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日本とこんなに違う、フランスのお引越し Posted on 2026/09/12 ルイヤール 聖子 ライター パリ

 
フランスに移り住んで8年。最近、私事ではありますが、こちらではじめて引越しを経験しました。
「家を移るだけなのに、こんなに大変なの? 」
結論からいうと、これが正直な感想です。
どれくらい大変かというと、フランスで生まれ育ったフランス人の夫でさえ、悔しくて悲しくて泣いてしまったくらい。築150年の家のリノベ&引越しに、これほど苦労するとは思いもしませんでした。
 

日本とこんなに違う、フランスのお引越し

※パリでよく見る引越しの風景



 
引越し自体、大変な作業だと思います。これはフランスでなくてもどこでも一緒ですね。ただ、フランスの場合は、築100年クラスの家がいまも現役で残っていて、改築に改築を重ねて暮らし続けているところがいちばんの特徴かなと思います。
 

日本とこんなに違う、フランスのお引越し

 
今回の引っ越し先も、そうでした。私たちの家が造られたのは1870年で、日本で言えば明治時代初期のころ。その古さゆえでしょうか、工事も一筋縄ではいきません。建築物そのものと格闘しながら、もはや修復に近いかたちで行う感じです。

ちなみに転居先は、直近で10年以上もほったらかしだったそうで、私たちが内見に行ったときには“ほぼ廃墟”の状態でした。ということで水回りなど専門的な部分は、プロの業者さんに思い切ってお任せすることに。
 

日本とこんなに違う、フランスのお引越し

※キッチン。(左)ビフォー (右)アフター



 
実は、このプロにお任せする作業が、本当に大変だったのです…。
どういうことかと言いますと、
「そもそもの見積もり、合計金額が間違っている」「着工には工事費の前払いが必要と言われたのに、肝心の請求書がいつまで経っても届かない 」「キッチンの部材を業者が間違えて発注した」「融資を受けている銀行ですら、書類確認を怠っていた」 「7、8月はみなが夏のバカンスに入るため、工事や配送がストップ 」などです…。
加えて、今夏は40℃の酷暑だったため工事が中断することもありました。こればかりは業者さんの安全に関わるので、休止もやむを得ません。

それにしても、先方のうっかりミスがこんなに多いとは…。私としては、頭の中で「日本人の完璧な仕事ぶりと、フランスの仕事ぶりを比較すること」が止められませんでしたし、フランス人の夫は夫で、これまでに見たことがないほど電話越しで怒り狂っていました。※フランスではこうして声を上げないと大損をします。
 

日本とこんなに違う、フランスのお引越し

※バスルーム。(左)ビフォー (右)アフター

 
そんなこんなで、リノベーション工事にかかった期間は約7カ月。当初の予定では2カ月半だったのに、です。
延びた工事期間に、怒りすぎて縮まったであろう私たちの寿命…。とはいえ、「何がなんでも8月末には引っ越していたい!」という希望があり、リノベーション工事が完全に終わらないまま新居に移ることになりました。そこで、荷運びを含む引越し作業は、友人たちに手伝ってもらうことに。
 

日本とこんなに違う、フランスのお引越し

※友人自前のバンで



 
フランスでの引越しは、専門の引越しサービスに頼む人ももちろんいますが、自分たちでやるという選択肢もかなり身近です。
今回来てくれたのは、頼りになるフランス人ムッシュ3人組で、みなティーンエイジャーのころから友達の引越しを手伝ってきたそうです。

これが本当にスピーディーでした。長年手伝ってきたというだけあって、プロ並みの手際の良さにびっくり。「すごいね!」と声をかけると、「慣れてるから」と口々に答えていました。
 

日本とこんなに違う、フランスのお引越し

※御礼のピザ

 
さて、気になる引越しの「御礼」はというと…。フランスの場合は、友人であれば食事をご馳走するのが定番らしいです。現金やギフトカードなどを渡すのはあまり一般的ではないとのことで、私たちは朝食用にクロワッサンとパン・オ・ショコラ、そして昼食用のピザを用意させていただきました。

ただ、これだけでは申し訳ない…と思った私は、ムッシュたちに日本の小皿をそれぞれプレゼント。すると、みな「引越しで何かを貰ったことがない!」などと驚いていました。
お礼をきちんと形にしたくなる日本人と、そこまで形式ばっていないフランス人。引越し文化の違いも、ここで改めて感じた次第です。
 

日本とこんなに違う、フランスのお引越し

 
今では工事もひと段落し、「手のかかった子ほど…」というように、この家にどんどん愛着が湧いてきました。
ただ、ほぼ廃墟だったためか、窓なんて3度拭きしても全然汚れが落ちませんでしたし、いまも毎日汗だくになりながら掃除に明け暮れています。

そんな、築100年以上の古い家。リノベーションの遅さ。業者との付き合い。そして友達総出のお引っ越し。家の改築でゲッソリしているフランス人をよく見ますが、これもまた「古い家との、彼らなりの付き合い方」なのだと思います。
 

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Posted by ルイヤール 聖子

ルイヤール 聖子

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2018年渡仏。パリのディープな情報を発信。
猫と香りとアルザスの白ワインが好き。