PANORAMA STORIES

マダム・アコのパリジェンヌ通信“パリジェンヌ” Posted on 2023/05/21 Ako アーティスト/フリージャーナリスト パリ

 
“パリジェンヌ”という存在は、なぜこんなにも日本のみならず世界の女性たちを惹きつけているのかしら。
シックで小粋で、シャンパンの泡のように透明感があってキラキラして、けれどどこか、物憂げで。
なんともいえない魅力を湛えている気がするパリジェンヌ。
いや、気がするだけではありません。
火のないところに煙は立たない。
この諺は日本のみならずフランス語にも(Il n’y a pas de fumée sans feu)英語にも全く同じものがあるくらい事実。
パリジェンヌが世界の女性の憧れである歴とした理由も、やっぱりちゃんとあるのです。
 今回も私の独断と偏見、そして直感で、パリジェンヌたちがなぜこんなに素敵であるかをお話ししましょう。
 

マダム・アコのパリジェンヌ通信“パリジェンヌ”



 
誰もがわかっているのは、彼女たちが流行に左右されない自分の着こなしを知っている人たちだということ。
もちろん流行遅れではない“今年のライン”には通じていますが、その参考は商品見本のようなメディアではなく、街。
生きている人から、服や靴や鞄というオブジェクトだけではなく、着こなし+雰囲気を丸ごと自分に見出いだすのです。
だから着こなしに、自分らしいヒューマンな魅力がそなわります。

肌が透けるくらい透明感のあるワンピースや、胸が見えそうなくらいはだけたシャツ、膝よりずっと上のミニスカートを身につけ、堂々と歩くパリジェンヌたち。
そんな着こなしのゆるさは、異性の心をひこうとしているからではありません。
肌にあたる太陽が気持ち良いから、風を感じられるから、服のバランスがより一層素敵になるから、そして自由を感じるから。
自分への心地よさが一番です。
 

マダム・アコのパリジェンヌ通信“パリジェンヌ”

地球カレッジ



 
話し方のトーンは、どの国の女性たちよりもちょっと低い。
とても可愛い顔をした女性アナウンサーやコメンテイター、パーティの席で出会ったマドモワゼルやマダムが、あるがままの少しトーンの低い声で自分の意見をしっかりと述べている場面は日常茶飯事です。
日本だとこんな時、ちょっと高めのトーンに声変えをして、舌足らずで喋ったり、礼儀正しく丁寧に話したり。
ありのままの少しマニュッシュなパリジェンヌたちの飾らぬ喋り方に「かっこいいー!」と唸っていたのはフランスに住み始めたばかりの頃。
今では逆に日本に帰るたび、女性たちが時に自動的に裏声になる習慣にびっくりします。
パリジェンヌの辞書に裏声はありません。
いつでも自身の声で話します。
 

マダム・アコのパリジェンヌ通信“パリジェンヌ”



 
 声のみならず、お顔だって、パリジェンヌはそのまま=素が基本。
もちろん外出するときはマスカラをつけて口紅を引くことはあっても、ファンデーションがわかるくらいバッチリお化粧をしての外出はとてもレア。
中高校生を除いては!
日本ではお化粧している顔がその人の顔となり、お化粧を落とした顔が別人で驚くという話をよく聞きますがフランスは逆。
40代のバネッサ・パラディは、コロナのロックダウン時、家からのメッセージをノーメイクのままネットを通して送っていました。
あのすきっ歯(フランスではセクシーの象徴ですが)でノーメークだと、おばあさんムードが漂ってしまいそうですが本人は気にしません。
50代のソフィー・マルソーもノーメークの寝起きのような顔でラジオ局に出演している映像がネットに載っていましたが、語ったメッセージが大切だったようで自分のインスタにもまったく臆せず投稿しました。
私のダンスクラスのひとつにエロディ・ブシェ(フランスでは有名な映画女優)が時々来ますが、いつもすっきり気持ち良いくらいのノーメーク。
その素顔がまた良い感じです。こんな風に、大女優たちの素顔に、私たちはがっかりなんてしません。
ありのままの彼女たちが人間として好きなまま。
そして彼女たちがヘアーメイクさんに美しく整えられて舞台に上がった時、その光るような美しさに、感動します。
我らのバネッサパラディ、ソフィーマルソー、エロディ・ブシェは、ほらやっぱりこんなに素敵なんです!と。
パリジェンヌたちも同様、素顔が基本。
そして時々、パーティなどで思い切りドレスアップしてメイクをしてやってきて、その隠されていたような美しさに、ドキリと感動します。
 

マダム・アコのパリジェンヌ通信“パリジェンヌ”

 
しかしもちろんパリジェンヌが日々何もしないというわけではありません。
自分らしい、自分だからこそのお洒落を加えて、自身の魅力をアップする術を知っています。
旬のお野菜はそのままでも美味だけれど、良いオリーブオイルとお塩をちょっぴり加えるだけで、一層美味しくなっちゃう、というくらいに。
素をひき立てるために。
果たして、パリジェンヌとは、我のままである媚びない女性たち!ですが、実際その素が素敵でなければ、パリジェンヌがパリジェンヌたらぬのです。
なぜ素が素敵であれるのか、その秘密は、またいつかお話ししましょう。
 

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Posted by Ako

東京生まれ。1996年よりパリ在住。セツモードセミナー在学中にフリーライターとして活動を始める。パリ左岸に住みアートシーン、ライフスタイルなど、生のフランスを取材執筆。光のオブジェ作家、ダンスパフォーマーとしても日々活動。