PANORAMA STORIES

ささやかな幸せを持って生きる日々 Posted on 2026/03/08 辻 仁成 作家 パリ

おつかれさまです。
今日は、パリで仕事のために滞在しておりますが、みなさん、いいことがいろいろとあったんです。
それはぼくにとっては、とってもいいことでしたが、みなさんにとっては呆れるような出来事でしょう。
まず、その1。
画材屋に行ったんですが、売り子の若い女性が、ぼくの顔をみて、あっとう顔をして、なんか久しぶりじゃない、と言ったんです。いや、はじめてきた店だから、人違いだと思うよ、と返したんですけれど、その子、アニエスちゃんと仲良くなることができ、その子、その時、まるで映画みたいに噴き出して、
「似てるから、びっくりしました」
ですって。誰に???
なんか、ちょっと世間話も出来ました。ぼくはそこのプロ会員なんで(2割引きになる)、名前を憶えてくれて、申し訳ないから、名前を訊くじゃないですか、笑、変な意味はないですよ、そしたら、アニエス、と名乗ってくれて、帰り道、幸せな気分、画学生みたいにスキップしながら帰った、という鼻の下が伸びるようないい話でした。でも、それにしても、いったい、だれと間違えたのだろうね?
あはは。
で、その2ですけど、息子と息子のガールフレンド君と3人でご飯をしたんですよ。そしたら息子が、
「パパのこと、ものすごく優しいって言う人がいるんだ。涙が出るくらいに優しいって、どう思う?」
と言い出して、それが誰かは教えて貰えなかったのですけれど、
「ま、かんちがいしているだけだね」
と言ったら、
「いや、パパは本質は優しいんだ。仕事には厳しいけれど」
と言ったので、またまた、鼻の下がぐーんと伸びました。息子の横で、彼女さんが、頷いてくれていたので、なおさら。ええと、今日は二人と、フランス語で会話をしたんです。ぼくと息子が日本語で話すと恋人君が寂しいじゃないですか、ぼくにとっては、フランス語の勉強にもなりますし、ええと、幸せでした。
ということで、スキップして帰りました。あれですかね、春、だからかな・・・。
大したことはないけれど、幸せな日となりました。
皆さんは、いかがですか?

ささやかな幸せを持って生きる日々

ささやかな幸せを持って生きる日々



昨夜は、夜のセーヌ川の絵を描くために、画用紙とか持って画家のようにセーヌ河畔を歩いた父ちゃんです。
いつの個展に出すか、まだ決めていませんが、こういう風景を少し描いて楽しんでおります。
暖かくなってきたので、夜散歩がこれまた、いいんですよね。
セーヌ川と道とのあいだに「ケ」と呼ばれる遊歩道があって、そこがまた、恋人たちの散歩コースで、父ちゃん画人の専用スケッチ場となっています。
なんか、シャンソンでも口ずさみながら、絵筆を動かすと、いい風がふいて、ロマンティックで、これまた素敵でした。
最近は、自分を幸福な方へと持っていく運動(癖、訓練)をしています。悪い方悪い方へ考えを持っていかず、生きている喜びをキャンバスに投影したいな、と思って生きてるんです。

ささやかな幸せを持って生きる日々

ささやかな幸せを持って生きる日々



さて、幸せってなんでしょうね。
気の持ちようじゃないかな、と思いませんか? 気分を変えることで、運気もアップするような気がします。
自分から不幸をおびき寄せたらいけませんよね。いいな、晴れ晴れするな、という方向へと舵を切ることが大事だな、と思う今日この頃です。
ささやかな、小さな幸福をかき集めて、今日はいい日だ、と自分に言い聞かせることで、世の中って、生きやすくなったりするからです。
こんな父ちゃんですが、裏切りや、敵対心向けてくる人とか、ないがしろにされたり、・・・よくあるんです。
でも、気は持ちようなので、たいしたことじゃなくても、ちょっといいなー、と思うことを大切に心の中で育てることで、一日が、まあ、悪くない感じに広がっていくじゃありませんか。
それでいいんじゃないですか?
はい、まずは、今日を精一杯生きたりましょう。明日は明日の風が吹きます。
えいえいおー。

ささやかな幸せを持って生きる日々

※ 先日、隣の席に座っていたおじいさんが絵を描いていて、おばあさんが、横にいたんですが、素敵でした。幸せを分けて貰えた感じでした。絵を描く、横にいる人が見ている、いやー、素敵だなー。

ささやかな幸せを持って生きる日々

じゃーね。

お知らせは、
3月18日に、エッセイ集「キッチンとマルシェのあいだ」光文社。
3月30日、「対麺」
8月5日から三越日本橋本店特選画廊A全面で「辻仁成展、鏡花水月」。
9月4日、小説「泡」、集英社。
10月、パリ、アートフェア出展。
11月5日から22日まで、リヨンでの個展。会場の住所や、画廊連絡先については、また後日、ここで発表します。
11月、7か8日、パリでのライブ、予定、現在交渉中。それにあわせたツアーをしげちゃんが計画中。

そして、父ちゃんが校長をつとめる「帝京×パリ、オンラインアートカレッジ」のHPはこちらです。

帝京×パリ・オンラインアートカレッジ



Posted by 辻 仁成

辻 仁成

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Hitonari Tsuji
作家、画家、旅人。パリ在住。パリで毎年個展開催中。1997年には「海峡の光」で芥川賞を受賞。1999年に「白仏」でフランスの代表的な文学賞「フェミナ賞・外国小説賞」を日本人として唯一受賞。愛犬の名前は、三四郎。