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パリ・アート情報「パリ、セーヌ川に架かる個性豊かな6つの橋、そのデザインを見る」 Posted on 2026/07/18 Design Stories  

 
パリのセーヌ川には、30以上の橋が架かっている。しかも、異なる時代の橋が連続して短い区間に残っているものだから、歩いているだけで建築史を旅しているような気分になる。本日はそれぞれの個性を見ながら、橋から楽しむパリをご紹介したい。
 

パリ・アート情報「パリ、セーヌ川に架かる個性豊かな6つの橋、そのデザインを見る」



 
まずは、西側から「アレクサンドル3世橋(Pont Alexandre III)」を渡ってみる。ここは立地がもう素晴らしく、シャンゼリゼ大通りから歩いて、右手にグランパレ、左手にプティ・パレを眺めながらすすんでいった先にある。エッフェル塔、アンヴァリッドが同時に見える絶景スポットでもあるので、誇張抜きに「パリでもっとも華やかな橋」といえるだろう。
 

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※アレクサンドル3世橋

 
1900年のパリ万博に合わせて建設されたアレクサンドル3世橋。入り口の四隅には、高さ約17mの柱と金色の像があって、美しい街灯や天使といった立派な装飾にも圧倒される。
ちなみにこの橋が面白いのは、ただ豪華なだけではないところ。実はアーチがかなり低く設計されていて、これはアンヴァリッドからシャンゼリゼ方面へ続く美しい眺めを遮らないためだという。 パリの、景観に対する強い思いが橋にも表れているのだ。
 

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※街灯はアール・ヌーヴォーが最盛期を迎えていた頃のもの

パリ・アート情報「パリ、セーヌ川に架かる個性豊かな6つの橋、そのデザインを見る」

 
このように橋そのものが芸術作品のようなアレクサンドル3世橋、いつ行っても見事だが、個人的なおすすめは日没の時間帯かもしれない。街灯は日の入り時刻に合わせて点灯されるので、パリの夕陽をバックにしたエッフェル塔をぜひこの目で見てみたい。
 



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※ロワイヤル橋

 
続いて、アレクサンドル橋から東に歩いて約20分のところにある「ロワイヤル橋(Pont Royal)」へ。あまり話題にあがることがない橋ではあるものの、実は完成が1689年と、ポン・ヌフやマリー橋に次ぐ古さだ。こちらの立地も実に素晴らしく、ルーヴル美術館とオルセー美術館、その2大美術館をしっかりと結んでいる。派手な特徴がないこと自体が特徴で、落ち着いたベージュ色の石は、なんとなくパリのオスマン建築とつながっているように見えてしまう。
 

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※ロワイヤル橋からの風景

 
この場所には、実は16世紀末から何度も橋が架けられてきた。しかし昔あった木造の橋は、セーヌ川の洪水によって流されてしまったそう。その後、現在のロワイヤル橋が1689年に完成した。橋脚にはいまも大洪水の水位を記録した目盛りが残されているということで、穏やかそうに見えて、実は400年分の苦労を知っている橋なのである。

とはいえ、クラシカルで上品な雰囲気があって、パリらしい美しさをしみじみと感じる。車道の石畳も趣深く、カミーユ・ピサロといった印象派画家たちにも愛された風景なのだとか。
 

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※ポン・デ・ザール

 
さらに、東へ歩くこと10分。「ポン・デ・ザール(Pont des Arts)」、日本語で芸術橋と呼ばれるこの橋は、パリ初の“鉄橋”として1804年に架けられた。ルーヴル美術館とフランス学士院を結ぶ橋で、2015年までは「南京錠をかける橋」として大変に有名だった(現在は禁止)。歩行者専用のため、今も昔も多くの芸術家・旅行者を惹きつけている。
 

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※若きルノワールが描いた『Le Pont des Arts, Paris(ポン・デ・ザール、パリ) 』

