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パリ最新情報「フランス国立図書館『リシュリュー館』、全面改装を経て初の一般公開へ」 Posted on 2022/09/24 Design Stories  

 
歴史的価値の高い書物が眠るフランス国立図書館は、世界で最も重要な図書館のひとつと言われている。
その起源は1367年と非常に古い。
もともとはフランス国王シャルル5世が設けた王室文庫に始まっており、後に続くフランスの要人たちが歴史を絶やすことなく蔵書を増やしていった。
今日ではパリ市内に五か所の図書館が存在し、合計の所蔵数は約4000万点にも上るという。
 

パリ最新情報「フランス国立図書館『リシュリュー館』、全面改装を経て初の一般公開へ」

 
この五か所を総称したものを“フランス国立図書館”(Bibliothèque nationale de France、通称BNF)と呼ぶわけだが、中でも「最高傑作」と言われるリシュリュー館が、12年の改装工事を経て9月17日に初めて一般公開された。

初めてというのは、リシュリュー館がこれまで研究者・学生にのみその門戸を開放していたためである。
場所はパリ2区、パレ・ロワイヤルにも近く、アクセスの良いリシュリュー通りに面している。
 

パリ最新情報「フランス国立図書館『リシュリュー館』、全面改装を経て初の一般公開へ」



 
リシュリュー館の所蔵数は約2000万点にもなる。
建物の総面積はおよそ6万平方メートルと巨大だが、その3分の1は今でも倉庫として使われているとのことだ。
一番の見どころは、一階にある楕円形の閲覧室(la salle Ovale)である。
こちらは建築家ジャン=ルイ・パスカルによって18世紀に設計され、高さ18mのステンドグラスから自然光が燦々と降り注ぐのが特徴だ。
入場は一年を通して無料となっており、中央部のスペースは予約すれば誰でも利用することができる。
 

パリ最新情報「フランス国立図書館『リシュリュー館』、全面改装を経て初の一般公開へ」

※「いつでも気軽にいらしてください」と図書館員のエヴァ・ゲランさん。

地球カレッジ



 
辞書、歴史書、哲学書などがびっしりと並んでいるが、la salle Ovaleにおける所蔵書の半数はなんとバンド・デシネ(漫画)で構成されている。
日本を含む世界各地から集められた漫画が多くあるため、「家族連れでも楽しんでほしい」とリシュリュー館は述べている。
 

パリ最新情報「フランス国立図書館『リシュリュー館』、全面改装を経て初の一般公開へ」

 
またリシュリュー館では新たに美術館も創設された。
2階の美術館では文書以外にも絵画や彫刻などが展示され、一部のコレクションでは日本企業の大日本印刷が最先端の技術を生かして作品をデジタル化し、細部まで作品を鑑賞することができる。
 



パリ最新情報「フランス国立図書館『リシュリュー館』、全面改装を経て初の一般公開へ」

 
ただ一般には開放していない閲覧室もある。
例えばフランスの文豪ヴィクトル・ユーゴーの手稿などが収められた「手稿閲覧室(la salle de lecture des Manuscrits)」 は世界最大級の手稿収蔵数を誇っており、こちらは研究者のみが入れるようになっている。
しかし定期的にガイド付きのツアーも開催されているため(有料)、興味のある人は公式ホームページから申し込むことも可能だ。
 

パリ最新情報「フランス国立図書館『リシュリュー館』、全面改装を経て初の一般公開へ」

※2階の手稿閲覧室。



 
その他、制限のある閲覧室には「舞台芸術資料閲覧室(La salle de lecture des Arts du spectacle)」、中世から現代までの書物が眠る「中央書庫(Le magasin central)」、「ラブルスト閲覧室(la salle Labrouste)」があり、一般向けと専門家スペースでできちんと区切られているのも印象的だった。
 

パリ最新情報「フランス国立図書館『リシュリュー館』、全面改装を経て初の一般公開へ」

※ラブルスト閲覧室は学生専用。美しいフレスコ画が特徴

 
長い年月をかけて改装されたリシュリュー館は、建築物としても目を見張るものがある。
今回はリシュリュー館の北と南をつなぐガラス張りの通路、そしてアルミの螺旋階段も新登場となったが、それらは18世紀と21世紀をつなぐ幻の橋梁のようにも見えた。
 

パリ最新情報「フランス国立図書館『リシュリュー館』、全面改装を経て初の一般公開へ」

※ガラス張り通路(la galerie de verre)

自分流×帝京大学

 
例えば近代建築の賜物であるガラス張りの通路は、18世紀に造られた亜鉛製の屋根とぶつかることなく共存している。
その非現実的な美しさからは、フランス近代建築の圧倒的な実力を見せつけられたような気がした。
 

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※館内中央にあるアルミの螺旋階段

 
崇高な趣の国立図書館ではあるが、一度中に入れば親しみやすい雰囲気で満たされており、敷居の高さはまったく感じられない。
ツアー見学、カフェ併設、美術館や休憩所も兼ねた中庭など、これまでの図書館のイメージを覆すばかりの新・リシュリュー館であった。(オ)