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パリ最新情報「パリ、世界3位の音楽の街に。表現する自由、楽しむことの自由」 Posted on 2022/03/04 Design Stories  

 
この度、パリがロンドン、ニューヨークに次ぐ世界で3番目の「音楽の街」に選ばれた。
これは「音楽ほど普遍的なものはない」をコンセプトに、ドイツのウェブサイトMomox(中古文化財のオンライン販売会社)が調査した結果による。

出身ミュージシャンの影響力、音楽に携わる仕事の割合、音楽レーベルの数、音楽学校の数、世界ツアーの頻度、街のレコード店、楽器店の数など、さまざまな基準に基づいて作成したという。
ランキングは以下の通り。

1、イギリス・ロンドン
2、アメリカ・ニューヨーク
3、フランス・パリ
4、アメリカ・ロサンゼルス
5、ドイツ・ベルリン
6、韓国・ソウル
7、アメリカ・シカゴ
8、アメリカ・アトランタ
9、アメリカ・サンフランシスコ
10、スウェーデン・ストックホルム

1位のロンドンは、デヴィッド・ボウイやエイミー・ワインハウス、アデルなど、音楽界のレジェンドたちの影響力に支えられた街。
音楽学校やレコード会社の本社の多さでも際立っているという。
 

パリ最新情報「パリ、世界3位の音楽の街に。表現する自由、楽しむことの自由」



 
3位となったパリは、音楽学校と人口あたりの楽器店の数が多いことが特徴だった。
調査項目にない特徴としては、ストリートミュージシャンの多さ、彼らに対するパリ市の寛容性なども挙げられる。
また、パリは世界的なDJを多く輩出していることでも有名だ。
人種のるつぼであるパリは、音楽のジャンルも国際色豊か。
そのため、さまざまな国の音楽からインスピレーションを受けたDJたちが、90年代より独自のスタイルを築き上げていった。

そして世界中の人が知るフランスのミュージシャンと言えば、エディット・ピアフだろう。
彼女のヒット曲「La Vie en Rose(バラ色の人生)」は、世界で一番多く歌われているフランスの曲なのだそうだ。
コロナ禍が始まった2020年からは、とある団体がパリの街に癒しを取り戻そうと、市内250か所の壁にオルゴールを設置した。
通りがかりの誰もがオルゴールを弾くことができるというもので、ピアフゆかりの地である20区に設置された「バラ色の人生」は特に人気だという。
 

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出典:the atomik nation オフィシャルインスタグラムより

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さらに、パリが音楽の街であることを裏付けるものに、毎年恒例の「音楽の日(Fête de la Musique)」がある。
これは夏至の6月21日にフランス全土で行われるイベントで、音楽がすべての人のもの、になる1日だ。
特にパリでは誰もが演奏家になれて、無料で、あらゆるジャンルの音楽をあらゆる場所で披露できることとなっている。

公園、広場、バー・レストランはもちろん、近年では美術館、病院、刑務所などといった場所でのパフォーマンスも行われている。
教会の広場の前で子供たちが合唱するところもあれば、路地裏で若者が演奏するロックを嬉しそうに聴く老夫婦もいる。
音楽がどこからか流れると、人々はリズムを取り始め、楽しそうに踊ったりする。
普段はアイロニックで頑ななフランス人も、この日ばかりはラテンの血が騒ぐのだろうか、その場を思い切り楽しむ人たちの不思議な一体感が生まれるのだ。
 

パリ最新情報「パリ、世界3位の音楽の街に。表現する自由、楽しむことの自由」



 
話はそれるが、1969年にニューヨーク郊外で開催された「ウッドストック・フェスティバル」は、今でも伝説的な野外コンサートとして語り継がれている。
当時のアメリカはベトナム戦争の真っただ中で、多くの若者がデモや暴動、戦争で命を落とした。
そのためウッドストックには「反戦」を訴える40万人もの若者が集まった。
2022年の音楽の日のテーマはまだ発表されていないが、ウッドストックの時のように「愛と平和」が声高に叫ばれるのかもしれない。

ともあれ、フランス人と音楽の距離はとても近い。
個人主義の文化に裏打ちされた表現の自由、楽しむことの自由は、音楽の分野にまで広がっているのだ。(ル)
 

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