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パリ最新情報「フランス、3月の第一日曜日はおばあちゃんの日!」 Posted on 2023/02/22 Design Stories  

 
フランスでは1月の初めより、さまざまなイベントが続いていた。
年始の風物詩ガレット・デ・ロワを食べる習慣があったり、クレープの日やバレンタインデーなど、そのイベントの多くはスイーツに関係したものであった。

さて3月には何が待っているのかというと、フランス国外ではあまり知られていない、「おばあちゃんの日(Fête des grands-mères)」である。
おばあちゃんの日は毎年、3月の第一日曜日に設定されている。※今年は3月5日(日)。
そのため、仏情報誌も最近では「大好きなおばあちゃんのためのギフトアイデア」をこぞって掲載するようになり、離れて暮らす祖母に温かいメッセージを忘れないよう、呼びかけている。
 

パリ最新情報「フランス、3月の第一日曜日はおばあちゃんの日!」



 
なぜフランスでおばあちゃんの日が設定されたのか。
実はこれには、宗教的・歴史的な意味はまったくないそうだ。
仕掛け人は、フランスのカフェ・グランメール「Café Grand’ Mère(=おばあちゃんのカフェ)」というコーヒーブランドである。
つまり、日本のバレンタインデーにチョコレートを贈るという習慣ができたように、おばあちゃんの日もカフェ・グランメールによるマーケティングの一環であったのだ。
 

パリ最新情報「フランス、3月の第一日曜日はおばあちゃんの日!」

※カフェ・グランメールのコーヒーパッケージ

地球カレッジ



 
当時20周年を迎えていたカフェ・グランメールによるこのプロモーションは、定着までに約20年ほどの年月を費やしたという。(1987年から始まった)
当初は商業的だと批判もあったようだが、年長者に敬意を払う良い機会だと考えるフランス人の間では、「3月の第一日曜日」という日にちだけが記憶に残った。
現在ではコーヒーをおばあちゃんに贈る人もほとんどいなくなり、その代わりに鉢花、花束、メッセージカードといった母の日のギフトにも似たプレゼントが用意される。
 

パリ最新情報「フランス、3月の第一日曜日はおばあちゃんの日!」

 
フランスの1500万人の祖父母を対象にした、INSEE(フランス国立経済研究所)の最近の大規模な調査によると、フランス人女性が「おばあちゃん」になる平均年齢は54歳であることが分かった。
また2010年代後半には890万人以上のおばあちゃんが存在していたといい、その人数はますます増え続けているということだ。
そしてフランスのおばあちゃんは日本と同様、慈愛に満ちている。
ただ彼女たちは今日、フランスの社会的な変化に伴い、とても活発的でより若々しく過ごしているため、孫たちにとってはセカンド・マザーあるいは良き相談相手になりつつあるそうだ。

一方で、フランスには「おじいちゃんの日」も存在している。
こちらに商業的な意味は一切なく、母の日、父の日、祖母の日とバランスを取って毎年10月の第一日曜日に祝われる。
 

パリ最新情報「フランス、3月の第一日曜日はおばあちゃんの日!」



 
さておばあちゃんの日のギフトには、先述した花束や鉢花が人気とのことだが、フランスではミモザや水仙、チューリップといった黄色い花を贈るのがおすすめだという。
これは時期的なものと、黄色い花に素敵な花言葉がたくさん用意されていることが関係している。

またフランスのおばあちゃんは遠方で一人暮らしをしていることが多いため、この日のフランスはフラワーデリバリーも盛り上がる。
「会いに行ける人は散歩やテラスでのブランチを。会いに行けなくても感謝のメッセージを忘れずに。大切なのは、第二の母のようにあなたの人生に寄り添ってくれる祖母に、愛情の言葉を口にするのを忘れないことです」と、最近ではこのように素敵な言葉を残した仏情報誌もあった。(オ)
 

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