TPA校長奮闘記
校長奮闘記「終わりのない学び」 Posted on 2026/07/19 辻 仁成 作家 パリ
おつかれさまです。
結局、学ぶことしか、人間に残された喜びはない、と最近よく思う、辻校長であります。
人間の寿命が延びまして「人生100年の時代」などと言われていますが、60歳くらいで定年退職をして仕事がなくなったあと、じゃあ、残り40年、いったい何をして生きていいのか悩まれる人が、どんどん、増えているというわけです。
実際、みなさん何をやっているのか、周囲の同世代の仲間たちを見回して見て、一つ気が付いたことがあります。
定年後、新しい何かを学び直し、そこから第二の人生を突き進んでいる人たちは、年を取らないというのか、若々しいのに対して、特に何もしないで生きている人たちは「老ける一方だ」と嘆いている人が多い。
ぼくは同世代の知り合いたちに、「何かはじめたらいいじゃない。何かを始めるためには何か技術を習得しなきゃ。でも、時間はあるじゃん。その時間で今まで経験したことがない、技術を学べばいいんだよ。そしたら、何かが始まるって」と言い続けています。
40代、50代も、そういう切り替えの時期ではあります。定年まで待つ必要はないし、スタートは早い方がいいです。
実は、昨日も一人、はっぱをかけた男がいました。ふふふ、君のことですよ。

その人は、若い時代に一世風靡した経験者で、ものすごく才能がある、そして、その世界では大成功をおさめたと言えます。クリエータ集団の社長をやっていた、と言っておきます。でも、その会社が大きくなった時に、何か、これを続けているだけじゃ面白くない、と彼は気づいちゃうんです。なのに、もっと上の人から「もっともっと大きな会社の偉い管理職をやってくれないか」とオーダーもあったそうです。でも、それを全部断り、彼は退職の道を選ぶ。そして、なんと自分がクリエーターの仕事をはじめました。憧れがあったんでしょうね。その社長経験者さんからすると、自分の会社で雇っているクリエーターたちが羨ましかったし、自分ならもっとできるのに、と思うこともあったのでしょう。優秀な社長だから、自分を試したかった。まだ、若い。でも、実際、50代になってからクリエーターを始めるのは楽しい反面、想像以上に大変だったと思います。ぼくは、彼をよく知るので、この4,5年の勉強期間には大きな意味があったんじゃないか、と言いました。その上で、社長(プロデューサー)としての才能が半端ないことも知っていたので、どうでしょう、ここまで勉強をしたんだから、その経験をいかして、もう一度クリエーションの会社をおこしてみませんか、と言ったわけです。退路を断ち、自分がクリエーターになったことは、かけがえのない経験となったはず。その経験を活かし、クリエーターたちを統括し、若い人の才能を伸ばし、新しいジェネレーションのための会社組織を作ったら、この世界をもっと面白く出来る、という提案でした。うすうす、彼もそのことに気づいていたので、そうですね、考えてみます、と言い残して帰っていきました。これが、あと10年後だったら、ぼくはそういうアドバイスはしなかった、と思います。でも、彼のこの4,5年の休息と、その間の努力、創作、勉強は、大きなステップ「学びの時間」だったわけです。こういう学びもあるんです。クリエーターって、やっぱり、20歳には20歳の人間にしか出来ないクリエーションがあるわけですからね。同時に、それをジャッジする大人が必要です。ぼくの友人のその元社長には、世界中のクリエーターたちを拾い上げるだけの眼力がありましてね、この才能を今捨てるのはもったいない、と思っていたんです。彼は学んでいます。そして、まだ50代なので、ここから第二の旗をあげるのに十分な時間と体力があるわけです。ぼくは、けっこう長い時間を費やし、説得してみました。なぜか、校長の血が騒いだわけです。いつか、TPAでも講座を持ってもらいたい。さ、どうするかは、彼の人生ですから、分かりませんが、クリエーターとして頑張った経験はまちがいなく、いい形で彼に戻って来ることをぼくは知っています。楽しみです。
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ぼくは数年前から絵の世界で生きるようになり、今、猛烈に勉強をしています。チャレンジもしています。ぼくの場合は、年齢が年齢だけに、もう変更が効かないかもしれません。でも、ものすごく早い速度で習得が出来ています。それは、作家や他のクリエーションの経験、長い土台のおかげだと思っています。絵に関しては、今後は欧州がどんどん拠点になっていくでしょうね。日本で個展が開けなくなるかもしれませんが、あまり時間がないので、余計なことは考えず、突き進むことしか頭にはないんです。海綿体のような頭なので、吸収力だけは自信があります。貪欲に学んでいます。学ぶことは楽し過ぎます。そして、学ばないと脳は枯渇します。老化するだけです。学び方は様々で、そこに規定はないでしょうね。しくじることも楽しいです。つまり、楽しんでやることが、ぼくの学び方の原点かもしれません。
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今は来年のTPA「帝京×パリ、アートカレッジ」の未来図面を頭の中でひいています。校長ですからね、この学校を大きくしたいという野望はあります。ぼくもそこで学んでいるんです。いいじゃないですか、校長も一緒に学ぶ学校って、素敵ですよね。来年はもっといい学校になると思いますよ。

父ちゃんの独り言、&、近況のようなもの。
来年のTPAには、現在の10名の講師陣の他に、新たなゲスト講師を招きいれ、さらに世界を拡張する計画です。うずうずしている皆さん、門戸は開かれます。ぜひ、ご検討ください。
そして、TPA、ついに上半期が無事に全て終わりました。残すは、7月26日のぼくのスクーリングだけとなりました。この日は、座談会形式で、総集編的な講座講演会をやりたいと思います。秋にも、東京でスクーリングをやりますので、お楽しみに。そして9月から下半期のスタートとなります。
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父ちゃんの個展情報です。辻仁成展「鏡花水月」、三越日本橋本店、特選画廊で、8月5日から11日まで、開催。皆さん、お誘いあわせの上、どうぞ、遊びにいらしてくださいませ。




