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パリ最新情報「シャルル・ド・ゴール空港、期間限定で『アンヌ・ド・ゴール空港』に改名 Posted on 2022/12/03 Design Stories  

 
フランスの空の玄関口、シャルル・ド・ゴール空港が12月3日より期間限定で「アンヌ・ド・ゴール空港」に名前が変わる。
これは、3日(土)が国際障がい者デーであることにちなんだ取り組みで、期間は12月10日までの一週間。
シャルル・ド・ゴール空港を所有するADPグループは、改名という独自の方法を取ることにより、障がい者の雇用促進、および障がいを持つ旅行者の受け入れ態勢を改善したいと述べている。

ではなぜ「アンヌ」かというと、これは第18代フランス大統領シャルル・ド・ゴール氏(空港建設時の大統領)の三女、アンヌ・ド・ゴール氏の名前に由来したものだ。
そしてそのアンヌ自身も、1948年に障がいによる合併症のため20歳の若さで亡くなっている。
 

パリ最新情報「シャルル・ド・ゴール空港、期間限定で『アンヌ・ド・ゴール空港』に改名



 
仏航空会社のエアーフランスによれば、3日からの1週間、パリ発着便の機内にて「アンヌ・ド・ゴール空港へようこそ」という客室乗務員のアナウンスを聞くことができるようになるという。
またこの名称は期間中、空港内の看板や一部ターミナルの電光掲示板にも表示されるとのこと。

ADPグループの代表は、これまでのシャルル・ド・ゴール空港における受け入れ態勢が必ずしも最適な方法ではなかったことを認め、それを厳しく指摘している。
例えば、航空会社側がからだの不自由な乗客の人数を把握していなかったために優先案内が遅れてしまった、機内で図るべき客室乗務員の連携をうっかり忘れてしまった、などだ。
そのため期間中は、「アンヌ・ド・ゴール空港」と空港内で呼びかけることによって、各種連携をより迅速かつスムーズに遂行させる狙いがある。
なおこの取り組みは、シャルル・ド・ゴール空港と、現在も障がい者(主にダウン症)の支援に取り組むアンヌ・ド・ゴール財団との共同で立ち上げられた。
 

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こうした諸々の問題点は、シャルル・ド・ゴール空港だけではなくパリ市自体でも指摘されている。
パリには築100年を超す建物が多く、改築・増築もままならない。
ということでパリ市は今、2024年のオリンピック・パラリンピックを前にアクセシビリティや利便性といった大きな課題に直面しているのだ。

具体例としては駅の問題点がある。パリ首都圏には300以上の駅があるが、なかでも100%バリアフリーな駅はほんの一握り。
首都圏の公共交通機関を利用する障がい者が日々頭を悩ませていることは、2024年のオリンピック・パラリンピック開催を1年半後に控えたパリ市が直面する課題を象徴している。
 



 
今、パリ市はバリアフリー対策を行う施設および店舗に対して資金援助を行っているが、不便さがしばしば糾弾されるこの街おいては、こうした取り組みが今後永続的な進歩となるよう期待されている。

フランスでは、身体、知的、こころの問題など、大小さまざまな障がいに悩む人は約1,200万人いると言われている。
また現在、60歳以上の人口はおよそ1,500万人で、2030年には2,000万人(総人口6,750万人)を超す見込みだ。
日本と同じく高齢化の道を辿るフランス。玄関口であるシャルル・ド・ゴール空港の改名が、誰にとってもやさしい社会作りのきっかけとなることを願いたい。(オ)
 

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