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パリ最新情報「メゾン・ゲンズブール : ゲンズブールの家が美術家に。」 Posted on 2022/01/06 Design Stories  

20世紀のフランスの音楽、映画の一時代を築いたセルジュ・ゲンズブール。作詞作曲を手がける歌手として大成功しているが、その音楽の新鮮や面白さと同時に、二重の意味を含んでスキャンダラスであったり、ダイレクトで官能的すぎたりする歌詞で、批判を含めて話題をふりまいた。
フレンチポップスミュージシャンとして、日本はもちろん世界中の音楽好きの間でも、彼の名を知らぬものはないだろう。

パリ最新情報「メゾン・ゲンズブール : ゲンズブールの家が美術家に。」



1991年に62歳の若さで惜しまれながらこの世を去り、現在はモンパルナス墓地に永眠。
死後すでに30年(!)経っても、彼のお墓を訪れる観光客は絶えない。
彼のデビュー曲「リラの門の切符売り」にちなんで、訪れるファンはお墓にメトロの切符を散らすのがお決まりであったが、切符のカード化や現在のコロナで、お墓は現在少し寂しい風情になってきた。
が、しかしゲンズブールは人々の思い出の底に沈みこむことはないだろう。彼がその人生の最期までの20年以上住んだパリ左岸にある館が、美術館となってオープンするのだ。この話をもう随分前から耳にしている方もいるかもしれないが、やっと今年3月にオープンの運びとなった。

彼の家をそのままに保護し、美術館オープンへと尽力したのは、愛娘のシャルロットゲンズブールである。



一時期、ゲンズブールのパートナーであったのが、モデルで女優で歌手のジェーン・バーキン。
二人が並ぶとモードのイコンとさえなり、共にフランス人の血を引いていないにもかかわらず(バーキンはイギリス出身、ゲンズブールの両親はロシア人)、当時最もパリ的なカップルと崇められ、彼らの才能や美しさはもちろん、二人の自由なスタイルに憧れる若者が多かった。
 そして二人の間には、現在女優として大活躍するシャルロット・ゲンズブールが生まれた。
このシャルロットがいたからこその、セルジュの吐息が聞こえて来そうな美術館…ファンによる落書きで覆われた外壁、家具はもちろんタバコの吸殻までそのままの内部…の、誕生だ。
彼女はセルジュがなくあった後の30年という長い間、この彼の家に廃墟の趣を少しでも与えずに、美術館となる日まで、家を凍えさえることなく保護してきた。
シャルロットはこの家で子供時代を過ごしてきた。既に幼い頃から有名人出会った彼女にとってそこは、完全にメディアから隔離され保護された、幸せな時間の流れる場所であったという。

パリ最新情報「メゾン・ゲンズブール : ゲンズブールの家が美術家に。」

パリの街中の小さな館だが、フィガロ紙の文化欄は「ゲンズブール美術館のオープンは、2022年のパリの文化イヴェントのひとつ」と記す。

美術館にはブックストアー・ブティックがある他、ゲインズバーと名つけられた、昼間はカフェ、夜はピアノバーになる空間も併設され、たっぷりとゲンズブールワールドが堪能できそうだ。
数え切れないほどの大小の美術館が存在するパリだが、ここもまた観光客が絶えない(パリのコロナ騒ぎが落ち着いた後の…)スポットとなることは間違いないだろう。                          (ア)



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