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日本とこんなに違う、パリジェンヌのメイク指南『ナチュラルメイク編』 Posted on 2024/02/14 ルイヤール 聖子 ライター パリ

 
パリのデパート、コスメフロアで、いつも思うことがあります。
それは、美容部員さんからのタッチアップが少ないな、ということです。
口紅やファンデーションを選んでいる際に、店員さんから「おつけしましょうか?」と声をかけられて始まるあのタッチアップ。
これが、フランスではあまりないのです。
あったとしても、リップのみを立ったまま・チークのみをササッと、という感じでとてもシンプルです。
そもそもフランスのコスメカウンターでは自分で試す人が多く、美容部員さんのアドバイスを求めていない節があります。
働く人も慣れているのでしょうか、日本のコスメカウンターと比べると、かなり自由な雰囲気が漂っています。
 

日本とこんなに違う、パリジェンヌのメイク指南『ナチュラルメイク編』



 
場所とブランド、イベントの有無にもよりますが、1点以上のメイクはほとんどが有料でランデブー(予約)制となっています。
場所は各デパート、化粧品ブランドの路面店、コスメのセレクトショップなど。
メニューも豊富で、フルメイクコースやポイントメイクコース、眉毛バー(形を整える他)、レクチャーコースなどがありました。
その中でも一番フランスらしいと思ったのは、「ソワレコース(夜のお出かけのためのしっかりメイク)」です。
普段はメイクをあまりしないフランス人ですが、ソワレだけは別。
夜のデートやパーティーにはフルメイクで登場し、周りをあっと驚かせます。
この時に役立つメイク法がソワレコースに組み込まれている、というわけです。
 

日本とこんなに違う、パリジェンヌのメイク指南『ナチュラルメイク編』



 
ということで興味を持った私は、フランスで初めて美容部員さんにメイクをしてもらうことになりました。
場所はパリの「ノシベ(Nocibé)」。
フランスで全国展開しているコスメのセレクトショップです。
今回は20分の「ナチュラルメイクコース」を選びました。
 

日本とこんなに違う、パリジェンヌのメイク指南『ナチュラルメイク編』

 
ここでまず驚きます。
フランス人はナチュラルメイクでどんなアイテムを使うのだろう、と思っていたら、出てきたのはマスカラと口紅、ファンデーションだけでした。
アイブロウ(眉毛)はありません。
チークもアイシャドウもありません。
しかもファンデーションは塗っているか塗っていないか分からないほどの薄さで、色はいつもより1〜2トーンも暗めでした。
 

日本とこんなに違う、パリジェンヌのメイク指南『ナチュラルメイク編』

※メイク落としは洗って繰り返し使えるタイプのタオルコットンで。フランスで主流になりつつあります。



 
美容部員さんいわく、私が選んでいた明るめのファンデーションは量が少なくても厚塗り感が出てしまい、「パンチュール(絵、peinture)」になりやすい、とのことです。
このパンチュールとはフランス語の表現で、やりすぎメイクを指摘する時に使います。
ちょっとした皮肉なのですが、そんな表現にもナチュラルを好むフランス人らしさが表れていると思います。
「暗めのファンデを選ぶと、夕方にくすんで見えないか心配」という悩みも、「セパグラーブ!(大したことない!大丈夫!、C’est pas grave)」と言って吹き飛ばしてくれました。

一方で、マスカラはしっかり重ねるという印象を受けました。
ですがビューラーはなし。
ここでも自然なカールのままで、黒いマスカラをたっぷりとのせていきます。
最後はローズ色のリップカラーで終わります。パリジェンヌのイメージにあるような赤い口紅はやっぱりソワレ用で、普段はもとの唇の色を活かしたカラーを選んでということでした。
 

日本とこんなに違う、パリジェンヌのメイク指南『ナチュラルメイク編』

※リップライナーで輪郭はしっかりと。左はベースメイク時に使用したシェーディングカラーです。



 
眉毛、アイシャドウをスキップしたのは新鮮でした。
これは私に合ったメイク法ではなく、フランス女性の基本的なナチュラルメイク方法なのだそうです。
※マスカラ、口紅、ファンデーションの3点セット。
確かに街を歩いていても、アイブローとアイシャドウをのせていない女性を多く見かけます。
もとの形状がどうであれ、みなさん本気で「気にしていない」といった印象です。
ということで、フランス女性が朝のメイクにかける平均時間は「5分」なのだそうです。
 

日本とこんなに違う、パリジェンヌのメイク指南『ナチュラルメイク編』

※自分がまぶたに陰影をつけたい、と使用していたアイシャドウには「ノン」。もっと簡単に、とのアドバイス。

 
フランスのナチュラルメイクは、スピーディで無理しないこと、そしてアンチ・トレンドが基本になっていました。
トレンドにそっぽを向くのはとてもフランス的だと感じます。
もちろん、メイクゼロで仕事に向かう女性もたくさんいます。
周りの人がそれをジャッジすることはありません。
むしろ心がリラックスしていて、いつもにこやか&明るい状態であることに重きを置いています。
今回教えていただいた美容部員さんにも「簡単に、シンプルに」と繰り返し言われたのが印象的でした。
 

自分流×帝京大学



Posted by ルイヤール 聖子

ルイヤール 聖子

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2018年渡仏。パリのディープな情報を発信。
猫と香りとアルザスの白ワインが好き。