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パリ最新情報「2023年、フレンチ・ファッションにボーダーが復活。でもなぜフランスはボーダーなのか?」 Posted on 2023/04/24 Design Stories  

 
今、パリのデパート・ブティックは春物を求める人で大変賑わっている。
寒い時期が半年近くも続いたためか、皆コートやジャケットを脱ぎたくてウズウズしているといった様子だ。
各店内もほとんどが明るい服に一新されているのだが、2023年春はフランス発祥である「ボーダー」が復活を遂げており、今季ファッションの主役アイテムにもなっているという。
 



パリ最新情報「2023年、フレンチ・ファッションにボーダーが復活。でもなぜフランスはボーダーなのか?」

 
マリンスタイルの先駆的存在、「セント・ジェームズ」で有名なフランスのボーダールック。
フランス人をイラストにした時、ボーダーにベレー帽にフランスパンに…となるあれだ。
フランス人に伝えると「クリシェだ!」などと言われるのだが、(cliché=ステレオタイプ)フランス×ボーダーの歴史は確かに深く、社会情勢を色濃く反映した服なのであった。

フランス語ではボーダー全般を”la marinière”(ラ・マリニエール)と呼ぶ。
マリン、つまり元は海軍の水兵や船乗りが着ていた制服だった。
しかし歴史をさらに遡ると、囚人、道化師、私娼など、社会的に蔑視されていた人達がボーダー服の着用を義務つけられていた。
そのため18世紀半ばまではボーダーに全く良いイメージがなかったという。
 

パリ最新情報「2023年、フレンチ・ファッションにボーダーが復活。でもなぜフランスはボーダーなのか?」

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アメリカ独立運動、フランス革命が起こると、それぞれの国旗の縞模様が「自由の象徴」として人々に受け入れられるようになる。
20世紀初頭にセント・ジェームス、そしてココ・シャネルがボーダーをカジュアル・ルックとして発表すると、ノルマンディー地方などのビーチで着用する人が一気に増えるようになった。
その後もピカソやブリジット・バルドーなど時の人が次々に着用、“カジュアルなのに洗練されたスタイルのボーダー”として現在に至っている。
 

パリ最新情報「2023年、フレンチ・ファッションにボーダーが復活。でもなぜフランスはボーダーなのか?」

 
なおボーダー流行の理由としては、組み合わせによってはオンでもオフでも着れること、窮屈な服を着たくない、女性性を強調しすぎていない、アクセサリーが映える、などなど。
ということでフランスではオーバーサイズのもの、そしてデニムやフラットなバレエシューズと合わせるのが今年の流行りとなっている。
 



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※今季はボーダーの他、クロシェ編みの服が多く出ている。

 
来週からは気温が20度以上となり、パリもいよいよ春本番を迎える。
重めな社会情勢に対抗するように、ファッションは“ふわっと”軽く、カジュアルな装いが人気のようだ。(オ)
 

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