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パリ最新情報「続く猛暑の中、フランスでは第一回テラスの日が設定される」 Posted on 2022/05/19 Design Stories  

今週に入り、フランスは季節外れの猛暑に見舞われている。
パリでは最高気温が30度近くまで上がり、仏南西部では35度以上を記録するところも。
フランス気象庁によると、「今年の5月は平均気温が例年の2.7℃上回る、歴史的な月となる可能性がある」とのことだ。
最近では日も高く、日没は22時に近い。晴れ間が続いているためか、街は太陽を求める人々で一層賑やかになっている。
さてそんなフランス人の「太陽好き」を象徴するような記念日が、5月18日に設定された。

パリ最新情報「続く猛暑の中、フランスでは第一回テラスの日が設定される」



今回新たに決まったのが、フランスで初となる「テラスの日」である。
これは、仏カフェ・レストラン協会のFrance Boissonsが定めたもの。フランス人にとって大切な場所であるカフェテラスを讃え、コロナ規制から復活した飲食店に敬意を表した。今後は毎年第3水曜日に設定される。

フランス人の10人中9人は、年齢、社会的地位、地理的条件にかかわらず、少なくとも月に1度はカフェテラスを訪れるという。
それぞれがお気に入りのテラスを抱えており、本を読む時、ビジネスミーティングをする時、友達と会う時など、日光浴を楽しみながらカフェを飲む。
利用者の年齢で最も多いのは、19歳から34歳までの若年層。そのためお洒落なカフェは大都市に集中しており、フランスの農村部では残念ながらテラス席が消えつつあるようだ。

France Boissonsはまた、カフェテラスはフランス文化の象徴である、とし、パンデミック以降は人々がより屋外に集まっていることも強調した。
「カフェテラスは、人間関係において“小さな劇場”が繰り広げられる場所でもあるのです。何でもない時間や、無駄だと思える時間も楽しみましょう」と伝えている。

パリ最新情報「続く猛暑の中、フランスでは第一回テラスの日が設定される」



パリには観光客が戻り、エッフェル塔付近やルーブル美術館は2019年以来の盛況ぶりだという。主にヨーロッパ近隣諸国からの旅行客が多いとのことで、パリの観光名所ではさまざまな言語が飛び交っている。
やはりカフェも満席に近い状態で、人気店では列をなしているところもある。
地元パリジャンも観光客の戻りを喜んでいるようだが、話題となっているのは、テラス席に関する面白いアプリだ。

「Jveuxdusoleil」は、パリの街角で、リアルタイムで陽のあたるカフェテラスを見つけるためのアプリである。
今、どこのカフェが一番日当たりが良いか?を検索するシステムで、完璧なブロンズ肌を目指すパリジャン・パリジェンヌのあいだで活用されている。
「夏の終わりにはセロトニンでいっぱいになることでしょう!」と、パリの情報誌もこのアプリの内容を大きく伝えている。

パリ最新情報「続く猛暑の中、フランスでは第一回テラスの日が設定される」



5月の高温は、フランスでも珍しいことではなくなってきた。
今までは存在しなかったシマ蚊が増えたり、花粉症を発症する人が現れたりと、フランスらしからぬ現象が相次いでいる。
今回は18日が暑さのピークとなり、週末まで続く見込み。
仏気象庁によると、猛暑期間は今後さらに頻繁になり、春に訪れる可能性が高いとのことだ。ただフランスでは、春に気温が高くなると夏は低温になる、というジンクスもある。

それを知ってか知らずか、フランスの人々は5月の太陽を心行くまで楽しんでいる。
カフェで働くスタッフの中には、「私たちは飲み物というより、空間を提供しているんですよ」と、利用客との交流を大切にする人も。
こうして5月18日を「テラス席を祝う日」としたのも、非常にフランスらしい試みだと言える。(ル)

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