PANORAMA STORIES

マダム・アコのパリジェンヌ通信”大忙しのパリジェンヌたち。” Posted on 2023/09/23 Ako アーティスト/フリージャーナリスト パリ

 9月、パリジェンヌたちはひどく忙しいのです。
「パリジェンヌたちが忙しく慌てている日常生活など想像できないわ」、という人もいるかもしれませんが、そんな想像を裏切るくらい、パリジェンヌたちは毎日あれをしなくてはこれをしなくてはと大忙し。
しかも、その全てが重要なことばかり。
しっかり全てに集中して動き回り、気がつくと季節が巡って、秋が来ています。

マダム・アコのパリジェンヌ通信”大忙しのパリジェンヌたち。”



なんたって長い夏のバカンスを終えて、我にかえると=オフィスにかえると、仕事はたっぷり溜まっています。
メールボックスには、長い長い受信未読メールの列。
夏の間は見て見ないふりをしていたし、自動返信で「一ヶ月の間バカンスなので、9月に戻り次第返信します」と送ってあると悠々としていたつけが、目の前に。

マダム・アコのパリジェンヌ通信”大忙しのパリジェンヌたち。”

デザインウィーク、ファッションウィーク、有名パティシエールたちの秋冬新作発表会も、9月に入るやいなや、次から次へと行われます。
どれもフライングなしに一斉に!数々の美術館での新企画展も一気にスタート。
ドクターや弁護士だったりするパリジェンヌたちだって、しっかり夏はキャビネをクローズして休暇をとっていたので、患者さんやクライアントが列をなして待っています。
レストランだって、パリジャン、パリジェンヌが街に戻ってきて、お腹を空かして店にやってきます。
しかも皆仕事が忙しいと言い、超特急でランチを出さなくてはなりません。
そんなわけで、パリではどの世界で働いている人も、8月とは対照的に一気に活気づき、パリジェンヌたちはピリッと一年で一番迷いなく真剣に仕事人。
9月はフランスの年初め、スタートをしっかりさせることは誰にとっても大切。
バカンス上がりなので、気力体力はとりあえず満満です。

マダム・アコのパリジェンヌ通信”大忙しのパリジェンヌたち。”

(c)Greg.Sevaz



学生さんは新年度が始まります。新しい学校だったり、新しいクラスだったり。
初めての道のり、友人たち、先生、学校の方針、などなどに慣れるまで、なかなか大変。
ママンたちといえば、我が子たちが、新しい学校、新しいクラス、新しい仲間に慣れてくれるか、ドキドキハラハラ、そしてワクワクで、仕事同様に気が抜けません。
授業の科目ごとの必要な教材のため「これとそれとあれを各自で用意してください」というリストの紙切れを片手に、スーパーマーケットに駆け込み(全フランスの親たちが子供と共に、この時期だけ拡大されたスーパーマーケットの文房具コーナーに一気に大集合!)、100ページのノートを5冊、150ページのノートを3冊、年間手帳を1冊、カラーペンを1セット、先の丸いハサミに、教科書を包むビニールシートetc、etc、etcの購入を、子供の数だけ(子供が三人いるファミリーも少なくなありません)行わなくてはなりません。

マダム・アコのパリジェンヌ通信”大忙しのパリジェンヌたち。”

通りのプラタナスやマロニエの葉が、黄色に紅葉して石畳に落ちて重なり合っていることに気がついて、季節が変わったのだわ、と長袖のシャツや秋用のセーターやコート、靴などをクローゼットの奥から、週末にやっと引っ張り出します。
ついでに、それらの服が今年も着れそうかしら、と鏡に自分の全体像を映してみると、一ヶ月前まで日焼けでツヤツヤのブロンズ色だったはずの腕や脚が、すっかり水分不足でしわしわと乾き気味であるのに気がつきます。
そういえば、ネイルだってすっかりはげているし、髪だってずいぶん伸び放題ではないですか。
エステとネイルとヘアーのサロンへできるだけ早く予約して行かなくてはならない、のですが、とりあえず、あといくつかのお仕事を片付けることが先決のよう。

マダム・アコのパリジェンヌ通信”大忙しのパリジェンヌたち。”



でも、大丈夫。
9月はそんなわけで、たくさんの人に会って、たくさんの人と交流し、すっかり疲れてはいるけれど、大急ぎでも久しぶりにあった人々と「少し落ち着いたら、うちでゆっくりディナーでもしない」という素敵な約束がいくつもできるのです。
その時のための、秋スタイルのヘアーとネイルと服を、休息の珈琲タイムに想像しながら、さてもう一息頑張りましょう。

マダム・アコのパリジェンヌ通信”大忙しのパリジェンヌたち。”

自分流×帝京大学



Posted by Ako

東京生まれ。1996年よりパリ在住。セツモードセミナー在学中にフリーライターとして活動を始める。パリ左岸に住みアートシーン、ライフスタイルなど、生のフランスを取材執筆。光のオブジェ作家、ダンスパフォーマーとしても日々活動。