ノルマンディ、ツジ村便り
辻村相談窓口、「子育て料理術」 Posted on 2026/06/24 辻 仁成 作家 パリ
おつかれさまです。
今日は、さっそく、質問にお答えしますが、子育てに関するものです。
実は、一昨日くらい、うちの息子から、
「父の日だ。おめでとう」
とワッツアップが届いたんですね。(フランスのラインのようなもの)
父の日だ、おめでとう、というものなのかな、と思ったんですが、
「あ、そうなんだ」
と返事を戻してしまい、せっかくメッセージをくれたのにがっかりさせてはいけない、とハートマークを付けておきました。あはは。
前説が長くなりましたが、父子関係はあいかわらず良好です。親子ですからね。
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匿名希望Vさん
「辻さん、子育てに関することで伺いたいことが山ほどあるんですが、今日はその中でも、料理についてお聞きしたいのです。うちは、男の子が二人、10歳と12歳の食べ盛りなんです。辻さんの毎日の献立を参考にさせてもらってきましたが、辻さんは最近、子育てから離れられ、がっつり系の料理が減ったので、今日は、成長真っ盛りの男子たちを元気にさせるがっつり料理のバリエーション、またはアイデアについて、または心構えなどをご指導もらえれば、と思います。よろしくお願いします」

おこたえしまーす。
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「そうですか、10歳と12歳ですか、わんぱく盛りの時期ですね。ぼくがちょうどシングルファザーになったのも、息子が10歳の時でした。小学生でして、その当時は、どうやって、食べさせようか、と一生懸命悩んだことを思い出します。でも、人間、食べることは大事ですから、生活の基本をそこに置こうと心に決め、仕事を減らして、料理に集中することになります。もともと料理は好きだったので、特にキッチンで料理をすることは苦ではありませんでした。でも、寂しさをまぎらわせてやりたいと思ったので、美味しいもの、子供が好きなものをどんと出して、喜ばせてやりたい、と・・・。それがあの時期の自分の命がけの使命のようなものでした。仕事は減らした、と言いましたが、勝手になくなった、という方が正しいかもんしれませんね。だから、もともと、料理と並んで好きだった絵に集中をしはじめたのも、この頃からです。料理と絵って、ちょっと似ているところがありましてね、お皿の盛り付けもある種のアートなんですよ。「わ、すごい、美味しそう」と息子に言わせたくて、いろいろとアートしてました。味も大事ですが、弁当とか、蓋を開けた瞬間のインパクトをまずは大事にしました。だから、ぼくのあの時代の「がっつり飯」はどれも大胆な色、そして大胆な構成で作られたものが多かったです。今ですね、うちの息子、22歳なんですが、早いですよね、22歳ですよ! 彼は今、料理が大得意で、そっちの道に行くんじゃないか、というくらい、すごいご馳走を日々開発し、作っています。盛り付けがですね、ぼくのとやや似ているですよ。そういうの、嬉しいですよね。父の味を受け継いでいる、ということでしょうか? 振り返れば、息子の成長を応援する10年間でした。個人的に、ずっと創作と仕事ばかりでしたから、子育てに集中出来たあの時代、振り返ると、貴重な経験でしたね。息子との絆は今も前よりも強いと思います。自然ですし、愛されていると思いますよ。自慢の息子です。いろいろとありますが、あはは。
で、10歳、12歳の息子飯の父ちゃんからのアドバイスなんて言えるようなものではありませんが、そうそう、ぼくは、「大きな料理の中に小さな料理を隠し」ていたんです。もっと正確に言うと「子供が好きな料理の中に、子供が苦手な食材をうんと隠して育てた」ということになるでしょうか。カレーを作るにしても、野菜がたくさん入っている、だとか、ハンバーグの中も、ほとんど野菜だったり、笑、うちの子はにんじんが苦手でしたから、料理の中にかなり隠しました。そのうち、彼はだんだん、野菜が大好きな青年へと成長をとげるんです。下のお寿司の写真は、最近、彼がガールフレンド君に握ったお寿司ですが、ぼくがいつも寿司を握るので、そこから、ついに・・・。ある日、「パパ、料理教えて」と言われて、うちに遊びに来ると、教えることもあります。でも、今や、彼の方が、センスがいいので、ぼくよりもちゃんとしたものを作っては食べているんです。つまり、大事なことは、愛をパスするという気持ちです。そういう気もちで料理をしていれば、それは長い年月を要しますが、その子の心と身体の形成に役立つはずなんです。だから、奥様、すごいものを作ろうとか思わないで、その子たちの成長を願って、日々、愛をスパイスにして、ひたすら作り続けてください。コツなんかありません。周囲や世の中は気にしないで、子供たちに集中をしてください。長い人生の後半、その時のことを思い出し、よかった、と思えるはずですから。父ちゃんはあなたを応援していますよ。えいえいおー」

※ ちなみに上の写真が息子が握った寿司です。そして、下のが、ぼくがいつもお客さんに握っている辻寿司になります。えへへ。息子の勝ち????

父ちゃんの独り言、&、近況のようなもの。
フランスの熱波、けっこう亡くなられている人が多いです。あわてて、簡易クーラーを買いに行きましたが、売り切れてました。これから先、フランスの夏は、40度越えが続くかもしれないので、アトリエにクーラーを設置しようと計画しています。集中出来ないんですよね、暑すぎて・・・。
アスファルトも暑すぎるので、三四郎の足が心配で、野原を走らせています。(アスファルトは65度、芝生の上は27度だそうですよー)
ランニングは午前中にしました。
今日は、そうめん、にします。あぢー。
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8月5日から11日まで、三越日本橋本店、特選画廊にて、辻仁成展「鏡花水月」、三越を辻美術館に!
10月22日から25日、パリ、コンコルド広場でのモダン・アートフェアに出展。コンコルド広場特設会場にて。
11月5日より、リヨン市で個展。先日、第18回リヨンビエンナーレに公式参加が決定しました。主催、ギャラリー48。
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