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愛すべきフランス・デザイン「屋根裏部屋を空っぽに! パリのフリーマーケット参戦記」 Posted on 2022/11/12 ウエマツチヱ プロダクトデザイナー フランス・パリ

愛すべきフランス・デザイン「屋根裏部屋を空っぽに! パリのフリーマーケット参戦記」

 
いつもはモノのデザインについて書いているが、今回はフランス式モノと別れる方法。
フランス語でフリーマーケットは「ヴィッド・グルニエ(vide-grenier:屋根裏部屋を空っぽにする)」という。
その名の通り、一般の人が家庭の不要品を路上で販売するのだが、屋外が気持ちの良い春と秋は、ほぼ毎週末パリのどこかで行われている。
主に市町村が区画を取り決めて、参加者を募る。
参加費は、通りによってまちまちだが、人手の多い場所になると、出店料も上がるようだ。
専門家が出店する骨董品が集まる蚤の市は「マルシェ・オ・ピュス(marche aux puces:蚤の市)」と呼ばれ、時にこの2つは混ざり合うことも。
素敵な蚤の市の隅で、一般の人がガラクタを売っていたり、逆もしかり。
 

愛すべきフランス・デザイン「屋根裏部屋を空っぽに! パリのフリーマーケット参戦記」



 
晩秋のパリにしては珍しくうららかな日々に恵まれた10月、私は2週連続で、ヴィッド・グルニエに出店していた。
1週目は、友人の「今週末、ヴィッド・グルニエに一緒に出したい人〜!」という声かけに乗った。
水曜日に告知され、開催がその週末の日曜日。
諸々の手続きは間に合うのかと心配したものの、ヴィッド・グルニエの申込みは開催直前に行われるものらしい。
短い準備期間の中、せっかく出すならと、大急ぎで「KONMARI」をした。
「KONMARI」とは、フランス人の間でも有名な、片付けコンサルタントの近藤麻理恵さんのこと。
北米で活躍中で、彼女のNetflixの番組はフランスでもみることができる。
フランス人ばかりの私の職場でも、不用品の一斉廃棄を「KONMARI」と呼ぶほど、彼女の名前は浸透していて、同じ日本人として誇らしい。
 

愛すべきフランス・デザイン「屋根裏部屋を空っぽに! パリのフリーマーケット参戦記」

※ヴィッド・グルニエの募集は立て看板というアナログさ

地球カレッジ



 
そんな中、出てきた我が家の不用品の多くは、日本に住んでいた頃に使っていて、フランスでは使わなくなったもの。
壊れたプロジェクターや、電圧が違うアイロンなども、もしかしたらという期待を込めて持っていくことに。
車の後部座席を倒して、やっと積み込めるほどの量が集まり、売る前から満足。
なんとか全部押し込んで、まだ日が昇る前の暗い中、開始時間の朝7時をめざして出発した。
運良く、私たちに割り当てられた区画前の路駐スペースに停めることができた。
日曜日は路上駐車が無料なので、これまた嬉しい。
 

愛すべきフランス・デザイン「屋根裏部屋を空っぽに! パリのフリーマーケット参戦記」

※車のトランクめいっぱい

 
到着して、まだ暗闇の中、ものを並べ始めると、あれよあれよと、お客さんたちが集まってきた。
まだ値付けも決めきれていないところ、「20€でどうだ?」「これは5€でいいだろ?」とすごい勢いで値段交渉。
圧倒され、ほぼ相手の言い値で売ってしまった。
でも、たくさん売れたから良かった! と思ったのも束の間。
その人たち、販売区画ギリギリ外の、角を曲がったところにテーブルを出し、私たちから買ったものを即転売! 悔しいことにお昼前には完売して撤収!! 場所的にきっと正規の出店者じゃなかったんだろうな…。
いくらで売ったのかはわからないけど、私たちから買った値段よりは高く売れたんだろうな…。
うーん、ちょっとモヤモヤするけど仕方ない。
この話を職場の同僚にしたところ、学生時代、お金がないけど売るものもなかった頃、同じようなことをやったという。
ほんのちょっとの利益だけど、楽しく出店する雰囲気も味わいたかったという話を聞いたら、微笑ましく思えてきた。
私たちのものを転売していた人たちは、その道のプロっぽいオジサン達だったけど。
 

愛すべきフランス・デザイン「屋根裏部屋を空っぽに! パリのフリーマーケット参戦記」

※和食器はあっという間に売れた



 
さて、朝一番は、買う気満々の転売屋が多いということを学び、2週目は心して参戦。
朝イチの強気なお客さんの値段交渉には負けない! これはもう闘いだ! 前回は、朝イチ、昼前、終了直前の3回、大きな人の波があったけど、2回目は、時間帯を問わず、一緒に出店していた友人が自宅から新しいものを持ってくる度に、人だかりができた。
そのうち、我々の在庫が豊富だと悟った人たちが時間を空けて、何度も戻ってきてくれるまでに。
強気な値段設定のおかげか、1回目よりも物の量ははるかに少なかったのに、売り上げ金額は遜色なかった。
また、商品を一気に並べず、徐々に出していっても、良いものは売れていくのだと学んだ。
 

愛すべきフランス・デザイン「屋根裏部屋を空っぽに! パリのフリーマーケット参戦記」

※2回目は少なめ

 
2週に渡り、家の不用品を売りまくった我が家、ありがたいことにほぼ全てのものを売り切ることに成功した。
だが、そのほとんどは地下倉庫で眠っていたものだったので、家の居住空間の物量はほぼ変わらないという残念さ。
そんな空間に余裕ができた地下倉庫に、夫が早速、ワイン瓶を並べる保存棚を設置した。
我が家の倉庫がフランスらしくなっていくことに期待したい。
ちなみに、唯一、売れ残ったものは、加湿器。
こんなに乾燥した国なのに、「除湿機だったら買ったのに」と何度言われたことか…。
壊れたプロジェクターも、電圧が違うアイロンも、キチンと説明した上でも欲しいという人に出会えたのは奇跡! プロジェクターは、カリブ海に浮かぶ、フランス領マルティニーク島の人の手に渡ったので、今頃、気候の良い地で余生を送っていることだろう。
 

愛すべきフランス・デザイン「屋根裏部屋を空っぽに! パリのフリーマーケット参戦記」

※オシャレな友人の出品物は、視察に来た区長さんにも褒められていた!

自分流×帝京大学



Posted by ウエマツチヱ

ウエマツチヱ

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tchie uematsu
フランスで企業デザイナーとして働きながら、パリ生まれだけど純日本人の娘を子育て中。 本当は日本にいるんじゃないかと疑われるぐらい、日本のワイドショーネタをつかむのが速い。