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パリ最新情報「シテ島の小鳥市、年内で終了へ。『時代にそぐわない販売方法』とパリ市」 Posted on 2022/09/28 Design Stories  

 
パリの中心部、セーヌ川の中洲にあるシテ島では、毎週日曜日に少し変わったマルシェが開催されている。
それは「小鳥市」というもので、小鳥とそれにまつわる雑貨類などを販売するパリでも珍しい市場だ。
この場所は普段は花市場として賑わっているが、日曜日になれば鳥商人と呼ばれる業者がやってきて、インコなどの小鳥たちを一般客向けに販売している。
しかしパリ市は9月26日、「販売方法が時代にそぐわない」として小鳥市の永久閉鎖を発表。
140年ほど続いた小鳥市だったが、2022年12月31日をもってその幕を閉じることになった。
 

パリ最新情報「シテ島の小鳥市、年内で終了へ。『時代にそぐわない販売方法』とパリ市」



 
シテ島における花市場の歴史は古く、開設されたのはナポレオン・ボナパルトが活躍した1809年だった。
小鳥市が始まったのはそれから72年後の1881年で、当初は小鳥やネズミなどの小動物、食料品、雑貨などが売られていた。
時代が流れると市場には小鳥だけが残り、今日では観光客にもよく知られる日曜日の恒例イベントとなっている。

しかしこの小鳥市は長期にわたって動物保護団体から批判されてきた。
その代表にはパリの動物愛護団体PAZ(Paris Animaux Zoopolis)がある。
彼らは「私たちは動物のいかなる商品化にも反対しています」と声明を出した上で、昨年一月から小鳥市閉鎖を求める署名を3000人分ほど集めていた。
 

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確かに、一つのかごに何羽もの小鳥たちが詰められている様子は目を覆いたくなる。
また少数ではあるものの、希少種を違法に販売したり飛べないように一部の羽をカットされた小鳥も見つかったとのことで、2021年末には警察が介入する事態にもなっていた。

動物福祉を担当するクリストフ・ナジェドフスキー・パリ副市長は閉鎖決定の理由として、「この市場は密売の元凶となっており、小鳥の販売方法は今日求められる動物福祉の条件から見て容認できない」と述べている。
しかしパリ市は小鳥市の業者10人に対し、市場閉鎖後には他の活動ができるよう中期的な支援を約束。市の再教育機関が彼らをフォローしていくという。
なおシテ島における花市場自体は2023年から2025年にかけて改修工事が予定されている。
 

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2024年よりペットの店頭販売を禁止しているフランスだが、現在ではペットの見本市・ドッグショーに対しても反対の声が上がっている。
フランス人の動物愛護への思いが強くなっている今、小鳥市のような古い慣習を続けることは難しい。
パリ市は小鳥市に対して、「狭すぎる檻に閉じ込められ、彼らの幸福とニーズを考慮することなく、人間に完全に依存するように育てられてしまった。これらの習慣は完全に過去の遺物である」と表明している。(こ)
 

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