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パリ・カルチャー情報「セーヌ川が”無料の文化施設”になる、夏のイベント『パリ・プラージュ』」 Posted on 2026/07/28 Design Stories
今年も「パリ・プラージュ」の季節がやってきた。パリ・プラージュとは、みながバカンスへと旅立つ7・8月、パリに残っている人にもバカンス気分を味わってもらおうと、パリ市が2002年に考案したもの。セーヌ河岸がビーチのように整えられて、ヤシの木やパラソル、臨時のカフェ・バーなどが数多く並ぶ。入場も無料なので、誰でも自由に出入りすることができる夏のイベントとなっている。


かつては幹線道路だったセーヌ河岸の道。しかし今では、車は進入禁止の完全歩行者天国に。普段からランニングをする人やピクニックをする人で賑わう河岸だが、やはりパリ・プラージュの時期になると、それがもっと華やかに、もっと親しみやすい場所に変わる。合わせて、交流イベント・スポーツアクティビティなども開催されている。

※アメリカ、サンティアゴのビーチの写真

※アメリカ、ヴェニスビーチの写真
2026年のテーマは、アメリカ独立250周年を記念して「アメリカ」に焦点が当てられた。そのため河岸では、ナショナルジオグラフィックの写真家たちが撮影した、アメリカの都市ビーチ・カルチャーを写真パネルで続々紹介。写真を通してアメリカを紹介する企画も多く、例年以上に文化色が濃い印象だった。


※テーブルサッカーのゲーム
7月4日から8月末まで開催されるこのパリ・プラージュ、さらに面白いのは何かというと、セーヌ川沿いが「無料の文化空間」へと変身することだ。
たとえば、屋外図書館や、フランスで定番のテーブルサッカー「ベビーフット」を楽しめるコーナー。また今年は、VRゴーグルを装着して、古代から現代までのパリの歴史を旅する没入型プログラム「Les Origines de Paris」も開催されていて、子どもから大人まで楽しめるイベントが目白押しであった。

※「Les Origines de Paris」の様子

※ダンスを楽しむ人たち

※ペタンクの様子
川岸を進んでいくと、ペタンク(鉄の球を投げるスポーツ)を楽しむグループ、そしてダンスを楽しむマダム&ムッシュの姿も。川沿い自体がまるで巨大なカルチャーセンターのようで、「文化は贅沢ではなく公共サービス」とする、フランスならではの文化政策とも重なる。
そんな催し物以外で印象的だったのは、みな何かをしているようで、実は何もしていないこと、だろうか。2026年のフランスは猛暑なのでアクティブに動く人が少ない…というのもあるが、それぞれ昼寝をしたり、日光浴をしたり、友人とお喋りをしたりと、思い思いの時間をゆっくり過ごしている。フランスらしいバカンスの過ごし方に、見習いたくなる気持ちも湧いてくる。


※臨時のカフェバーカウンター、アーティスティックなコンテナ
ちなみにパリ・プラージュはセーヌ川沿いだけではなくて、ラ・ヴィレット運河(セーヌ川とロワール川の河岸)、サン・マルタン運河、そしてパリ市庁舎広場でも開催されている。
2026年でとくに目立ったのは、それらに開設された「セーヌ川のプール」が、猛暑のために大賑わいだったこと。ところどころに庇や水蒸気のミストも設けられていて、涼をとりにきた人々の歓声が大きくあがっていた。

※ルイ・フィリップ橋(パリ中心部)のプール

というように、パリ・プラージュは「文化を施設のなかに閉じ込めず、街そのものに広げる」という発想を持っている。 写真展も図書館もダンスも、本来なら屋内で行われるものだが、ここではそれらをセーヌ川沿いに集めて、市民のための大きな屋外リビングに変えてしまう。
こうしてセーヌ川沿いに約2か月だけ現れるパリ・プラージュ。 居心地のいい夏のくつろぎ空間は、四半世紀にわたって続くパリの風物詩でもあるのだ。(オ)


