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パリ最新情報「季節ものだけじゃない、フランスの知られざるご当地スイーツ!」 Posted on 2022/03/27 Design Stories  

イースターが近づき、パリのパティスリーには卵の形をしたチョコレートがたくさん並ぶようになった。
キリスト教の信者であってもなくても、春の訪れを祝うイースター (フランス語でPâques =パック)の日には、家族で集まって食事をとる習慣がある。
学校や家庭では、イースターの日に、大人たちが庭に隠した卵型のチョコレートを子どもたちが探すという伝統行事もあるほどだ。

パリ最新情報「季節ものだけじゃない、フランスの知られざるご当地スイーツ!」



こうしてイベントにちなんだスイーツが並ぶフランスだが、各地方には知られざる郷土菓子が存在する。
料理もお菓子も、陸続きの国ならではのバリエーション。
そんな地域色豊かなおやつをここでご紹介したい。
すべて食べたことがある人はかなりのフランス通?!

パリ最新情報「季節ものだけじゃない、フランスの知られざるご当地スイーツ!」

まずは北フランス最大の都市、リールの名物「ゴーフル」
これは1761年から続く、リール屈指の老舗パティスリー『Meert(メール)』の銘菓となっている。
ソフトな生地にはバニラビーンズがたっぷり入ったバタークリームが挟まれていて、一枚でもかなりのボリュームが。
定番のバニラ味のほかにはピスタチオ味、塩キャラメルや季節のフレーバーがあり、パリにもファンが多い。

ちなみに北フランスではベルギーワッフルの影響を色濃く受けていて、ゴーフルは家庭のおやつとして日常的にストックしているのだとか。
内側に挟むのは生クリームではなく、濃厚なバタークリームが基本なのだそう。



パリ最新情報「季節ものだけじゃない、フランスの知られざるご当地スイーツ!」

フランス東部、ドイツとの国境に近いアルザス地方のご当地スイーツは、なんといっても「クグロフ」だ。
アルザスのシンボルである王冠の形が特徴で、現地のパン屋さんには必ずといって良いほどクグロフが並んでいる。

伝統的なクグロフはイースト菌を使い、サクランボリキュールで香りつけしたレーズンなどを練りこんでブリオッシュ風に作られる。クリスマス時期にはスペシャルなクグロフも登場する。
本場アルザスでは、クグロフ専用の陶器の型があり、ステンレスやアルミよりもふんわり焼けるということで昔から愛用されているそうだ。

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南仏プロヴァンスのご当地スイーツは、幸せのお菓子と呼ばれる「カリソン」
カリソンは、メロンの砂糖漬けと、細かく砕いたアーモンドを混ぜてペースト状にした菱形のお菓子のこと。
15世紀、プロヴァンスを治めていた王族ルネ・ダンジューが、つれない王妃を喜ばそうと結婚式用に特別に作らせたものだったそう。

むっちりとした食感に、アーモンドのふくよかな味。
滅多に笑わない王妃だったが、一口このお菓子を食べるやいなや、その美味しさから自然と笑顔になったのだとか。
嬉しさのあまりルネはこのお菓子をプロヴァンスの方言で「Di Calin soun!」=抱擁と呼ぼう!と言ったそうで、そのことが転じて現在のカリソンとなった。
現在ではフランス中のスーパーやデパートで手に入れることができる。



パリ最新情報「季節ものだけじゃない、フランスの知られざるご当地スイーツ!」

フランス南西部の町、トゥールーズには「スミレの砂糖漬け」という素敵なスイーツがある。
トゥールーズはスミレの名産地だ。
その名の通りスミレを砂糖漬けにしたもので、気軽にポリポリと、キャンディ感覚で食べることができる。

ツウな使い方として、紅茶やシャンパンに入れてスミレ風味にする方法がある。するとシャンパンはスカイブルー色になり、見た目も香りも一気にエレガントに。
ラデュレをはじめとする、フランスの老舗菓子店がいくつか取り扱っている。

陸続きで6か国と隣接するフランスは、その土地土地の独特な食文化が存在する。
カヌレやクイニーアマンなど、すでに有名になったフランスの郷土菓子もあるが、今回ご紹介したスイーツはどれも古くから愛されているものばかり。
地方の歴史と合わせて、他のお菓子情報もお届けしたいと思う!(せ)

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