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※ポン・デ・ザールの夕暮れ時

 
そんなポン・デ・ザールは、石橋とはまた別の美しさを持っている。見晴らしがよく、7つの鉄製アーチ&木の床がとてもスタイリッシュ。とはいえこれは当時、フランスがイギリスの金属技術に対抗する意味も込めてつくられたのだという。産業革命を象徴する「鉄」、その無機質さと芸術がきれいに調和しているところも、パリらしくて面白い。
ちなみに訪れるのにおすすめの時間帯は、アレクサンドル3世橋と同じく夕暮れ時で、フランス学士院のほうに向かってすすむと壮大な光景を見ることができる。
 



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※ポン・ヌフ

 
ポン・デ・ザールのすぐお隣、「ポン・ヌフ(Pont neuf)」ももちろん見逃せない。現存するパリ最古の橋で、完成はなんと1607年。だが2026年6月にはここがアートインスタレーションの大舞台になったりと、最古にして最新の文化を発信し続けている。
 

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※2026年6月に行われたインスタレーション

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※ポン・ヌフのマスカロン(顔の彫刻)

 
建築デザイン的に見ると、ポン・ヌフはそれまでの橋とは一線を画す存在であった。パリではじめて歩道が設けられたほか、橋の側面に約380もの「マスカロン」が並んでいる。そのモチーフは、神話の神々・森の精霊・古代の人物などで、もともとは魔除けの意味があったそうだ。さらにポン・ヌフでは一つ一つの表情が違うということで、当時の職人たちの素晴らしい技術が見られる。
こうして400年以上前に架けられた橋が、21世紀パリの日常に溶け込んでいることも感慨深い。
 



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※シャンジュ橋

 
ポン・ヌフからまた東に少し歩くと、今度は「シャンジュ橋(Pont au Change)」が見えてくる。シャンジュ橋は、コンシェルジュリーを眺めるためのいわば“特等席”。ナポレオン3世の頭文字「N」がトレードマークになっている。
 

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※ライトアップされたコンシェルジュリー

 
シャンジュ橋は1858年に完成したもので、名前の由来としては、中世の時代に「両替商(changeur、シャンジュァー)」が店を並べていたことから始まっている。
またここは、マリーアントワネットが投獄された「コンシェルジュリー」と深い関係にある橋。フランス革命という激動の歴史を見つめてきた場所であり、パリの華やかさと影の側面、その両方を知っている橋でもある。
昼は歴史的建築として、夜はライトアップされたコンシェルジュリーを眺める場所として、隠れた名所の一つに数えられるだろう。
 

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※ノートルダム橋

 
一方で、ノートルダム大聖堂に向かうと見えてくる「ノートルダム橋(Pont Notre-Dame)」は、今回ご紹介するなかで一番控えめかもしれない。
しかし、個人的には一番好きなパリの橋。というのもノートルダム橋には、鉄・石・マスカロン・美しい欄干と、すべてがコンパクトに詰まっているためだ。大聖堂へと続く道のりにも、心が踊る。
 

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※ノートルダム橋の両サイドにあるマスカロン。ポン・ヌフのものより巨大

 
現在のノートルダム橋が完成したのは、1919年のことだった。実は中世以前から何度も橋が架け替えられてきたそうで、16世紀初頭につくられた橋の上には、約60軒もの家と店が並んでいたという。ノートルダム橋は、大聖堂へと向かう人々を何世紀にもわたって迎えてきた、パリの“思い出の橋”でもあったのだ。
 

パリ・アート情報「パリ、セーヌ川に架かる個性豊かな6つの橋、そのデザインを見る」

 
本日はパリ中心部、とくに知名度の高い6つの橋をご紹介させていただいた。6つとはいえ、完成した年代は1607年〜1919年と、およそ300年もの幅がある。距離にすればわずか3km、徒歩で移動しても約40分の道のりだ。
にも関わらず、約300年にわたる橋の歴史を一度の散策で経験できるのは、世界でもそう多くはない。パリは歩くのが楽しい街だとよく聞くが、こうした橋の風景もその一助になっていると強く感じる。(大)
 

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