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日本とこんなに違う、フランスの病院食 Posted on 2026/08/12 ルイヤール 聖子 ライター パリ

 
昨年のことではありますが、フランスで入院する機会がありました。虫垂(盲腸)が破裂してしまったためです。
こういうとき、日本人の私などは真っ先に「お粥が食べたい」と思うものです。ところがフランスではもちろんお粥は出てきません。病院食でさえ、「フランスらしさ」が全開なのです。
 

日本とこんなに違う、フランスの病院食



 
フランスでの入院時、とくに「産後食」については、噂に聞いていました。こちらでは病院でも、前菜・メイン・デザートが出てくるよ、と。
しかし今回私がお世話になったのは、消化器系の病棟です。そもそも胃腸に負担のかからない食事が出てくるのでしょう。
では消化に良いフランス料理って、いったい何だろう…? いや、全然思い浮かばない…。そう思いながら病室に入ったのは、昨年7月半ばのことでした。
 

日本とこんなに違う、フランスの病院食

※手術後少し経ってからの食事

 
手術直後は、まともに食事ができる状態ではなかったのですが、私は出てきた食事に釘付けになりました。
種類は、3つ。人参のポタージュスープ、プレーンヨーグルト、りんごのコンポートです。これらは、たしかにフランス人が胃腸を壊したときによく口にするものです。どれも少しとろみがあって適度に“もったり”としていて、フランス人の舌触りの好みというか、スープであっても決してサラサラしていません。こうした「厚みのある」スープは、フランスの日常の食事でも病院食でも同じだったのです。
 

日本とこんなに違う、フランスの病院食

※次の日の朝ごはん

 
朝ごはんも、非常にフランスらしかったです。過去に紹介させていただいた、フランス朝食の定番「タルティーヌ」がそのまま出てきたのですから。
これがとても嬉しかったことを私は覚えています。食べたいのに胃にうまく通せない、シャワーもまともに一人で浴びられない…という状態で、バゲットをちぎってバター&ジャムを塗って、脂肪がたっぷり浮かんだカフェオレに浸して(散らかしながら)食べるというあの行為が、何というか日常の愛おしさ、みたいなものを思い出させてくれたからです。

タルティーヌをあまり食べない自分ですが、この日ばかりは“パリのカフェメニュー”のように、タルティーヌを思い切り楽しんでしまいました。
 



日本とこんなに違う、フランスの病院食

※「厚みがある」スープとじゃがいものピュレ

日本とこんなに違う、フランスの病院食

※昼食にはオムレツやビーツのサラダが

 
数日後、ようやく退院するも、私はそれからまたすぐ病院に運ばれてしまいます。手術した虫垂の部分が化膿し、それが狭くない範囲に広がってしまったため、でした。

「また来たの?」
と、明るい看護師さんたちに冗談交じりに迎えられます。入院生活にも慣れてはきましたが、楽しみといえば本当に3度の食事だけになっていました。こればかりはどの国でも同じかもしれませんね。
 

日本とこんなに違う、フランスの病院食

 
さて入院2度目の食事は、1度目よりもしっかりとしたものに変わっていました。ここから本格的にフランスらしいメニューが続いていきます。
一つは、白身魚のメインにピュレ、カマンベールチーズ、バゲット、フルーツ、そしてクレーム・オ・ウフ(プリンのようなデザート)です。チーズにデザートまでついてくるなんて、さすがフランス…と思わずにはいられません。
ただ、味はやはり全体的に薄めで、この頃には「そろそろ醤油味とか出汁の風味が欲しいなあ」と思っておりました。
 



日本とこんなに違う、フランスの病院食

※さらに日数が経ってからのメニュー

 
そして数日後。検査の結果、明日・明後日にはようやく退院という流れに。自宅での点滴は続くものの、病院での食事も終わりに近づいています。私がいちばん驚いたのは、そんな中で提供された写真のメニューでした。

牛肉にニョッキ?! これは、元気なときに食べる内容では? しかも機内食に似ているな…。率直に、こう思ったものです。とくに生のラディッシュ&バターとは、いかにもフランスらしい組み合わせ。むしろ、フランスのアペロメニューではありませんか。

その後も、ラザニアや厚切りハム、牛肉のステーキといったボリューミーな食事が続いていきます。この頃には胃腸がだいぶ回復していたので、最後まで美味しく楽しくいただくことができましたが、日本とフランスの食文化の違いにはあらためて驚かされたものです。

フランス人の胃腸が強いのか、単に文化慣習の違いなのか。 同じ人間でも、ところ変われば病院食もここまで違います。
ただこの入院でもっとも印象に残ったのは、ステーキでもデザートでもなく、体調が優れないなかで食べた、あの病院の「タルティーヌ」でした。今では、どんなカフェのタルティーヌより美味しかったと感じています。
 

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Posted by ルイヤール 聖子

ルイヤール 聖子

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2018年渡仏。パリのディープな情報を発信。
猫と香りとアルザスの白ワインが好き。