ノルマンディ、ツジ村便り

辻村相談窓口、「豹変対策」 Posted on 2026/08/04 辻 仁成 作家 パリ

おつかれさまです。
さっそく、相談窓口を開店させていただきます。
今日も切実なお便りが届いております。

匿名希望Bさん
「今日は友人だと思っていた人が不意に豹変というか、いつもとは違う態度になって、どこか戦闘的な感じでいろいろ言われ、こちらも思わず身構え、つい、攻撃的になってしまいました。そういう人だと思っていなかったせいもあるのですけれど、驚き、悲しく、がっかりしてしまいました。人間関係、難しいです」

辻村相談窓口、「豹変対策」



おこたえしまーす。

「そうですね、ぼくも同じような経験、数限りなくありましたね。実際、これはよくあることで、もはやぼくくらいの年齢になると、またか、やれやれ、と諦めの境地にもなりますが、あまり経験のない方がこのような人間の豹変を目の当たりにされると、その衝撃やショックはすさまじいかもしれませんね。なぜか、人間というのは不意に変わることがあります。普段、おとなしく、優しい物分かりのいい人が不意に目くじらを立てたり、思いもよらない酷い言葉をぶつけてきたり・・・。たぶん、本来、その人もキャパシティがないのに、いい人であろうと頑張って、自分の本心を見せずにやってきたのだけれど、何かのきっかけで、不意に、防衛心に火がついて、敵対的な面が表に出ちゃったりするんでしょうかね。そういう時はね、人間の本心が見えてよかったじゃん、この人のキャパが分かってよかったじゃん、ある程度、距離をもっておきましょう、と思えばいいだけのことですよ。人間ですもの、完璧な人なんか、いませんし、普段、完璧を装っている人ほど、豹変すると落差に驚かされるものです。同時に、それがその人の本質ですから、くわばらくわばら、近づくのやめとこうかな、と思えばいいわけなんです。

つまり、予防といいますか、さみしい話ですけれど、ある程度のことを想定しておくのもいいですよ。ちなみに、ぼくは、怒る時は、自分を隠さず、普通に怒ることにしています。そういうのを我慢していると、爆発しちゃいますからね、言うべきことは素直に言うようにしています。「残念だけれど、君とは意見が合わないみたいだ」とはっきり言う。でも、「もめたくないから、この話はもうやめよう」と言って、離れるようにしています。離れたら、もう戻ることはしません。ぼくはそういうルールを決めています。なんでか、というと、自分を偽って、他人と仲良くするのが、ぼくは下手なんです。この人はダメだ、と思ったら、喧嘩はしないけれど、自分はそれ以上、深手を負いたくないので、近づかない。これは「想定」があり、次に、「現実を知って関係を見直す」ということが必要となります。豹変する人たちに振り回されて、自分が苦しくなるのは、絶対によくないし、豹変して敵対的になった人間に頭を下げる必要なんか決してありません。強くなってください。「あゝ、この人の本質が見えた。これは無理だ。さよなら」でいい。「この人にもいいところがあるし、私ももっと我慢しなきゃ」とか、思う必要ないですよ。短い人生なんだから、裏表のない人もいますし、豹変しない人も大勢いるんだから、あえて、不意に敵対的になった人間にチャンスを与える必要はないです。大事なのは「想定」です。もしも、そういう人間が現れたら、残念だけれど、そこから離れよう、と「想定」していたらいいんです。冷たいわけじゃなく、余計なもめ事にまきこまれて、穏やかな人生を台無しにする必要はないわけですから。あなたが、その尻ぬぐいや責任を感じる必要もありません。すみやかに、自分とは違う、と思って、あなたが傷つかない道を進んでください。人間関係はたしかに難しいです。人が変わる瞬間のあの嫌な想い。出来るだけないといいですね。変わったね、人が変わるあの嫌な瞬間をぼくはまた君であじわうのか・・・by echoes」

辻村相談窓口、「豹変対策」



父ちゃんの独り言、&、近況のようなもの。
絵の搬入がはじまりました。三越デパート周辺が熱いです。そして、いよいよ5日の三越開店とともに、辻仁成展「鏡花水月」がスタートします。一年もの歳月をかけてつむいできたぼくの魂の輪郭を覗きにきてやってください。初日は出来るだけ、いるように、したいと思っています。楽しみですね。えいえいおー。11日まで、三越日本橋本店、特選画廊です。

辻村相談窓口、「豹変対策」

辻仁成 Art Gallery
自分流×帝京大学