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パリ最新情報「フランスの食材に表示される、A~Eのアルファベット。反発を受け見直しを決定」 Posted on 2022/09/01 Design Stories  

パリ最新情報「フランスの食材に表示される、A~Eのアルファベット。反発を受け見直しを決定」

 
フランスのスーパーで販売される多くの食材には、写真にあるように、A~Eのアルファベットがパッケージに表示されている。
これはNutri-Score(ニュートリスコア=栄養スコア)と呼ばれるもので、Aは最も栄養価が高く、Eは最も栄養価が低い製品を意味する。

2017年からフランスで始まった制度であり、パリ第13大学の栄養学・疫学研究チーム、セルジュ・ヘルクバーグ教授の研究と、公衆衛生局によって導入された。
これによりニュートリスコアを商品パッケージに記載することが可能となったが、現在は任意であるため、食品会社の自主性が基本となる。
ただ参加する企業は年々増えており、2022年現在、フランス国内では875のブランドがスコアを採用するようになった。

また他国にも広がっていて、今では欧州7カ国(フランス、ベルギー、ドイツ、ルクセンブルク、オランダ、スペイン、スイス)がニュートリスコアを導入。
品質の「透明度」を求める消費者が増えていることもあって、今ではフランス人の約8割が購入時にスコアを参考にするという。
 



パリ最新情報「フランスの食材に表示される、A~Eのアルファベット。反発を受け見直しを決定」

 
この評価は、製品100gもしくは100㎖あたりにおける好ましい栄養成分と、制限すべき栄養成分が考慮されている。
好ましい成分と食品は、食物繊維、タンパク質、果物、野菜、豆類、ナッツ類などがある。
逆に制限すべき成分としては、飽和脂肪酸、糖類、塩分などがあり、これらの産出されたスコアを元に、アルファベットが割り当てられる。

フランス人の約90%がこのニュートリスコアに賛同しているというが、今、問題になっているのは、残り10%の声が非常に大きいということだ。
例えばフランス国内で猛反発している業界に、チーズ産業がある。
フランスを代表する青カビチーズ「ロックフォール」の生産者は、ニュートリスコアでDもしくはEの評価がついていることについて、見直しを求めている。
これは塩分が強いという理由なのだが、「なぜ自然由来のロックフォールが、添加物が多く含まれる飲料や菓子類と同じ評価なのか」と、ロックフォール連盟は矛盾点を指摘する。
 

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パリ最新情報「フランスの食材に表示される、A~Eのアルファベット。反発を受け見直しを決定」

 
国外でも反発の声が上がった。
ニュートリスコアは、オリーブオイルをC、そしてパルミジャーノの粉チーズをEと評価した。
しかし、イタリアの農業組合はこれを「フランスの評価システムは恣意的であり、消費者に誤解を招く可能性がある」と批判。
仏大手スーパーのカルフールを含む企業3社に対し、イタリア国内で流通する製品からニュートリスコアを削除する方針を決定してしまった。
 



 
これを受けたフランスのニュートリスコア委員会は、7月末に「改善点」を発表。
2022年末までに基準が改訂されることになった。
一例を挙げると、比較的糖分の多い朝食用シリアルは、例えBIOであってもA分類ができなくなり、平均してC分類になる可能性が高くなる。
またエメンタールチーズのような「塩分の量を制限したハードチーズ」はより良い評価を受け、カテゴリーがCに到達する予定だという。

欧州の成人の2人に1人が肥満または過体重であることから、食生活改善の指針として始まったニュートリスコア。
ただ改善点が多く指摘されているため、あくまでも「参考までに」といった見方が良いようだ。(こ)
 

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