない小ぶりのシュークリーム)をパン屋さんで買って持ち寄ることも。
 

愛すべきフランス・デザイン「ダサ可愛セーターはフランスの新しいクリスマスアイテム!」

※去年のクリスマスランチ



 
そんなクリスマスランチの企画中、「何を着るか」という話になった。
コロナ禍以前は、キラキラとしたラメ素材の服を着る人が多く、ある年は5人がまるで示し合わせたかのように黒にラメが入ったものを身につけていた。
コロナ禍中の自粛期間が開け、ここ数年、「アグリーセーター(ダサイセーター)」というものを着る人を見かけるように。
フランス語では「ピュル・モッシュ・ド・ノエル(pull moche de noël)」といい、専門販売サイトや、特集記事が組まれるほどの人気だ。
 

愛すべきフランス・デザイン「ダサ可愛セーターはフランスの新しいクリスマスアイテム!」

※子ども向けはキャラクターものが多い

 
そもそもはアメリカの文化で、おばあちゃんからクリスマスに贈られる、クリスマスモチーフが編み込まれた、手作りセーターが元になっているそうだ。
たとえセーターが好みではなくても、クリスマスホリデー中は気を使ってずっと着なければならない、という皮肉も込められている。
同僚に聞いたところ、映画「ブリジット・ジョーンズの日記」で登場人物が着ていたところから広まったのではないか、といっていた。

最近では、楽しい気分になれることや、ノスタルジックさがウケて、ファストファッションブランドが、こぞって販売している。
去年は、同僚がピカピカ光る電飾付きのものを着ていた。
値段は20€前後のものが多いが、この新しい潮流の影響なのか、ハイブランドでもアグリーではないけれどポップな柄のセーターをみかけるようになった気がする。
 



愛すべきフランス・デザイン「ダサ可愛セーターはフランスの新しいクリスマスアイテム!」

※お手頃価格

 
2011年から始まったとされるアグリーセーターの日は、12月の第3金曜日なので、今年は12月15日になるが、1回しか着れないのはもったいない。
最近、転職してきた同僚によると、前の会社では12月に入ると、毎週金曜はみんなでアグリーセーターを着ていたそう。
12月のカレンダーを見たところ、既に3つ、社内でのクリスマスパーティーが企画されていたので、毎週金曜と決めずとも、ほぼ週イチで着る機会はありそう。
今までは、普段着で参加していたけれど、なんとなくノリの悪い人に見えていそうなのが気になっていた。
もし可愛いものが見つかれば…、というぐらいの気持ちで気にしながら過ごしていたここ数日。

ついに着たい!と思えるセーターに出会った。
アイルランド系ファストファッションブランドのプライマーク(PRIMARK)のもので、車がモミの木を運んでいるモチーフが可愛く、16€。
生成りのナチュラル感あるベースに、ラメの糸が控えめなのも良い。すぐにでも着たいけれど、さすがに何もない日に着る勇気はない。
 

愛すべきフランス・デザイン「ダサ可愛セーターはフランスの新しいクリスマスアイテム!」

※プライマークのアグリーセーター



 
話は少し逸れるが、実は夏の終わりに出産した。
先日、出産祝いがドイツ人の友達から届き開けてみると、たくさんのプレゼントの中に、生まれたばかりの息子と5歳の娘のためのクリスマスソックスがあった。
そういえば、アグリーセーターと共に、アグリーソックスならぬ、クリスマスソックスが、よく店頭に並んでいるのを思い出した。
送り主の友達に聞くと、毎年、誰かしらにクリスマスプレゼントとして、ソックスを贈っているそう。
ソックスであれば控えめだし、見せたければ裾をまくり、そうでなければズボンの中で密かにクリスマス気分を楽しむのも良い。この可愛い靴下はスウェーデンのブランドだった。
 

愛すべきフランス・デザイン「ダサ可愛セーターはフランスの新しいクリスマスアイテム!」

※スウェーデンのブランドHAPPY SOCKS

愛すべきフランス・デザイン「ダサ可愛セーターはフランスの新しいクリスマスアイテム!」

※かかとにサンタ



 
職場にはドイツ企業からクリスマス菓子がいくつも届いている。
形は様々、どれも長期保存が効くように、スパイシーで甘みが強めだが、クセになる味だ。
一気に食べられない濃厚さなので、毎年12月中はみんなで少しずつ、切り分けて食べ続ける。職場の共有スペースに並ぶドイツ菓子はクリスマスツリーに並ぶ風物詩だ。

アメリカから着たアグリーセーターを着て、スウェーデンの靴下を履き、ドイツやイタリアのお菓子を食べる。(もちろん、フランス菓子も!)
クリスマスはヨーロッパの暗い冬を乗り越えるために、色んな国のワクワクが一同に集まる機会なのかもしれない。
 

自分流×帝京大学



Posted by ウエマツチヱ

ウエマツチヱ

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tchie uematsu
フランスで企業デザイナーとして働きながら、パリ生まれだけど純日本人の娘を子育て中。 本当は日本にいるんじゃないかと疑われるぐらい、日本のワイドショーネタをつかむのが速い。