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パリ最新情報「電動キックボードのレンタルサービスが終わるパリ。仏北部ではヘルメット義務化へ」 Posted on 2023/07/08 Design Stories  

 
市民投票により、パリ市では23年8月31日をもって電動キックボードのレンタルサービスが終了する。
投票は今年4月に行われていた。
レンタル可否については90%近くのパリ市民が反対票を投じており、結果を受けたパリ市長は「住民の意見を尊重する」と表明。
サービスを提供するDott、Tier、Limeのレンタル3事業者は、9月1日以降にパリ市から完全撤退することになった。
 

パリ最新情報「電動キックボードのレンタルサービスが終わるパリ。仏北部ではヘルメット義務化へ」



 
8月31日までは現行通りのレンタルが行われるため、パリ市では今も3事業者によるサービスが続いている。
しかし廃止まで2か月を切った今では、レンタル式電動キックボードの走行数は以前に比べ少なくなったという印象を受ける。
レンタル式の電動キックボードは、パリ市では約15,000台と非常に数が多い。
廃止後の行方についてはリサイクルも視野に入れているというが、パリ副市長は「ブリュッセルといったレンタルを継続する他国にて、再利用される可能性もある」と述べている。

また市内には電動キックボードの駐車ゾーンが約2,500カ所もあった。
同副市長はこれについて、植樹、サイクリングロード、歩道の拡大のいずれかに再投資する意志を表明している。
いずれにしても車の駐車場に変わる可能性はないということだ。
なおパリ市議会が実施した調査によると、レンタルサービス終了後は利用者の34%が公共交通機関に、29%が徒歩に、9%がレンタル自転車に切り替えると述べたそうだ。
 

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フランスではレンタルでも個人所有でも、電動キックボードの事故が後を絶たない。
22年から23年初頭にかけてはフランス全土で事故による死者が35人にもなった。
これを受け、パリ公立病院連合(AP-HP)は7月7日に「電動キックボードによる事故はバイク事故と同程度の重傷であり、怪我を負った患者のヘルメット着用率は25%だった」と見解を述べた。
またAP-HPによれば患者の平均年齢は33歳で、重大事故は夕方や週末に多発しており、そのうち3分の1から法定限度を超えるアルコール濃度が検出されたという。

こうした事故により、仏北部パ=ド=カレー県はフランスで初めてヘルメット着用を義務化することになった。
※対象は県内6つの自治体。
7月1日から施行されており、電動キックボード乗車の際はヘルメットだけでなく、黄色い反射安全ベストの着用も義務付けられる。
なお違反した者には35ユーロ(約5460円)の罰金が科せられる。
現在、他の都市ではヘルメット及びジャケットの着用は義務ではないが強く推奨されている。
(二人乗り、歩道の走行は禁止。)
しかしながら相次ぐ事故、マナー違反により規制はさらに厳しくなる可能性が高い。
 



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一方パリでは、レンタル自転車の件数がここ数週間で約3,000台も伸びているという。
コロナ禍に始まり、電動キックボードのレンタル廃止を経てますます需要が高まる自転車だが、Dott、Tier、Limeのレンタル3事業者は、約800人の従業員を自転車産業に移す可能性が高いと述べている。(大)
 

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