欧州最新情報

パリ最新情報「4月なのに寒波襲来中のフランス。電力節約の呼びかけも」 Posted on 2022/04/04 Design Stories  

 
4月に入ってからというもの、フランスでは非常に寒い日が続いている。
3月下旬の気温は20℃前後とポカポカ陽気が続いていたのだが、4月1日には一気に気温が下がり、パリでも雪が降った。
数日間で25℃近い気温差を記録する地方もあり、身体への負担が大きくなっている。

寒波の到来は、ここ1か月ほどヨーロッパに停滞していた高気圧の崩壊によるもの。
冷たい空気がスカンジナビアからフランスに流れ、気温が急激に下がってしまった。
寒の戻りはフランスでも珍しいことではないものの、国内のワイン生産者は大変気を揉んでいる。
 



 
というのも、4月4日(月)の朝方には各地で霜が降り、南西部では-5.9℃を記録した。
朝の降霜はフランスの農作物に打撃を与える。
若芽が出たばかりのブドウ畑では、シャルドネ、カベルネ、メルロなど、フランスで最も早くから栽培されているブドウの品種にも影響が出てしまったという。

実は2021年4月にも同じような寒波に見舞われた。
昨年の寒波がフランスのブドウに与えた損失は、全生産量の3分の1、金額にして20億ユーロ(2730億円)にも上ってしまったのだ。
今回の霜害は5日(火)も続く見込みで、ワイン生産者たちは昨年のような被害を避けようと、週末から霜よけの風車を稼働させるところもあった。
 

パリ最新情報「4月なのに寒波襲来中のフランス。電力節約の呼びかけも」

地球カレッジ



 
また今回の寒波は農業生産者だけでなく、国民にも影響を与えている。
1日から続く厳しい寒さにより、フランス送電業者RTEは週明けに国内の電力需給がひっ迫すると予想。
そのため、4月4日(月)の午前6時から正午までの節電をフランス全土に呼びかけた。
間接照明を消す、携帯電話の充電を控える、暖房の温度を下げるなど、RTEは市民や企業が今すぐできることを具体的に示した。

今のところ大規模な停電の可能性はないとしているが、フランス人一人一人が電球を消すことで節約される電力は600MW。
これは、トゥールーズ(フランス第4の都市)の総電力消費量がまるごと節約されることになるため、節電の影響が決して小さくないことを意味している。

フランスの人々は日頃からエコに高い関心があるため、こういった節電には概ね好意的だ。
4月1日からはカフェテラスの暖房装置も永久的に使用禁止となった。
しかし、「着こめば良いこと」と、みな節電を素直に受け入れている。
 

パリ最新情報「4月なのに寒波襲来中のフランス。電力節約の呼びかけも」



 
フランスにおける春のことわざに、「Avril, ne te découvre pas d’un fil, mai, fais ce qu’il te plaît」というのがある。
これは、「4月は(冬以降)着ている服の繊維の一本も脱ぐな(=4月はまだ寒いから油断するな)、そして5月は好きなようにすればいい」という先人からの教えである。
最近の仏TV番組や情報誌ではこのことわざを引用し、防寒具がまだまだ必要であることを呼びかけている。
なおフランス気象庁によると、再び温かくなるのは4月中旬以降とのことだ。
あと10日ほどは不安定な気候が続くので、きちんと節電し寒さに備えたい。(内)
 

自分流×帝京大学